07話ー迷子(ゲイン)の目的
楽して儲けるってのは好きだけど、やっぱ失敗した時が痛いね。
レベル上にちょっと格上に挑み死に戻った俺達は街をぶらつくことにした。
ケンタによれば、あのアントとかいうモンスターは中途半端に攻撃して倒しきらないとどんどん<増援>を呼ぶらしい。
倒すのが簡単になるとどれだけいようがただの経験値と豪語していたが、今の俺達はまだゲーム開始直後なんだ。
「で、薬とかを売ってるのはあそこの道具屋かPL達だなっ!」
<デスペナルティが解除されました。>
あれこれ売ってるお店などを案内されるうちにデスペナルティが解除されたらしい。
「お、デスペナルティ解除されたみたいだなっ!!よし、リベンジ行こうぜっ!!」
「いや、scも溜まったし、俺は生産職スキル育てるからまたレベル上げ頼むわ」
そうだよな、ケンタがレベル上げ終わったあとにパワーレベリングさせた方が安全だし効率的だな。
餌の確保のために料理スキルと鍛冶スキルとっとかねぇとな・・・。
「そっかっ!じゃぁ俺はまた森に行ってるから、またな!」
そう言うと走って門の方に向かう。
「あ、このゲームのクエストってどうなってるか聞き忘れた・・・」
ログインしてすぐにLv上げに街の外行ってたからな。
ひと通り案内してもらったから街でどんな施設があるかだけはわかるし、まずは生産に必要な道具集めといくか。
今のところ俺の持っている生産スキルは【調合】のみだが、レベルアップのおかげで、俺のscは12ある。
sc1の生産スキルに限れば12個入手可能だ。
何からでもやろうと思えばできる。
俺が、ゲームプレイでいつも求めているのはゲームマネーだ。
別に戦うゲームが嫌いじゃない。
レベルを上げて強い敵を倒す。
いいじゃないか、俺も昔はすすんでそういうプレイをしていた。
だが、気がつけばレベル上げをいかに効率よくするかに固執してしまう。
敵を倒す事よりレベルを上げることを優先するようになった。
効率のいい狩場を調べて、効率よく狩りをする。
新しく強い敵が出たらそいつの弱点やらを調べて効率よく倒して、また効率のいい狩場に戻る。
他のPLが調べた情報をもとにまた狩りに行く。
その繰り返しをしている内にそういうプレイに魅力を感じなくなってしまった。
だからといって慣れきった習慣として死に戻りながら有効な攻撃を探ったり、どこのマップに何が出るかを自分の足で探すのは非効率に感じてしまって仕方がない。
だから俺は、プレイスタイルを変えた。
レベル上げは効率的に、そしてあいた時間でゲームマネーを稼ぐ。
転売が特に儲かったなぁ。
アイテムの価値とかはまとめサイトにまとめられない事も結構あるし、売買をたまにしかしない奴が、格安で市場に流すことはよくあることだ。
そういった物を速攻で買って、欲しがっている人がいたら本来の価値で売っぱらう。
転売厨だって、掲示板でだいぶ叩かれたけどな。
WinWinだと思うんだが何に腹がたったんだろうね。
他にも自分でアイテムを作ったりもした。
でも自作アイテムってのはゲームによってはあまり儲からなかった。
安い値段で同じようなものがたくさん売られてたりするし、ほとんどのゲームでドロップ品の武器性能で十分というか、制作品より強い場合が多かったからだ。
だが、このゲームだと違うらしい。
消耗品はもとより作って売るつもりだったが、武器や防具などの装備品を落とす敵は人型の敵しか確認されていない。
βテストで行ける範囲はこの街の周辺のみだったらしいが、ドロップ品の傾向からみて、そのモンスターが持ってそうなもの以外はドロップしないようだ。
獣みたいなモンスターが斧を落としてもびっくりだよなぁ・・・。
これは確実に稼げる。
それに装備品は耐久度が設定されていて使い続けると潰れるらしいから、武器防具の需要は常に一定数あるだろう。
消耗品もAMO内のNPCには在庫システムがあるらしく、店の在庫がなくなれば売ってくれないし、1日の生産量も決まってるらしい。
NPCの店だけで消耗品を済ませられない時がいずれ来るということは、PL同士の経済が回るということだ。
消耗品は一定の需要が常に存在する。
回復魔法で代用するPLも居るだろうが、MP回復薬あたりは常に需要があるだろう・・・。
このゲームで俺はゲームマネーを稼ぐ。
別に稼いだあとの目的なんて無い。
稼ぐのが目的だ。
数値が増えていくのは見てて楽しいからな。
よし決めた。まずは消耗品だ。
定番の回復薬をつくろう。
こういう情報はたいてい薬を売っている店にあるはずだ。
箱「そういえば、目的書いてなかったなぁっと・・・」
補足すると。
ゲインは、金儲けがゲームの目的。
でも別にRMTが目的じゃないです。