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第八話 対話

いつの間にか6000pv越えていて驚きです!


ほ本当にありがとうございます!!

「我が名はガルディア。生命を司る神なり」

「ガルディア神・・・」


サラは封印されて以来の再会なのだろう。静かに目の前の神、ガルディアの名を呟く。


「む?汝はもしや白天狼か?とうとう解放されたか」

「はい。名を貰い、今はサラと言います」

「サラか・・・良い名を貰ったな。そちらの者が攻略者か」


サラと言葉を交わし、ゼオンを見る。


「ゼオン・マークスだ」

「ふむ、汝の事はこの迷宮で見させて貰った。どうやらベルキンとラウラドの試練も乗り越えておるようだな?」

「わかるのか?」

「その装備を見れば分かる」


ガルディアはゼオンの全身を確かめるのうに見始める。


「フリューゲルはベルキン。ターバンとマントはラウラドだ」

「よく覚えてるな」

「当たり前だ。あの二神も再び作ろうとしても、二度と作ることは出来ない程の最高傑作だと自慢していたよ」


ゼオンは驚いた。それほどまでに凄い代物だったのかと。

二度と作ることが出来ない最高傑作とまで言わせるものだ。しかもそれを作ったのは神だ。


「して、何用で我を呼び出した?」

「とぼけんな。地上への転移魔法陣消したろ?俺達を帰さないつもりか?」

「ゼ、ゼオン!?」


ゼオンの神への口調があまりにも無礼なものだった為に、思わず声をあげるサラ。


「気にすることではない。転移魔法陣を消したのは汝らを帰さない為ではない」


ガルディアは目を閉じて、一拍置いて再び目を開けて言った。


「こうして対話の機会を作り、この世界の危機が再来しようとしていることを告げるためだ」

「危機が再来?」

「ガルディア神!それはまさか!!」


ガルディアの言葉にサラは何か覚えがあるようだった。かなりの焦りを見せている。


「汝は聞いておらんか?ベルキンもラウラドも教えなかったというのか?」

「一つ言っとくが、対話はここが初めてだ」

「なに?」

「聖神石という存在をサラに聞いて初めて知った」

「・・・そうか、ならば仕方ない。ベルキンとラウラドの二神も呼ぼう。ゼオンよ、聖神石にもう一度魔力を込めてくれんか?」


ゼオンは聖神石に触れて魔力を流し込む。先程と同じように、触れている所からオレンジ色の炎のような光が広がって聖神石に行き渡り、2つの光が放たれた。


「なんだよガルディアのオヤジ。いきなり呼び出しやがってよ」

「ベルキン、ガルディアは何の用もなく呼び出すような方ではありません」


荒々しい口調の若者のような姿の神、ベルキンと丁寧な言葉のロングヘアーの爽やかそうな男、ラウラドが現れる。立ち位置はガルディアを真ん中にして、ベルキンが右に、ラウラドが左に居る。


