ひっそりと咲く僕の花
7回目 15分
お題:愛のこだわり
必須要素:ドン引きするような描写
これみよがしに腫れている。
僕の背中には集音機能が付いている。
雨…
傘を差す代わりに僕は息を止める…
息を止めている間だけ僕の皮膚は撥水機能を発揮するのだ。
次の雨宿りまでは後30m…そろそろ酸欠の限界に来ていた…
雨!
土砂降りの街を叩く轟音…
僕は腫れている背中から…その内奥より鋭く漲った硬い皮膚で突き破った!
ブッシュアアア!!
砕かれた骨や神経…縮れて飛散する肉…腫瘍に溜まっていたべとついた緑色の粘液…すべてが…僕が僕である為に湛えられたその全てが…
僕は空中を旋回している…そして全てはそれへと放たれて…僕の憐れな全ての内面は街へと落下し…いずれ街を汚く染め上げてしまうだろう…
僕の愛…
僕の内面…生きてきた事の全てが…
僕から離れて…全てが世界へと集められ奪われていく…
僕は生きていた!
そう叫んでも…もう死んでいる僕からは世界にはもう届かない…
君を愛していた!
人生の全てを捧げ、それに賭けていた!
だけど…
僕は…僕のこだわりを捨てきれなかったせいで、僕は結局君を生み出すことが出来ずに…
僕はブクブクと背中を腫らしていくばかりで…
結局死ぬことを避けられなかったんだ!
愛…
僕は死んでいくその最後の一瞬で…
君へと愛を大いに優雅に謳っていた……
君は世界に今…生まれているのだろうか…
僕のもう省みることの出来ないその世界で…
僕のこの人生の結晶が…どこかでひっそりと咲く花のように…
世界を美しく描いてくれているのなら…
それだけで僕は幸せだ。