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第十七話 迷宮へ

おまたせしました!

第十七話です!

メリアがどの程度戦えるようになったかを見るためにも森へと出かけた先で偶然助けた女性、ユイ。


そこで浮上した怪しい話。


その内容はユイの母親が病気にかかっていると聞いたが、ゼオンとしては効いたことのない症状だった為気になり診せて欲しいと頼み診ることに。


結果は病気ではなく「ヤドク草」という神経毒を持った毒草にやられている事が判明。


話しを聞くために解毒薬を飲ませて寝かせている。


「寝かせてるんじゃなくて気絶させてるじゃないですか・・・」


と、頭に三段コブを作りながらも不服の色を滲ませているのはユイ。


茶髪の女性で、顔立ちはサラ程では無いが綺麗と言える。体型は一言で言えばグラマー体型であり、めっちゃボンキュッボンと言うのがゼオンの印象だった。


女好きが見たらサラとは違う意味で確実に声を掛けられるのではないかと思う。


「病人にわざと不味い解毒薬を飲ませるなんて信じられません!」


ゴスッ!


「あうっ」

「良薬は口に苦しだ。黙って経過をみてろ」


ユイの頭に出来た三段コブの上に更にチョップを叩き込み四段目を作った。


「うぅ・・・その良薬は何とかってなんですか」

「良い薬はとても苦く飲みにくいけど、効き目は素晴らしいとかそんな意味だ」


俺の故郷に伝わることわざってヤツだと言って説明を終える。


「実際、さっきゼオンがねじ込んだ解毒薬でなければ効果は薄かっただろうしな」


サラがゼオンのフォローついでにその意図を伝える。それを見たゼオンは、よく分かったなと微笑む。


それに置いていかれるメリアとユイ。


「・・・ん?」


それを助けるかのように目を覚ますユイの母親。


「お母さん!」

「ユイ・・・」

「起きても大丈夫なの?」

「えぇ、痺れとかも無くなってるし。何だか体も軽い」

「どうやら効いたようだな」


喜び合う二人に声をかけるゼオン。


「すみません、ありがとうございます。このお礼は・・・」


お礼はしたいがお金も渡せるような物もない。そんな表情をしたあと、意を決したように唇を噛み締めて。


「こ!・・・この体でもよければ!」

「いらん」


即答だった。

ユイの母親は16近い子供を持つ母親とは思えない美しさを持っている。もしかしたら、それだからこその色気と美しさなのかもしれない。美人と言える。ユイのグラマーな体型は母親譲りなのだとゼオンは考える。


「じ、じゃあ私の・・・」


ガゴスッ!


「あふぅっ」

「いらねぇつってんだろ」


ゼオンが放ったチョップにより、ユイの四段コブが六段コブに進化した。ここまで来るともはや芸術的といえる。


「サラ以外の女を抱くつもりはない」

「な、何で二回も・・・」

「お前の母親の分だ」

「い、いらないって・・・じゃあ、何をお礼に差し出せば・・・」

「礼はいらん。だが、どうしてもと言うのならユイ、お前が集めた薬草を全て俺に寄越せ」

「や、薬草を・・・ですか?」


思わぬ要求に戸惑うユイ。


「そうだ。その薬草を使って薬が作れるからな」

「つ、作るんですか?」

「作らないなら何に使う?食べるのか?」

「い、いえ」

「それとお前、えーと・・・」

「・・・あ、セーウェと言います」

「セーウェ、まだ寝てろ。体力もかなり消耗してんだ、そのまま起きてたらそれこそ死ぬぞ」


セーウェと名乗ったユイの母親はゼオンの身を案じる様子が、今は亡き夫と重なり一瞬ドキリとした。ユイもまた、ゼオンが自分の母の事を心配してくれているのだと嬉しく思った。


