辛勝、得られたものと失われたもの
一時は勝利と生存の喜びに沸いた一行だが、その損害がはっきりしてくると同時にその勢いはあっさりと消失した。
145名、ヴェーラ隊5人と、レナルドを入れると151名の参加者の内、死者だけで67名、負傷者45名、逃亡4名と惨憺たる状態だ。
死者の中には冒険者8名も含まれている。序盤に逃亡した冒険者はある意味、適切な判断だったと言えるのかもしれない。その内訳は、毒矢によって倒れた物が12名、門攻め中の負傷によるものが9名、陣地突入後の集団戦闘によるのが14名、竜人の火球とブレスによるのが32名と、竜人1体にやられた人数が一番多い。そして、彼らはその遺体すら残っていない有様だ。
負傷者のうち8名は毒矢で危険な状態だったが、毒はヴェーラ隊の例の神官が、傷はその神官とアンナが手分けをして治療したお陰で、重篤だった者はすでに息を吹き返している。
駆逐した敵の数は概算で120を超えており、事前情報が如何に適当であったかが改めて浮き彫りとなった。
制圧した陣地は、木造の物は直ちに焼き払われた。石や金属が使われている物は、生存者の数、体力、気力を考慮すればこの場での除去は難しいと、すぐにエストリアに戻り専門の者を派遣してもらう運びとなった。
とりわけ意気消沈としているのはレナルドだ。それはそうだろう。自らの指揮で約半数の者が犠牲となったのだ。アンナや神官の回復魔法がなければ損耗率60%超の大敗北である。特に国軍だけでは最後の竜人に手も足も出せておらず、アデル隊、ヴェーラ隊がいなければ文字通りの100%の全滅もあり得た状況には己の不甲斐なさを呪うしかない。
そんなレナルドを見るアデルの目は冷ややかそのものだ。適当な事前情報、その陰にテラリアの聖騎士の影がチラついて見えるため猶更である。その辺りは事前情報と実際の状況の差をもう一度よく考え直して領主共々よく検証するように言い、アリオンとブラバドには起きたことをそのまま報告する旨を告げ、帰路に就いた。
森を抜けたところでヴェーラ達が別れることとなり、アデルとネージュ、そしてヴェーラはお互いの奮闘を讃えつつ別れた。それ以外は双方の活躍を見たせいか、他の面子もつっかかってくることはなく、また、ニルスとミルテも相変わらずの沈黙を貫いていた。
勝利を飾った筈なのに意気消沈とした隊と共にエストリアに戻る。
アデル達はすぐに暁亭へと戻り、アリオンに全て報告をする。アデルの報告には一部苦情に近い部分もあった。
事前情報との違い、前夜に見せたネージュ謹製の地図と共に、レナルドの取った戦術。犠牲の数と内訳、そして竜人のこと。アリオンは黙って一通り聞いた後、いくつかの確認をしたところで、静かに怒っていた。 特に雑な事前情報だ。不幸中の幸いで暁亭からは犠牲者が出なかったものの、適切だったとは言い難い事前情報に8人の冒険者が死亡したという事実は冒険者の店、そして冒険者ギルドとして看過できない事案である。さらにパーティ派遣の裏事情と報酬の渋さもそれに拍車をかけていた。
本来なら原則明かすことはないのだが、という前置きの元聞いた話によると、だいたいはアデルの想像を肯定するものだった。エストリア内の冒険者各店にCランク以上の冒険者1パーティを供出するようにという、半強制的な依頼であった様だ。それでいて、過小な事前情報に基づく報酬であった為、報酬は1パーティで5000ゴルト、店には1000ゴルトの斡旋料と、エストリアで普通の蛮族退治の依頼と考えれば悪くないような額だが、実際に蓋を開けてみるととんでもなく割に合わないものになっていた。この辺りは他店、ギルドと話し合いの上、領主に抗議をすることになるだろうとのことだが、追加報酬は期待しないでくれとの事だ。
