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第二十話 亜種と変種

更新が遅くなっているモリータです


本当にすみません


最近頭が働かなくて執筆速度が上がりません

それでも頑張って更新していくので

応援よろしくお願いします!


それではどうぞ!

「やっぱりサラの神力はすげぇな」


サラがオークを一掃した光景を見ながら呟く。


「ヒュドラ討伐の時は攻撃全部防いでたしな」


そう、サラが冒険者に登録して最初に受けた仕事。ヒュドラの討伐の時は、6つの頭から繰り出される多種多様な属性魔法攻撃を全て相殺して見せた。

それもたった1つの神力、光の神力で展開したシールドによってだ。


ゼオンはそれを見ながら、これがそのまま攻撃力になった場合、どれ程頼りになるかと考える程だった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





この世界に存在する魔物は、地上にいる普通の魔物を通常種として考える。そして希に出てくる、通常種とは異なる体色の魔物を亜種と呼んでいる。特徴としては、体の色が違うだけでなく総合的にステータスが通常種よりも高くなっている。その為、亜種は基本的に通常種よりも1ランク上の魔物として数えられる。ここまでが地上に存在する魔物で、次は迷宮にのみ存在するとされる魔物を説明する。


迷宮には通常種はもちろんのこと亜種も存在している。むしろ地上よりも遭遇確率はかなり高くなるほど。だが、迷宮にはそれだけでなく、体色はもちろん、本来は属性を持たない魔物が属性を持っていたり、通常種とは異なる属性を宿す魔物が出始める。


これらの魔物は亜種とは別に、変種と呼ばれている。


今現在、ゼオン達3人が対峙しているのも、その変種と呼ばれる魔物だった。


「まさか、29階層のボスがオーガの変種とはな」


目の前にいるのは体長3メートルの赤い体色で、通常種よりも狂暴性が増しており、近づくことすら危険だと言われる。その身に宿すのは炎で、肩や肘からは炎が吹き出している。そして両手持ちの剣。


ここまでの道中、ゴブリンやオーク、しかも亜種ですらなく通常種とゼオンにとっては骨の無い魔物ばかりだった。その為オーガ変種という油断出来ない魔物の登場に、思わず笑みを浮かべてしまう。それも獰猛と言える笑みをだ。


だが、


「私にやらせてくれないか?」


サラがそんな事を言ってくる。


「どうしたんだ?」

「登場から活躍の場がほとんど無かったからな。・・・それに」


サラは微妙に熱もった視線をゼオンに向けて。


「少々、欲求不満気味だ」


あまりの色気にゼオンは思わず襲いかかりそうになってしまった。それをなんとか抑えて言う。


「帰ったら一晩中相手してやる」


その言葉を聞いて満足したのか、うなずいてオーガ変種へと向き直り右手を握りしめ炎を灯す。


「さて、オーガなるものよ。貴様の炎と私の炎、どっちがアツいか・・・比べようではないか!」


右手の炎はボウッとまたたくような音と形から徐々に細く一点にまとめられ、音もゴォォォォォッといった具合に変わっている。

その見た目はガスバーナーから放たれている炎のよう。だが、一瞬の乱れもなく綺麗にまとまっている。


「ヒートブレイド」


神力によって作り出した炎を圧縮して剣のように扱う技術はサラが独自に編み出したものだ。


それを構えて走りだし、一気に肉薄。


拳を振り降ろすオーガ変種だが、その拳は地面にめり込むだけに終わる。


サラはオーガの拳を前に転がるように回避し、その流れのまま顔に目掛けて跳躍した。それに対し腕で顔を庇うようにガードしようとするが。


「半端な耐性では凌げんぞ!」


その腕を斬り落とす。


変種は宿している属性と同じもの、炎なら炎の属性に、風なら風の属性に対して非常に高い耐性を持っている。だが、サラはそれを半端だといい無いも同然にダメージを与えてしまった。ここで魔力と神力の違いが出るわけだが。

神力を簡単に説明すると魔力よりも上位に位置する力で、この世に存在する全てのものに宿る魔力と違い、神格を持っているものにしか宿らない、魔力よりも遥かに密度の高いエネルギーといえる。だからこそ、100の魔力に対し、1の神力でも圧倒出来る程の差があるのだ。


ちなみに神格を持っているものとは、その名の通り神や神獣と呼ばれる存在である。よって、地上の生物に宿るのはありえない。


サラはそんな神力を使って攻撃を行っているのだ。結果がこうなることは分かりきっている。

それでも油断することなく立ち回っているのは流石と言える。


腕を斬り落とした後はそのまま着地して、オーガ変種の股下を滑り込むように抜けて背後をとる。

その際にヒートブレイドを解除して火球に変え、背中に放った。


ドォンッ!