だが


「せっかく使った解毒薬が無駄になる」

「「・・・・・・・」」


それは一瞬で崩れる。


「そんな事よりも、なんでヤドク草なるものの毒にやられていたんだ?」

「そ、それは」

「ユイ、いいの。この人達には助けられたのよ?」


サラの問いにユイが何か言おうとしたがそれをセーウェが止める。


「お話しします」


セーウェが語った内容は。


セーウェの夫がリッド商会に騙され借金を背負い、その返済の為と商会に使い潰され、返済しきれぬまま死んでしまったという。それがそのままこの母娘に来たという。そこでセーウェがリッド商会で返済の為に働くのだが、一番収入があるとしてやらされた仕事がヤドク草を都市内へと運び込むというものだった。


その仕事をする中で、ヤドク草はこの都市の貴族の一つ、テューバー子爵が管理する施設へと運ばれていたことを知る。


「なるほど。そのテューバー子爵とやらがリッド商会の後ろ楯になって、薬物を作ってるってわけか」


権力を使った違法行為。


目の前の母娘はそれに巻き込まれている。


「事情は分かった」

「どうにかしてあげることって出来ないの?」


ゼオンにそう問いかけるのはメリアだった。


「どうにかってのは、つまりどうするんだ?」

「だから、お二人を助けることは出来ないかな」


メリアは二人が抱えている問題を解決したいようなのだ。


「助けたいなら助ければいいじゃねぇか」


この言葉にメリアは期待の色に目を染めるが。


「頑張れよ、俺は何もしないからな」

「な、なんで!?」

「なんで?お前は馬鹿か?いいか、これはこの二人の問題であって俺達が口を出すことじゃない」

「でも!騙されて借金を背負ったんだよ!?それでお父さんも亡くなったって!」

「それならこの二人が領主なりに訴えればいい話だ。ヤドク草を使って違法薬物を作ってる可能性もあるわけだしな。ガサを入れるには充分な理由になるさ。それとも」


ゼオンは更に続ける。


「お前が代わりに借金を払うか?」

「っ!」


メリアは何も言えなかった。言外にこの二人を助けるのならば、少なくともそれくらいはしなければいけないと、ゼオンは言っているのだから。


「とは言っても、まったく何もしないってのは後味が悪いから、多少の手助けくらいはしてやる」


ゼオンはそう言うと、異空間倉庫(アイテムボックス)から一振りの剣を取り出す。


「こいつはとある迷宮で見つけたアーティファクトだ。これを売れば返済の足しになるだろうさ」


ユイにアーティファクトの剣を手渡す。因みにこの剣は、迷宮で見つけたものではなく、ゼオンが試作として作った剣である。その性能は魔剣と言っても過言ではない程のものとなっている。それこそ迷宮で見つけたものだと言われて納得するほどに。



ここでアーティファクトについても説明しよう。


この世界にはマジックアイテムと呼ばれる物と、アーティファクトと呼ばれる物がある。


アーティファクトとは、今となっては失伝してしまっている神代の技術で作られていたり、迷宮などに存在している魔力を動力に使う道具や武器のことである。迷宮にあるものは、迷宮で放置された物がその魔力の影響を長期間受け続けて変質し、アーティファクトとなる。性能は千差万別だが、総合的に高いと言える。超高難度迷宮のアーティファクトはその迷宮を作った神が作っている。


マジックアイテムは、アーティファクトを人工的に作り出そうとした結果生まれたもので、劣化版といえる。性能もアーティファクトに比べると劣るが、中々手に入らないアーティファクトとは違い、お金さえあれば入手出来るという利点がある。


「う、受け取れません!こんな貴重なもの!」

「そう言われてもな。俺もいらん。売って金にしろ」

「だったらゼオンさんが売ればいいじゃないですか!」

「生憎だが、金には困っていない」

「で、でも!」


何とか剣を返そうとするユイにゼオンはまた苛立って。


「黙ってありがたく貰っとけ!」


ゴスッ!


