五章-4
「ケンジさんが来るまで、 持ちこたえましょうね〜」
その時、 リーフは次から次へと来る魔物、 ミノタウロスを木の属性魔法、 木の盾で防いで動きを止め、 チームメイトがそれぞれの攻撃魔法で倒していた。
ミノタウロスの攻撃自体は単純で、 持っている木の棒(と言っても、丸太レベルのもの)で殴る・押し潰すといったものだ。
「リーフちゃん、 まだまだ来るよ! 」
「聞いていた数よりも多いですね〜。 もしかしたら、 増えてるのかもしれません」
「うそ……、 このままじゃジリ貧じゃん! 」
「何がジリ貧だって? 」
その時、 目の前に居たミノタウロスが根こそぎ消滅する。 と、
「あらあら、 思ったよりも速かったですね〜」
「それなら良かったです」
ケンジが木よりも高い位置から飛び降りてくる。
「あら、 イメチェンしましたか〜? 映像で見たメイザーイヴルティーとは形が違いますね〜」
「リーフちゃん! まだまだ来るよ! 」
おっとりと話すリーフにチームメイトから叱咤の声が飛ぶ。
「おっと、 じゃあまた一気に行きますか」
ケンジは右腰から小型の銃、 ミクロ・オープロを構える。
「ライトニングドラクル・壱之雷鉄 龍散弾! 」
ケンジが引き金を引き、 連続して何発も撃ち込んでいく。 ミクロ・オープロはその名の通り小型の銃なのだが、 マシンガンのように連発できる辺り、 その銃がただのガラクタ、 オシャレではないことがわかる。
「凄い……」
目の前にいたミノタウロスが一気に屠られていく。 周りの生徒たちが呆気に取られ、 一瞬動きを止める。
「ほら! まだ来ますよ! 」
ケンジの声にすぐ反応できたのは全体の四割。 それ以外は一瞬のラグが出来てしまった。 その間にミノタウロスは口を開け、 生徒を飲み込もうとする。
「のやろっ! 」
ケンジが相手を見ずに適当に引き金を引く。
「ケ、 ケンジさん? 何をして……」
リーフがケンジの奇行に目を剥く。 一体なにをしようとしてるのか。 それよりも、 仲間に当たってしまう。 が、
グォッ!!!!
グァアアアア!!!
次々とミノタウロスが叫び声を上げ、 倒れていく。
「何で……? 」
ケンジがミクロ・オープロで攻撃し、 逆にミノタウロスの攻撃を、 リーフが木の盾で防ぐ。
その二人のコンビネーションにより、 見える範囲でのミノタウロスは全滅し、 そのまま現れることは無くなった。
魔法名は次の話で解説します。
ミクロ・オープロはギリシャ語で「小銃」と言います。そのままの意味ですね