突然の攻撃に怯んでしまうオーガだが、流石はボス級の魔物、すぐに立て直す。


「ガァァァァァァ!!」


よくもやってくれたな!と言うが如く雄叫びをあげて斬り落とされていないほうの手に握った両手剣に炎を纏わせて突きを放った。


ゴォッ!


それを炎で作った壁で相殺するサラ。

それだけでなく押し返して見せる。


突きを押し返されたオーガは大きく体勢を崩してしまい、それを隙と見たサラは無防備となった頭へ直接ダメージを与えるために跳躍する。


跳躍したサラを視界に捉えたオーガは、叩き落とそうと踏ん張り、剣を降り下ろした。


「上ばかりを見てていいのか?」


サラが不適に笑う。


その直後。


ズガァァッ!!


「オオォォォォォォォォォォォォ!!」


オーガを円形に囲むように炎のトゲが出現し、一瞬で貫いた。


「ふっ、私にばかり意識を向けていたのが仇となったな」


サラがオーガ変種の攻撃を回避する時に()ではなく()に回避していたのは、このトラップ型の術式を仕掛ける為だった。


炎のトゲによって体内から焼かれるオーガはあまりの痛みからか、声になっていない声でひたすら叫び続けている。


サラはおもむろに手を上にかざして岩の槍を構築し始めた。


「そのままでは辛いだろう。すぐに終わらせてやる」


完成した槍をオーガの胸に目掛けて放つ。


ドスゥッ!


「ガッ!・・・ア!」


岩の槍は寸分違わず心臓を貫き、破壊した。それと同時にオーガを焼いていた炎のトゲが消え去る。


ズゥゥゥン・・・


そして糸が切れたマリオネットのように倒れるオーガは、一切動くことは無かった。


「終わったぞ?」


それを見届けゼオン達の方へと振り向き、笑みを溢すサラの表情は少しスッキリしたと言いたげなものだった。


「流石だな」


ゼオンはサラの頭を撫でながら感想を述べる。


「凄かったよ!あんな戦い方があるなんて!」


メリアは凄まじく目をキラキラさせていた。


「そ、そうか」


戸惑いながら答える。


ズズズズズズズズズ・・・・


「次の階層に行く階段が出現したな。ここからは一気に難易度が上がるみたいだから引き締めろよ?」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




第30階層



ここからい一気に難易度が上がるというのは、どうやら本当のようで、出てくる魔物は通常種よりも亜種の方が多くなってきた。


ドン!ドドドドドドドドドォン!!ドドドドドォッ!


「こいつら、めんどくせぇな」



次々と襲い掛かる敵、蜘蛛型の魔物、キングスパイダーの亜種をフリューゲルの乱射で撃ち抜きながらゼオンは呟く。その数は目測でも50は超えている。

だが、その口から漏れた言葉のわりには余裕の表情である。


「迎撃が間に合わないよ!」

「広範囲攻撃で数を減らす。伏せろ!」


その言葉にゼオンとメリアは反射的にしゃがむ。


その直後。


ブワァァッ!!


不可視の何かがゼオン達の頭上を過ぎ去り、キングスパイダー亜種を真っ二つに切り裂いた。

不可視の何かは絶え間なく次々と放たれ、360度全包囲していたキングスパイダーの大群はその数を一気に減らした。


「風・・・かまいたちの様なものか」


キングスパイダーを切り裂いた不可視の何かは風だと察する。


「かまいたち?」


風で切り裂かれるなんて現象を見てゼオンはかまいたちが頭をよぎった。


「さすがに真っ二つにはならないけど似たような現象があってな。まぁ、実際には風によって切れるんじゃなく、その風によって巻き上げられた鋭利な小石などが原因だって説もあるけどな」