それにアデルは腹を立てたが、エストリアでコローナに冒険者として受け入れられた感謝と、アリオンに対する恩返しと云う事で今回は割り切ることとした。アデルがそう言うのであれば、ネージュとアンナがそれ以上を言う事はない。また、ニルス達も碌に仕事にありつけない自分たちを根気強く育て、仕事を回してくれたアリオンに対する恩返しということで、今回の件でこれ以上のことは言わないこととした。
報酬を受け取ったところで、打ち上げなど行う気にもならず、いつも通りの質素な夕食の後、アデルは口を開く。
「まずは報酬だけど、1パーティ5000てことだから、頭割りでいいよな?丁度5人だし。」
「ああ、それで問題ない。」
厳密に言えば2パーティの合同受注であるので、2500ゴルトずつ折半と言い出すかと思ったが、ニルス達もそこまでは要求してこなかった。全員、それぞれの分野でしっかりと十分な活躍を見せたのだ。頭割りに異論はないと。
「で、この後どうするんだ?俺たちはもう明日にでも王都へ戻ろうと思ってるんだが……」
「悪いが、1日だけ待ってもらえないか?相談の上……出来れば、一緒に行きたいと思っている。」
「1日くらいなら平気だが、それは同パーティとしてか?勿論、連れて行くことは全く問題ないが、パーティ結成となると、それぞれ普通じゃない事情があるからなぁ。」
「俺達としては、そうしてもらいたいところだ。あんたがリーダーなら少なくとも俺らの方は否やはない。」
「それじゃこっちの事情と条件を言っておこうか。事情はまあ、現地で見た通り、プラスアルファだな。ネージュは珠無竜人で、“名誉人族”とやらを目指してる。それまではパーティ連合と言うような多人数での依頼は受けにくいし、魔石は売らずに優先的にネージュに譲ってもらう、その上でパーティ単位の報酬は頭割りってことになるが……」
「まあ、それくらいなら。」
どうやらニルスはかなり前向きの様だ。
「ミルテは?」
「私は……ニルスについて行くだけだ。」
「なるほど。まあ、それでいいなら構わない。アリオンさんと折り合う様ならそうしよう。俺ら――当時は俺とネージュだけだが、は、この店で冒険者になって、アリオンさんの紹介でアリオンさんに昔の仲間の店を紹介してもらって今そこに所属しているからな。今回の件でアレな部分はあるけど、アリオンさんとはしっかり話し合ってくれ。あとは……馬だな。俺たちは基本馬で移動することが多い。今回のような私用でも、依頼でもだ。最低限2人の内どちらかには騎手ギルドに登録して《騎手》技能は身につけてもらわないと困る。」
「……わかった。努力する。」
「OK。それじゃ、俺たちの出発は明後日の朝だ。それまでにアリオンさんと話を付けておいてくれ。」
「分かった。でも、そっちはいいのか?自分で言うのも難だが……俺たちは鬼子だ。依頼を受けるのに不利になることもあるかもしれん。」
「まあ、その辺は。今は髪型と髪色で誤魔化せているけど、もともとは俺らもネージュは鬼子だと言い張って活動してたからな。実際は、角の位置と形がだいぶ違う様で、知識がある人に見られるとすぐにばれるらしいけど。」
「まあ、そうだろうな。」
「まあ、アレよ。基本は一緒に行動するとして、もしその手の依頼でどうしても受けたいものがあった場合は相談の上、一時的にパーティ分割という手もあるしな。いや、むしろ当面は2つのパーティを保持したまま、人数が多い方が有利となる依頼があれば、それを合同で優先して受けつつ、依頼の状況次第で単独行動もあり。という形にした方が無難か。その方がお互い気兼ねなく、自分たちの受けたい依頼を受けられるだろうしな。」
「……そうだな。王都に行ってみないと分からないが、お互い事情があるならそっちの方が柔軟に対処できるだろう。」
