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兄様は平和に夢を見る。  作者: T138
東部戦線編
253/373

竜人 vs 竜人

異例の短さですが……次がすぐ来る……筈!

「カーラだ……」

 ネージュの呟きに答える様にその竜人、カーラが口を開く。

「誰かと思えば珠無しの出来損ないか。あの戦闘バカがいなくなったと思ったら今度は無能の娘ができたわけだ。」

 カーラがにやりと笑う。戦闘バカというのは……まあ、状況からしてシルヴィアのことだろう。

「へぇ。戦闘バカに手も足も出せずに勝ち逃げされた挙句、無能にやられに出て来たんだ?」

 ネージュの方も同様ににやりと笑う。これが竜人式の挨拶なのだろうか。うん。アイサツ大事。

 ネージュの返信にカーラが凶悪な笑みを浮かべる。

(((まずい!)))

 アデル達やその場にいる戦闘経験がある者が瞬時に察する。カーラが何かの魔法を唱え始めたのだ。

 ネージュはすぐにカーラへ向けて突進し、蛇腹剣でカーラの首を狙う。

「ふん。」

 カーラがそれを自分の剣で弾き返すと、ネージュはそのまま北へと向かった。

「はっはっは。浅はかだよ。確かに出来損ないは人の町が壊れると色々不都合だものなぁ?」

 一撃入れて――気を引いて北へと離脱したネージュの意図は誰が見ても見え見えだった。

 町への被害を抑えるべく、カーラを北――町の外へ釣り出そうとしたのだろう。しかし――

「無駄だ。我々が人族ごときの生き死にに心を砕くとでも思ったか?」

 カーラの右腕から光が迸る。それはすぐに球体となった地面に叩きつけられた。

 次の瞬間、エーテル弾と同等以上の爆発が着弾地点から起きる。

 さらに2秒後、ようやく何が起きたかを理解した住民たちが悲鳴を上げて周囲の物を押しのけ慌てふためいて逃げ出していく。中には一瞬で瓦礫となった空間に誰かの名前を懸命に呼びかけている者もいる。

(初報から少なくとも丸2日、なんでエストリア伯は住民を西へと逃がさずに籠城戦なんかを選んだんだ?)

 アデルの脳裏に疑問が浮かぶ。

(そしてこのカーラ、俺はともかく……ネージュに一切察知されずにどうやってここに現れた?)

 次なる疑問が浮かぶ。しかし今、暢気に考えていられる状況でもない。

 腕の中には前後不覚のアンナ、背中には最優先の護衛対象であるマリアンヌ。このままカーラと交戦に入るわけには行かない。

 マリアンヌの演説(?)でせっかくわずかながら冷静さを取り戻した町は再度恐慌と混乱が広がりつつあり、カーラの一存でほんの数秒で1区画が消し飛ぶ。

「シルヴィアってのは単身で都市中枢を抑えて、一晩で住民たちを従えた上で通常生活をさせてたんだけどな。」

 アデルの呟きにカーラが反応する。

「ふん。なんでヤツのやり方の真似なんてしなきゃいけないのよ。」

 カーラが不機嫌そうに吐き捨てる。どうやらシルヴィアを目の敵にしていたというのは事実の様だ。

「おおっと。出来損ないがウロチョロするな!」

 北への引き剥がしが無理と悟ったネージュは、カーラの注意がアデルに向いているうちに背後から接近しその首を狙った。しかし、空気の乱れを察したか簡単に察知され失敗に終わる。

「……よし、お前。そこで大人しくしていろ。下手に動いたらこれを町に叩き込む。」

 そう言うと右腕に魔力を込め脅す様に言う。ネージュが動きを止めたのを見ると満足げに、否、全面の悪意を以てネージュに言う。

「よし。それじゃあ、大人しく自分の首を突け。さもなくば――わかるな?」

「「「!?」」」

 予想以上の最悪の状況になった。勝ちを確信したカーラは残忍ににやりと笑いながらまずは最初の一発を街に向けて放つ。

「やめなさい!」

 マリアンヌが叫ぶが、人族の王女の言葉に敵方の竜人が従うわけもない。

 光の球が着弾すると、ネージュの真下にあった区画が消し飛ぶ。

「私の気がそう長くないことは知っているだろう?さっさと自分の首を突け。」

 カーラがそう言い放つ。ネージュは困った表情でアデルを見る。アデルの出した答えは……

「やむを得ん。見せてやれ!」

 アデルはそう叫びつつ、カーラに向かって突っ込んでいった。



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