「お前も居たのか」

「静かにせい、客人の前であるぞ?」

「あ?客?」


ガルディアの言葉にベルキンは前をみる。


「この人間が?」

「あなたの迷宮を攻略したようですね。彼が何か?」


ガルディアは気付かんのか?と溜め息を吐いて告げる。


「お前たちの迷宮も攻略している男だ」

「はぁ!?」

「この者がですか!?いや、確かに私が作ったターバンとマントを身に付けている」

「マジかよ・・・おいお前、フリューゲルを持ってんのか?」


ラウラドの言葉に信憑性が生まれ、確認をしようとゼオンに言う。


「お前じゃない。ゼオンという名前がちゃんとあるんだがな?」


そう言いながらホルスターから右のフリューゲルを取り出す。


「なんだとテメェ・・・って、本当にフリューゲルだ。オヤジの言うことは本当みたいだな?」

「だから言っているだろう?」


ガルディアの言葉の直後、ベルキンの表情が歓喜にもに似たものが現れた。


「そうか!ハッハッハ!お前があの試練を!そうかそうか」


突然声をあげる。


「はじめましてだな!ゼオンと言ったか?顔を隠してるから気がつかなかったわ!」

「ベルキン、その辺でやめてもらえませんか?話が進みません」

「あぁ?・・・それもそうだな。で?ガルディアのオヤジ、なんで呼び出したんだ?」


荒々しい口調で話すが、意外にも聞き分けのいいベルキン。ラウラドは分ければよし、といった様子でうなずきガルディアに視線を移す。


「彼は私達の試練を攻略したが対話には至っていないため加護を与えていない。だからこの場で加護を与える、と言ったところですか?」

「それもあるが、加護は話が終ってからで構わん。我が呼び出したのは・・・」


「魔神か?」


ベルキンは鋭い眼光を光らせながらその名を口にして、ガルディアは無言でそれを見る。


「・・・肯定か」


その無言をベルキンは肯定と見なす。


「まて、魔神は倒されたんじゃなかったのか?」


ゼオンが疑問の声をあげる。伝承では神代に魔神が世界を乗っ取ろうとして、神々の戦いが始まった。長い激闘の末、魔神は倒された。


「恐らく、人間達の中で伝わっている話では魔神は倒されたものと言われているだろう。だが、正確には倒されたのではなく、封印されたのだ」

「・・・なるほどな、てことはその封印が解けるってことか?」

「その通り」

「そんな・・・」


サラが少し恐怖の表情をしている。魔神の強さ、恐ろしさを直に見ているからだろう。


「だからこその、ここでの対話だ」

「どういうことだ?」

「君にお願いをしたいのだ」


ガルディアが口を開こうとしたとき。聖神石から声がする。


「そのお願いについては私から言わせてください」

「「「!!!」」」

「まさか!!」


突然響いた美しい女性の声にガルディア、ベルキン、ラウラドが目を見開き、サラが声をあげる。


「・・・」


ゼオンは聖神石に手をかざして魔力を送り込む。

すると、ガルディアやベルキン、ラウラドの時よりもさらに強い光が放たれ、女性の姿を形作った。


「ル、ルティナ神!」


この女性の神はこの世界と神々を生み出した創造神にして主神だ。創造の主神ルティナ、それが彼女の名前だ。


「私はルティナ、あなたにお願いがあります。魔神の復活を阻止して頂きたいのです」

「復活の阻止?倒すんじゃなくてか?」

「はい、あなたは邪教徒をご存知ですか?」


ルティナは唐突なことを言い出した。もちろんゼオンは知っている。魔神を崇拝する危ない宗教集団だ。


「邪教徒が魔神を崇めることで魔神に力が戻りつつあるのです」


ルティナの説明は続いた。

神は人々の祈りが力の源の一つである。魔神もあくまで神であり、封印され力を失ったが邪教徒の崇拝により力が戻りつつあるという。

邪教徒の起こりは、大昔の世界規模で起こった大戦争で人の愚かさと破壊される自然を嘆き、世界を守る存在の神ではなく、世界を破壊しうる存在の魔神こそが人という存在を消し去り、世界秩序をリセットして真の世界平和を実現できるという異端な考えから生まれたという。

そして、その邪教徒は魔神の力の影響で魔族へと変貌し始めていること。それに伴い、魔王が出現し、これによってさらに魔神の復活が近くなったことを教えられ、最後に神の試練、超高難度迷宮は魔神に少しでも対抗できる人間を探しだす為であることを教えられた。


「そして、あなたにしたいお願いと言うのが。魔王と魔族を退け、魔族を崇拝する存在を無くして頂きたいのです。魔神が復活する前に」

「おいおい・・・話のスケール、デカ過ぎじゃねえか。そもそも、俺にそんなことお願いしていいのか?他に適任者がいるんじゃないのか?」

「むしろあなた以外にいないのです」


何故だ?と首をかしげるゼオン。


「汝は我等の試練を三つも攻略している。しかも最後の試練は一人で乗り越えた。神に近い力を既に持っているに等しい」

「神に近い力?まて、俺は何もないぞ?」


これは謙遜等ではなく事実だった。ステータスを見ても何の変化もなく、あったとしても「二つの試練を乗り越えし者」という称号があるだけだ。


「それは、俺とラウラドの試練を攻略したときにこうやって対話しなかったろ?」

「今回が初めてだな」

「本来は試練の攻略の後は聖神石を通じて対話をし、その試練の神が攻略者に力として加護を与えるのです」


ゼオンは同時に3人の神から加護を与えられることとなる。


「それではガルディア、ベルキン、ラウラド。この方に加護をお与えなさい」

「じゃあ、まずは俺からだな」


ベルキンがゼオンの前に歩み出て、右手をゼオンの左肩に乗せる。すると右手が光だし、その光にゼオンは包まれた。


「この俺、武の神ベルキンからは、あらゆる武器を達人以上に使いこなし、格闘においても一騎当千となりうる力を与える。まぁ、今更お前には必要ないかもしれにいが、受け取ってくれ」