ニルスが納得するように言う。アデルとしては元祖ヴェーラパーティやローザパーティ等、今まで何度かそういう組み方もしていたので何の違和感もなかったが、ニルス達にはそう言う話がなかったのだろう。お互い、今の体制を大きく変えることなく、より状況に応じたパーティを、依頼を受けることが出来る。中には鬼子の双子を抱えるということで負になる要素はあるかもしれないが、彼らの実力と言動を見るに、それを補って余りある戦力がある。もし不利が強く働くときはヴェーラ達とそうだったように相談の上折り合いをつけて別行動をすればいいだけのことである。そんな説明をしながら、その日はそれぞれの部屋に戻ることにした。
翌日。アデル達が昼前まで寝ている間にエストリア市は市井、冒険者の店・ギルド、そして城の中と大荒れとなっていた。
120人の大討伐隊が半分以下になって帰ってきた衝撃。半強制的な依頼によって決して少なくない数の実力のある冒険者が失われたこと、不適切な対応で多くの協力者からの信頼が失われたこと、そして領主である辺境伯に対する疑念。
市井に関しては、出発と帰還を目にした街の者の噂に死地から生きて戻ってきた冒険者、一部の兵士の話が加わり、魔の森に対する不安が一気に膨れ上がった。遺体どころか遺品すら残らなかった兵士たちの最期に、今回不参加だった兵士たちにも不安と恐怖が広がっていく。冒険者の店に於いてもエストリアにおけるCランク冒険者は貴重な戦力だ。しかも、店主が自主的に忖度した形とはいえ、十分の圧力と微妙は報酬での領主からの依頼に冒険者が店に、店が領主や執行機関に対する信頼も大きく損なわれた。勿論、冒険者の店が半強制的な依頼であったことはほとんどの冒険者には伏せられていたが、事前の見込みの甘さ、依頼主に対する信頼はだだ下がりだ。冒険者ギルドとしてもその状況でCランクにもなって敵前逃亡した冒険者たちに厳しい対処がとれなかったのは仕方がないと言えば仕方がないかもしれないが、それが他の冒険者のエストリア離れを引き起こすきっかけになることに頭を抱えた。今後、エストリア伯や城の担当者は各方面から厳しい突き上げを食らうことになるだろう。
レナルドも同様だった。アリオンを含む、冒険者の店からの抗議をただただ黙って受け止めるしかない。特に、公の面会が終わった後、アリオンが他店の店主には悟られない様に配慮した上で突き付けた、レナルドの判断の根拠と甘さについての詰問には、項垂れ反省するしかない。アリオンはご丁寧に前日夜のネージュの地図を持って、それから読み取れる脅威と危険性、攻撃と防衛の戦力差などを説き、アデルと同じ様な判断が出来なかったのか。何故出来なかったのかと半ば教える様に詰め寄っていた。友人の傷にに塩を塗るようで悪いが、とは言いつつも今度は自分の店への冒険者たちからの信頼に関わる問題だ。しかもそのうちアデル達は、自分が育て自分の紹介で移籍したとはいえ、今は他店の所属の冒険者に無理をお願いした手前、もっと何とか出来なかったのかと詰め寄る。レナルドとしても今回の戦闘はアデル隊・ヴェーラ隊がいなかったらとんでもない事態になっていたと理解せざるを得ない状況で、感謝しつつの平謝りという事態になった。多くの兵の命を失った己の不甲斐なさを改めて恥じるとともに、エストリア伯への不信感が膨らむ。
「今回、そして次からの事前情報の検証はしっかりやってくれよ?」
一息ついた、しかし今まで見せた中でも一番深刻な表情で告げるアリオンに、レナルドはその徹底を約束する他なかったのであった。
夕方、各方面と会合を終えて戻ってきたアリオンに、アデル達は呼び出された。
