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第二十五話 ギルドマスター カリーナ

また更新までに間が大きくひらいてしまった・・・


更新頑張ります


読者の皆様に楽しんでいただけるように!

リッド商会が行っている違法薬物「ゲル」の製造にテューバー子爵が関与しているという確実な証拠を探すという依頼を、正式にゼオンへの極秘依頼ということでギルドへ出すことが決まった後は、細かな決め事の話になった。


1、リッド商会は潰しても構わない。


2、ガウェイルは捕まえること。ただし、抵抗するようならば痛め付けても構わない。


3、テューバー子爵関与の証拠は、何らかの書類やそれと思われる品物などの証拠品、もしくはガウェイルの自白、何でも良しとする。


4、自白の場合、でっち上げは許されない。


5、製造施設は証拠として残すこととするが、多少の破壊は仕方なし。


6、成功報酬は依頼完遂後に相談


これが主な決め事となった。


「しかし、ゼオン様。如何にして施設を発見したのですかな?」

「ガウェイル・・・だったか?が、俺達に対して影の者を寄越してきたのさ。返り討ちにして放置しておけば、後は俺のスキルで追跡は簡単だ」


スキル【魔力探知】を使って影の者の魔力を追えばガウェイルの所にでも辿り着くだろうと思って追跡した結果。案外うまくいった処か、その時丁度製造施設にガウェイルが視察にでも行っていたのだろう。思わぬ収穫だった。


「つまり偶然・・・と?」

「そうだ」

「くはははははははは!ゼオン!貴様は実に面白い男だ!」


ゼオンとセバスのやり取りを聞いていた伯爵は大きく笑う。因みに周りの仕事の補佐をしていた兵士と秘書は少々呆れ気味だった。


冒険者とは言え、どこの馬の骨とも知らぬ人物が持ち掛けて来た話を、彼ら、彼女は信用出来なかったのだ。


しかし、人を見る目も、実力も、その他あらゆる面でもこの中ではダントツのセバスがゼオンを警戒(・・)せずにこの部屋へと入れたのだ。ならば自分達はそのセバスの目を信じるしか無い。

こういった経緯があっての呆れなのだが、当の3人は全く気にしていなかった。


「どうだ、私の所に来ないか?」

「遠慮します」

「ほう、即答するか。ますます気に入った!気が向いたらいつでも言ってくれ。歓迎しよう」

「・・・・一応考えておきます」

「よろしく頼むぞ?」


何が楽しいのか、物凄いイキイキとした表情でゼオンに勧誘の言葉を投げ掛けていたマウンティス伯爵。その様子を見ていたセバスは思った。


こんなにもイキイキとした表情はいつ以来だろうかと。そして、それを引き出したゼオンはどんな男なのだろうかと。もっとこの男について知りたい。身を持ってこの男の力を知りたい。


無意識にゼオンと戦ってみたいという、戦闘欲が湧いてくる。


セバスもまた、マウンティス伯爵と同様に胸を踊らせていた。その事に気がついたセバスは表情には出さずに笑う。この歳になっても、まだ好奇心が湧くのだなと。


だが、マウンティス伯爵もセバスも気が付いていない事がある。


それは、始めからこの話は失敗することはないという提で進んでいることだ。


これは超高難度迷宮を単身で攻略出来るほどの力を持っているゼオンの、謂わば絶対強者の風格とも言うべきものがある故がの、魅力(カリスマ)から成るものだった。


「では、俺はそろそろ」

「そうか。明日の朝にでもギルドに行けば、この仕事を受けれるだろう」

「分かりました」

「報酬は何が良いか、考えておけよ?」

「ありがとうございます」


ゼオンは一礼して部屋を出た後、再びセバスに案内されて屋敷を後にするのであった。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




ゼオンとマウンティス伯爵の間で摘発の話が進んでいた頃。


テューバー子爵の館ではリッド商会長、ガウェイル・リッドが呼び出されていた。


「おのれぇ!なんたる失態だガウェイル!」

「うがぁっ!」


ガウェイルを怒鳴りながら蹴りつける肥満体型の男、テューバー子爵はかなりご立腹だった。


「冒険者ごときに大きな損失をした挙げ句、あんな核心をついた噂を流され!更には施設に侵入した者を取り逃がしただと!?ふざけるな!」



バキィッ!