言い終わると同時に光も消え、ベルキンは手を離す。


「この加護は何でも武器として扱う事ができるぜ。簡単な例は、その辺に転がっている石ころをれっきとした投擲武器として投げるとか、そんな感じだ」

「要するに、その辺の物を即席の武器として扱えるってことか?」

「おお!そうそう!そういうことだ!」

「失礼、次は私が加護を与えます」


今度はラウラドがゼオンの前に来て、手を頭に乗せる。


「私、技巧の神ラウラドからは、万物生成の力を与えます」


こちらも同じように発光し、言葉が終わると同時に光は消えた。


「この加護は武器や道具、薬品などあらゆるものを素材さえあれば何でも作り出せる。正確には錬成と言ったところかな?勿論、魔法武器や魔法道具に魔法薬も作れる」

「最後は我だ」


ラウラドが下がり、ガルディアがゼオンの前に来て、ゼオンの胸、心臓がある位置にに手を当てる。


「我、生命の神ガルディアからは、魔族との戦いに耐えられるよう、より強靭な肉体を授けよう。これで、怪我の治りも早くなり、最後の試練である、ゴーレンを倒した時のスキル発動後の反動も軽減されるだろう」


「リミッター解除」発動後の反動軽減は嬉しいものだった。そして、他の二神からの加護もこれからの戦いに非常に役立つものだとすぐに理解できる。


「これで加護は与え終えましたね。それでは、魔神と魔族をお願いします」

「質問いいか?魔族をなんとかするのにどっかの国に属したりしなきゃいけなかったりするのか?あとはこんなやり方でやれ、みたいなこととか」


ルティナは少し考えてから答えた。


「やり方はあなたにお任せします。そして国とは、あくまでも協力する(・・・・)だけ関係の方がよろしいかと。国に属してしまえば、その国の命令に従い動かなければなりません。あなたは自由に行動できた方がいいと思います」


たしかに、どこかに属することなく個人で動いた方が色々と好都合だったりするだろう。


「分かった。じゃあ、俺の独断で行動させてもらうぞ?」

「はい、では改めて。ゼオン・マークス、あなたに創造の主神ルティナより、直々のお願いです。魔族と魔王を退け、魔神の復活を阻止してください」

「その願い、引き受ける。いや」


ゼオンはしゃがんで右膝を地面につき、左膝を立てて右手を左胸に当てる。


「その願い、しかと引き受けさせて頂きます」


ゼオンの改まった態度にガルディア、ベルキン、ラウラドの三神が目を見開き、ルティナはクスリと笑う。


「改まる必要はありませんよ?あなたはいつも通りのあなたでいてください、その方が素敵です。何者にも影響にされることなく己の道を進むのです。それが、あなたの在るべき姿ですよ?ゼオン・マークス」


ルティナのその言葉を聞いてゼオンはニヤリと笑う。この世界ではこう在ろう、こうしようと決めていた事を見抜かれており、それを遠回しに肯定されたのだ。それも、この世界とこの世界の神の頂点である存在のルティナにだ。


「じゃあ、俺は自由にさせてもらうよ?ルティナ神」

「えぇ、しかし魔族と魔王のことはお願いしますよ?」

「勿論、それは何がなんでもやらせてもらう。サラを怯えさせてるんだ。これを許す気はないし、サラを守るためにもやるつもりでいる」


そしてもう二度と、大切な者を失いたくはない。もし己の大切な者を傷付けるような者が入れば、容赦はしない。


敵は潰す。


「ぜ、ゼオン・・・」


ゼオンの言葉に先程まで何も言わなかったサラが口を開いた。

今までこんな事を言われたことはなかったのだろう。いや、言われたことがなかった。

サラは白天狼の中でも一番強い白天狼だったのだ。雄の白天狼すらも叶わないほどの強者だった。だからこそ魔神との戦いにも参加したし、戦いが終結した後、試練である迷宮に封印されていたのだ。


つまり、守る(・・)側ではあったが守られる(・・・・)側ではなかったのだ。


「彼女のことも大切にしてあげてくださいね。それではあなた方を地上へ帰します」


ゼオンとサラの足元に転移魔法陣が展開され、二人は強い光に包まれる。


『我等の加護が、汝の助けとならんことを』


三神は、光に包まれた二人に言葉を贈る。そして、二人を包んでいた光が消えると、ゼオンとサラの姿も消えていた。


どうか、お願いします・・・


ルティナは祈った。世界が救われる事と、自身が異界から呼んだ魂を持つゼオンの無事を。

急展開になってないか心配です


大丈夫ですか?

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