「今回の件、本当に済まなかった。公の場ではなかったがレナルドにもかなり厳しく言って来ておいた。今回の戦闘、アデル達とヴェーラ達がいなかったらとんでもないことになっていただろうとレナルドも言っていたよ。詫びると同時に、エストリアの市民として深く感謝する。」
「……そうですか。」
アリオンの言葉に対してアデルは自分でも驚く位に冷ややかな返事をしたのみだった。
「…………まあ、いずれギルド経由で伝わるだろうが、ブラバドにはしっかり依頼の詳細を伝える。明日出発前にもう一度俺のところに来てくれ。今回の評価票を用意しておく。ニルス達も……王都に行くのか?」
「はい。そうしようと。」
「……そうか。お前たちの腕を活かすなら……そちらの方がいいだろう。尤も、ここでも今までのような待遇を受けることはもうないとは思うが。」
「どういうことですか?」
「レナルドから……いや、騎士からと言うべきだな。しっかりとした評価を貰ってきた。ギルドからも問題なく妥当であるとの評価を得られた。いきなりだが、レベル24に躍進だ。」
「「「おおお」」」
いきなりの12レベルアップには当人2人と、レベル査定が厳しい《暗殺者》であるネージュが反応した。
「ネージュのレベルアップはブラバドにしてもらえ。その評価票は明日朝までに用意する。勿論、アデルとアンナの分もだ。アンナの治療と竜人戦でのサポートは各方面――軍と、ギルドだな。からしっかりと評価されていた。」
「「そうですか。」」
こちらにはアデルとアンナが反応する。実績がなく、また特異すぎて客観的な評価を受けにくく、レベル18と伸び悩んでいたレベルが上がるであろうことに2人は一安心する。
「今回の一件には、アデルの言う通り不自然な点が多い。恐らくは聖騎士が何かしら関わっていたのだろうが、それもしっかりと検証され、明るみになるだろう。」
「そうですか。」
そう返すアデルだがその声に心はない。
「はぁ。仕方ないな。今回、うちのCランクたちの代わりに無理を頼んだのだ。俺個人からお礼をしよう。ここだとちょっと目立つな。あとでお前の部屋に運ばせる。」
アリオンは苦笑しながらそう言う。
「別にそう言うつもりじゃ……」
アデルが力なく呟くがそれはアリオンに耳には入らなかった。
「中古品でおそらくは加工しなおさないとならないだろうが……今回の件に十分見合う報酬にはなる筈だ。持って帰れ。」
そう言うとアリオンは立ち上がる。
「まあ、ヴェーラはともかく……お前らがここまで出来るようになってくれたのは嬉しい限りだよ。」
アリオンは両の手のひらでアデルとネージュの頭を叩くと、笑顔で退席していった。
その後、アデルの部屋には、恐らくブラバドが使っていたものだろう、ミスリルのプレートアーマーと大楯が届けられた。
「「うわぁ……」」
その大きさと状態にアデルとネージュはいろんな意味で圧倒された。
大きさはアデルよりも一回りは大きい。アデルではサイズを調整しなければうまく装備できないだろう。恐らくミルテ、頑張ればニルスでも装備できるだろうサイズのミスリル鎧は、使われなくなってから20年くらいは経っている筈なのに綺麗に磨かれ白銀に光っていた。ずっと大切に取っていたのだろう。最後にもらった言葉と共に、ただ感謝の気持ちが沸き起こってくる。
「受け取るんですか?」
アンナの言葉にしばし思案したアデルだが、
「ああ、せっかくだし有り難く頂いておこう。今回の戦闘で防具の重要さが身に染みたしな。少々目立ちそうだが……調整して俺が貰おう。俺の鎧はアンナ用に再加工してもらう。強度、重さを考えればそれが一番だろう。」
アデルの言葉にアンナが顔を綻ばせた。
「それで本格的な空中戦が出来ると嬉しいんだけどねぇ。」
そんなアンナに、ネージュがそう声を掛けた。
「……やっぱりやってみたかったか?」
「そりゃね。でもまあ、竜化されたらどうにもならなかっただろうし。そう考えると、ヴェーラとミルテは凄いね。」