「あぎゅっ!」


再びチョップを叩き込み、コブが消えていた頭にまたコブを作る。


「あの、本当によろしいんですか?」


セーウェが確認のために訪ねる。


「フフッ、不安なのも分かるが、これはゼオンの好意だ。そして、好意は断らずに受け取っておく方がいいぞ?」

「・・・そういうことだ」

「解毒してもらっただけでなく、お金までお世話になって・・・本当にありがとうございます!」


サラの言葉とゼオンの肯定にお礼を言うセーウェ。

ゼオンはその後、セーウェにあと1日は安静にしておくように言い付けて、その場を後にした。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





翌日


ゼオン、サラ、メリアの3人は迷宮の出入り口付近に来ていた。


カーゼル迷宮都市は迷宮を中心に作られているため、都市のど真ん中に迷宮があることになる。

そして迷宮の出入り口を囲むように高い柵が作られており、その中に入るには1ヶ所だけある門を潜らなければならない。そこで探索タグと呼ばれるタグを提示することになっている。探索タグとは、冒険者ギルドで発行してもらうことができ、何故このタグが必要なのかと言うと、これで迷宮の中で行方不明になった者や死んだ者の数をより明確にするためである。


タグを見せて記録してもらって迷宮に入り、そのまま行方不明になれば迷宮で行方不明になったと分かるし、そうでなければ迷宮で行方不明になった訳ではないと分かる。


ゼオン達3人は既に探索タグを発行してもらっている。

タグには名前と性別、年齢、種族、職業が記入されている。


「あ、すまない。この迷宮は全部で何階層あるんだ?」


ゼオンは門番に訪ねる。


「今は60階層だな」

「今は?」

「そうだ、今はだ」

「この迷宮、未だに成長してんのか?」

「あぁ、ここ最近、階層が増えそうな兆候が出始めてな」

「・・・なるほどな。てことは亜種どころか変種や希少種の魔物もいるのか?」

「そうだな。30階層から一気に難易度が上がるみたいでな」


この迷宮で力を付けていった新人冒険者達が30階層に入って戻ってこない、なんてことも良くあるし、熟練者でも40階層に上がるのにかなり苦労したという話もよく聞く。その度にで20階層までよりも一気に攻略が難しくなったと言われると門番は話してくれた。


「かなりの人が入ってはいるが、これでも大迷宮だからな。君達も無理に突発しようとはするな?」

「わかった、忠告ありがとう」


そう言葉を交わして迷宮の出入り口に向かう。


「よし!ここは大迷宮で、しかも30階層から一気に難しくなるらしいから、先ずは20階層で肩慣らし、そして30階層に入るか」

「い、いきなり!?門番の話聞いてた?て言うか、ちょっと待って?どうやって20階層にいくの?」

「転移魔法士がいるだろ」


迷宮を中心に発展していった都市や街では、迷宮内の任意の階層へ転移して連れていく仕事をする魔法士がいる。彼らはギルドから依頼という形でその仕事をしており、その報酬と転移を頼む迷宮に入るか人からのチップで生計を経てていたりする。


もっとも、自分が行ったことのある階層までしか転移出来ないので、転移出来る階層を増やすには自分の足で行くか、他の転移魔法士に頼んで連れていってもらうかになる。


だが、基本的には自分の足で行く人がほとんどだ。

何故かと言うと、自分の足で行って、自分の目でその階層には主にどんな魔物が居るのか、どんな地形なのか、どんな素材が手に入りそうか。それらの情報を集める為でもあるのだ。


鉱石が良く手に入る階層まで連れていって欲しい。


虫系の魔物が良く出るのは何階層?


等と言った要望や質問をしてくる者もいるのだ。

そして、迷宮のどこに転移するのかと言うと、階層と階層の間にある魔物も入って来ることのない部屋があり、そこへ転移することになる。


「なあ、転移を頼みたいんだがいいか?」

「構いませんよ、何階層ですか?」

「そうだな、29階層にお願いできるか?」

「29ですね?分かりました、そちらのお二人もですか?」

「そうだ」


ゼオンは二人を紹介する。


「恋人のサラと・・・」


メリアを見て何と言おうか考えて。

















「おまけだ」





「えぇぇぇぇぇ!!!?おまけってひどい!!」

「分かりました、恋人さんとおまけですね!」

「あなたもひどい!!」

「行きます!」


抗議するメリアを無視して転移魔法陣が展開される。


「おまけ、置いていくぞ?」

「さ、サラまで!」


そのまま転移魔法士を含めた4人は光に包まれ迷宮の中へと消えて行った。

展開が強引に進んでないか、説明に矛盾がないか心配している今日この頃・・・

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