「・・・かまいたち、か。この術の名前をそのかまいたちにしようかな」


術名なかったのかよとツッコミを入れるゼオン。


「というより、たった今考えた術だったんでな」

「あんなのを即興で?」


すごいな、と感想を漏らしながらサラの頭を撫でるゼオンと嬉しそうに目を細めるサラ。


「ちょっ!二人とも手伝ってよ!」


二人だけの世界に入り込もうとしていたゼオンとサラをメリアは呼び戻す。


サラのかまいたちを上手く逃れた残りのキングスパイダーと一人で戦っていた。


そりゃもう必死に。


「仕方ない。数もかなり減ったし、一気に片付けるか」


ゼオンはターバンを外し棍状にして構え、空跳を発動してメリアに襲い掛かろうとしていたキングスパイダーを叩き潰した。


「お前はさがれ」

「ど、どうして!?」

「集中力が完全に切れてる」

「!」

「それだけじゃない。疲れもそろそろピークだろ」


ゼオンはメリアの動きから、集中力も切れて、疲れもかなり溜まってきていることを見抜いていた。


ゼオンは棍を振り回してキングスパイダーを牽制する。


「いけ!」

「うぎゃっ!」


無理矢理、魔力念動力でメリアをサラのいる方向へ押し飛ばして棍を正面に構える。


「かかって来いよ」


サラの足元にメリア転がったのを確認して呟いた。そしてそれに答えるように、一匹のキングスパイダーがゼオンに襲い掛かる。


がしかし。


グシャアッ!


頭部を一撃で粉砕されてそれは止まる。

だがゼオンは止まらない。


近くのキングスパイダーに肉薄して前足を棍で文字通り叩き斬り、その流れのまま一周まわしながら下へと潜り込ませるように持ってきて下顎からカチ上げた。


バキィッ!!


「ギ!・・・・ギギギ・・・」


空中へと放り出されたキングスパイダーを更に容赦なく叩き落とす。


背後から迫ってきたキングスパイダーに対して、振り向かずに突きを放ち、吹き飛ばす。


最高難度を誇る迷宮にして、神が作った試練である超高難度迷宮で出現する魔物と、自然発生の大迷宮でし出現する魔物で比べると、確実に超高難度迷宮で出現する魔物の方が強い。


それを一人で攻略するほどの実力を備えているゼオンに敵う魔物がこの迷宮にいるだろうか?


その答えは否だ。


ゼオンの無双を止めることができるものは、この迷宮に存在しなかった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「これが終わったら1度地上に戻ろうとおもうんだが、大丈夫か?」

「地上に?」

「メリアがそろそろ危ないんでな」


倒したきキングスパイダー亜種の討伐証明部位と、素材となる部位を剥ぎながらメリアへと視線を向ける。すると元気で弄り甲斐のある雰囲気ではなく、その真逆の、沈んで行きそうで、今弄られても相手する余裕がない。そんな雰囲気が滲み出ていた。


要するに疲れているのだ。


「この5日間の緩めることの出来ない警戒と連戦で精神的に疲れているんだろうからな。地上に戻って休みにしよう」

「大丈夫よ。まだやれるわ」

「大丈夫じゃないから言っている。いいか?精神の状態は肉体にも影響を及ぼすんだぞ?」


病は気からという(ことわざ)があるように、精神状態がそのまま肉体のコンディションに繋がるのだ。


例えば仕事などで、まったくやる気が起きない時、体が怠く感じる、なんてことはないだろうか?

逆にスポーツなどをやって、楽しいと思っている時は体が軽く感じたりしたことはないだろうか?


何かの大会やコンサートなどの本番で緊張しすぎて体が思うように動かないなんて経験をしたことがある人も中にはいるだろう。


これが精神状態がそのまま肉体に影響するということだ。


「今のまま続ければいくら回復してもすぐに消耗するだけだ」


実際、かなりの疲れを感じていたメリアは反論も出来ずゼオンの提案を受け入れるしかなかった。


「そんじゃ、引き返して地上に戻る転移魔法士を探そうか」


ゼオン達3人は転移魔法士がいるだろう場所、階層と階層の間にある部屋に向かい、そこに着くと丁度他の冒険者を転移魔法士が連れて来たところだった。

その魔法士は


「あれ?ゼオンさんにサラさんと・・・あ、おまけさん」


ゼオン達を29階層に連れて来た魔法士だった。


「おまけ、ということすら忘れられてるな」

「おまけですらなくなってるのか」

「もういいよ、なんでも・・・」


メリアは今までの疲れが一気にのし掛かってきたような感覚にとらわれ、ツッコミを入れる気力もなかった。

本当に展開が急になっていないかが心配です

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