竜人の竜化状態での外皮の強度を一番正しく知っているはネージュだろう。そのネージュがそう感心していた。
エストリアにとって激動となった1日の翌日、アデル達は朝、少し早目の時間に起き出し、出発の準備を整え、アリオンを訪ねた。
アリオンの方も必要な書類は昨夜の内に用意してくれてあったらしく、出発したい旨を告げるとすぐに応対してくれた。
「あの鎧、本当にいいんですか?店に在籍する次代の冒険者に渡す方が良かったんじゃ?」
アデルがそう尋ねると、アリオンは
「まあ、こういう機会でもないと表に出さないしな。元々装飾品じゃないんだ。使える奴が使えばいい。出来ればコローナの為に使ってもらいたいところだがな。」
「その辺は……まあ。国に奉仕というよりは結果として国の益にもなる仕事を……って感じでしょうけど。」
「冒険者はそれでいい。それ以上をしたかったら騎士でも目指す事だな。お前の歳ならまだ間に合うだろう。」
「……遠慮します。」
「だろうな。あいつらとも話はついている。起すなり待つなり好きにしろ。あいつらも機会さえありさえすれば十分な活躍が出来るだろう。」
「色んな意味で目立つでしょうしねぇ。うちらはひっそりと慎ましやかに生活したいところですが。」
「ひっそりとしたい奴が、辺境とはいえ、軍のかなり上の人間に怒鳴ったりするもんかね?」
「……レナルドさんてそんなに偉かったんですか?」
「一応、次期エストリア領の防衛隊長と目されてるんだがなぁ。」
「兵の士気は高かったみたいですけど……まあ、勝ちは勝ちだし、実戦は経験していくしかない感じですかね。」
「真直ぐで誠実な奴さ。失敗もしっかり反省できる。次はもっとうまくやるだろうさ。」
その“次”の為に、60人以上が犠牲になったわけだが、戦争とはこういうものなのだろうか。
アデルは内心でもやもやした物を感じつつも、自分たちの力で生き延び、勝ったことに安堵し喜ぶ。戦場……少なくとも、森に入る時点で条件はほぼ全員同じであったのだ。
アリオンとそんなやり取りをしている間に、ニルス達が仕度を終えて食堂に現われた。
アデル達は朝の挨拶を交わし、先にアリオンとの話を切り上げ軽食を注文する。その間にニルス達もアリオンに別れの挨拶を済ませたようだ。
移動しながら取れる食事を注文しテイクアウトすると、ニルスとミルアは出発前に食堂や給仕等の店の人達にも今迄の感謝を伝えてから店を出た。
「さて、どうするかな……」
厩舎から2頭の馬を連れだしてアデルは思案する。
「どうするも何も……お兄様とニルスさん、ネージュとミルテさんで馬に乗って、私が追い掛けるしかないと思いますが。」
そう申し出たのはアンナである。
「む?」
「自分に“不可視”を掛けて、上から追います。」
「……なるほど。確かにそれしか……いや、荷物が増えたし、ギルドでもう1頭馬を借りよう。アンナも練習のつもりでプルルに例の鎧を乗せて向かってくれ。」
「なるほど……確かに……」
アリオンからもらった鎧は布にくるんでアデルが背負っている。サイズが合っていないというのもあるが、ここでアリオンの昔の装備品は目立ちすぎると言うのだ。二つ名付の冒険者の最終装備と言うだけあって、この町ではかなりの人間が知っているらしい。それを他店の冒険者に譲ったと言うのはあまり噂になってほしくないとの事である。アリオンが『再加工が要る』と、いうのはこの辺りの理由もあるらしい。アリオンは溶かして鍛え直せば良いと、言っていたが、アデルとしてはなんとなく、原型の一部は留めておきたいという気持ちもある。その辺はアモールと相談だ。
アデル達は新たな仲間と装備と、少量の魔石を得て、新年を待つ王都へと帰還したのだった。