「うばぁっ!」


更に顔を殴り付ける。


「もしこの事が伯爵に真実だと知られたらどうするつもりだ!」


焦りから来る冷や汗なのか、怒りの興奮から滲み出る脂汗なのか分からない汗を流しながら、その口から唾を飛ばしながら、ただひたすら怒鳴り続けるテューバー子爵。


ひとしきり怒鳴ったテューバー子爵は、怒りが多少は治まったのか、怒鳴るのも殴るのも止めてガウェイルから離れる。


「伯爵の所に紛れ込ませた私兵からは何の連絡も無いからな。まだなんの行動も起こしていないのだろう」


実は既にセバスの手によって抑えられているのだが、それを知る由もなかった。


「噂を流したのはその冒険者で間違いない。さっさと殺してこれ以上噂を立てられぬようにしろ!」

「わ!分かりました!しかし、あの冒険者はかなりの実力を持っているようでして。影の者を送り込んだのですが、全て返り討ちにそれて、道端に放置されたようです」


道端に放置された。


その言葉にピクリと反応したテューバー子爵。


「・・・施設への侵入者も恐らくその冒険者だ」

「・・・え?」


間の抜けた返事をしたガウェイルに苛立つテューバー子爵。何故こんな簡単なこともわからないのだと。


「その影の者を殺さずに放置したのだろう!?てことは何らかの方法で追跡することが可能で実際にそれをやられたということなのだ何故気が付かん!!」


セリフに「、」が入らない程に早口でまた怒鳴るテューバー子爵。それに対して、そうだったのか!とでも言いたげな表情のガウェイル。


「貴様は本当に商人なのか?・・・・まぁいい。とにかく!こちらで手練れの者を用意する。その冒険者を殺してこれ以上我々の周りをうろつかせるな!いいな!!!」

「は、はいぃ!!!」


慌てて出ていくガウェイル。それを見送ったテューバー子爵は先程言った手練れの者、最近雇った傭兵「赤眼(あかめ)のルーク」を呼び、ガウェイルの屋敷へと送り込むのだった。


ガウェイルが言った影の者はその道のプロで、数々の仕事をこなしてきた精鋭達であった。彼らはターゲットに気付かれずに接近して仕事を完遂する。もちろんテューバー子爵はそれを知っているのだが、怒りで完全に見落としている事がある。それは、そんな彼らの接近を察知して返り討ちにしているということだ。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






翌日、ゼオンは一人で冒険者ギルドへと来ていた。


昨日マウンティス伯爵の屋敷を出た後はそのまま宿へと戻り、リッド商会へ攻める事を伝えた。その際に、サラから自分も一緒に行くと言ってきたが、これはあくまでもゼオン一人に対しての依頼であるため、サラとメリアを連れていく訳にはいかなかった。


その辺りの事情を理解してか、渋々と言った様子でついていくことを諦めた。


メリアはメリアで何やらギャーギャー騒いでいたので、チョップで沈め・・・静めておいた。


メリアはいつからあんなアホになったのだろうかと考えながら受付の元へと向かう。


「おはようございます。本日はどのようなご用件でしょうか?」

「俺はゼオン。俺に指名依頼が来ていると思うんだが」

「・・・あ、ゼオンと名乗る冒険者が来たら連れてくるようにギルドマスターに言われていました。あなたがゼオンさんですね!こちらへどうぞ」


受付嬢に連れられ2階へと向かう。その先には応接室があった。


そして、そこにあるソファーには既に一人の人物が座り、優雅に紅茶を飲んでいた。


「あら?待っていたわよ。冒険者ゼオン・・・でいいかしら?」


ゼオンが来たことを確認したその人物はティーカップを置き、立ち上がる。


すっげぇ巨乳!


この人物に対するゼオンの第一印象はこれだった。


別にゼオンは変態でも、胸が大好きという訳でもなく、恐らくこの人物を目の前にしたら誰しもが抱く感想ではないだろうか。


この人物、女性はドレスのような衣服に身を包んでおり、大きな胸をさらに主張するかのように大胆に胸元が開いている、非常にセクシーな服装だった。その下のくびれもいい具合に引き締まっており、お尻までのラインがエロい。肌色は少し褐色で顔も物凄い美人。だが、彼女から放たれている雰囲気からはただ者ではないと理解できる、と同時に母性を感じる程に暖かなものがあった。その耳を見ると、どの種族なのかがハッキリと分かる。


長寿な種族として有名なエルフ族だ。


「あんたがギルドマスターか?」

「えぇ、そうよ?私がカーゼル支部を任されているギルドマスター。カリーナよ」


よろしくねと微笑むカリーナ。この笑みを見て堕ちない男などいないのではないだろうか。


「あぁ、よろしく」


・・・・ゼオンを除いて。


ゼオンの反応が特に変わったものでも無いことに、カリーナは逆に興味をひかれた。


今までは顔を赤くしたり、鼻の下を伸ばしたりする輩ばかりだったが、ゼオンはそれがない。


至って素だ。清々しい程に素だ。


確かに魅力ある男だ。


これがカリーナのゼオンに対する評価だった。


マウンティス伯爵から、ゼオンの話を聞かされていたが、たかが知れていると正直考えていた。だが、実際に目の前にした瞬間、それは間違いだと知る。


カリーナを見て赤面するでも取り乱すでもなく、素でいるのもそうだが、彼女の持つスキル、【オーラ視認】を用いて見た時、光って見えたのだ。




オーラ視認:オーラを見ることができるスキル。オーラとは魔力や神力のようなエネルギーではなく、その個人の才覚、可能性、運命を司るもの。その他に、体調によっても変化するし、その人物が嘘を言っているのか真実を言っているのかでも変化する。



オーラどころではない。神々しさ溢れる光を放っていた。


それは精霊以上のものだった。むしろ、カリーナの契約精霊や彼女になついて勝手に付いてきた精霊がゼオンのことを気に入った様子で、ゼオンの周りを飛び回っている。


これには驚き以上のものがあった。


エルフ族は魔法を得意とする種族として知られていると同時に、精霊と意思を交わすことのできる唯一の種族でもある。故に、種族固有の能力として精霊との契約を果たすことができるのだ。


常識として、精霊は気まぐれではあるもののエルフ族以外の種族にはなつくことはないとされている。それはエルフ族、人間族、その他種族でも変わらない。だが、ゼオンはそれを覆してしまっている。


とんでもないのが来たわね・・・


これがカリーナの正直な感想だった。


嫌悪などではなく、好奇心として。

・・・楽しんでいただけました?

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