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初の外

早朝

僕はメイドのナーシャに抵抗虚しく強制的に布団を剥がれ、領地視察の準備をさせられた。

部屋に時計がないことを言い訳に遅刻していこうと思っていたのだが、この家のメイドは鬼らしい。

「ナーシャも父様も、可愛い2歳児に対する扱いが雑すぎると思わない?」

「「レアルは早熟だから、大丈夫」だと伺っております。」

僕の父様の愛情は少々歪んでいるようだ....


「レアル、準備はできたかい?」

噂をしていると父様が部屋へと入ってくる。

「後1時間くら...」

「聞くまでもないようだね。先に馬車で待っているね。ナーシャ、くれぐれもだらけさせないようにね」

「承知いたしました。」

可愛い息子のお願いを聞き入れる耳など、かけらも持ち合わせていないようだ.....

「ちょっと質問いいですか、父様」

足早に部屋を出て行こうとする父様を呼び止める。

「なんだい?レアル、言っておくけど.......」

「今回の視察にレルナート兄さんはくるんですか?」

小言を遮るように言葉を挟む。

「あぁ...視察の目的がレアルのお披露目だからね、レルナートは今回お休みだよ。

その代わりに、ちょっとした仕事を任せることになっている。」

兄の側に隠れてシャイな弟にでも、見せかければ

めんどくさい社交辞令も早く終わるかな〜と思っていたんだけど....

「ねぇレアルまさか”レルナートを囮にしよう”とか考えてたのかな?」

ここに来て商人さながらの鋭い洞察力に少々背筋に冷たいものを感じる。

「そ...そんなこと、ピチピチの二歳児が考えるれるわけないじゃないですか」

「まぁ、そういうことにしておくよ。」

ふぅ〜苦し紛れの言い訳が何やら功をそうしたようだ。




「よし、全員揃ったようだね。

時間も予定道理だよ。レアルが寝坊しないかヒヤヒヤしてたけど、その心配はいらなかったみたいだね?」

まだ、早朝の雰囲気が抜けていない空の下で

父様が皆に声をかける。

今回の視察のメンバーは6人

父様くらい背が高く、武人を思わせるような雰囲気を持つ執事長のナーバスと、

メイド長と同年代のキリッとした、印象をもたせる

ベテランメイドのノーヴァ

あとは、専属御者の男2人

そして父様と僕

道中では、海側の村で3泊し一度山側に戻り、盆地型の村へと行き2泊する

予定となっている。


「レアル、この日が来たことを嬉しく思うよ。」

「素晴らしいグルメ旅になるといいね、父様」

「そういうことじゃないんだけどな......

まぁ期待するのは結構だけど、悠長に食べ歩きする気はないよ。」

「そんな殺生な!!!!」

そんな会話をしながら馬車に乗り込む

馬車は2台でそれぞれに御者と馬が一人と一匹。片方が使用人用もう片方が貴族用で分けられている。

それぞれで内装や外装にも違いがある

「最初は、何処に向かうんですか?」

「ここから、馬車で50分ほどの最寄りの村の

アルバイス村に向かう予定だよ。

港町で公益が盛んなんだ、朝食はそこで取っていこうか」

「それは、いいですね!」

まさか、そんな近くに海があったとは

領主邸はどこの街から離れているし、山の上だし、防風林みたいな木々に囲まれているから気付かなかった。

でも、思い出して見れば新鮮な魚が運ばれて来るのを窓から覗き見した事があったような気がする。

食事に生魚が出ないから、勝手に遠いものだと思い込んでしまっていたようだ。

そもそも刺し身の文化があるかもあやしいな.....



そんな事を考えているうちに、積み荷の準備も済んだようで馬車が動き出す。

「結構揺れますね」

「これでも領主邸直結の道だから整備されている方だよ....」

無慈悲にも現実を見せられる。

これは....2歳児の尻にはちょいと厳しい振動ではなかろうか。

貴族用の馬車と言っても、そこまでクッション性に優れた設計にはなっていないようで先が思いやられる....

いや、ここはあれでいくか....



「レ...レアル

そんな子供らしいことをして何が目的だい?」

「子供が親の膝に座るなんて当たり前のことだよ父様?」

子供が膝に乗るだけで、企みを想像するなんて

僕をなんだと思っているんだろう

けどこれで僕のお尻が過度に痛めつけられることはないだろう

「そういえばレルナートのお披露目のときはクッションを持ってきていたんだけど.....」

「レルナート兄さんのときにあっても、いまなければ意味ないんだよ父様....」

そうやって、ジト目で父様をつめる。

「今度からは忘れずに持ってくるよ。」

諦めたようにため息を付く父様



走り始めて20分はたっただろうか、背の高い木々が連なる林から抜け

丘陵地帯のような角度がある開けた草原へと出る。村の郊外へと入ったようだ。

そこからは、少し奥に広がる台地型の地型にそびえる数々の住宅が一望できる。

「父様、あれは何を育てているんですか?」

僕達が出てきた丘陵を西側と見るならば、中央側の高度が下がっているところにある、扇状地型の地形に、ポツポツ見える果樹園を指さし、そう尋ねる。

「確かあそこは、ポロンとピィーヤを育ててたはずだよ。」

ポロンとピィーヤを地球の果物で表すならば、

ぶどうとりんごだ。

ポロンは味も形もほぼぶどう。ピィーヤは、味はりんごだが、水々しく梨のような食感が特徴だ。

「久しぶりに食べたいなぁ〜」

気づけばそんな声が漏れてしまっていた。


……………………………



「レアル、ついたよ」

「へぇ〜ここが」

そのまま、都市部へと降っていき、

検問は顔パスで通過し、目的地である、

村長宅に到着した。

村長宅の前には、戦士という表現がちょうどいい、強面の男性と、食堂のおばちゃんのようなふくよかな女性、そして中学生ほどの好青年が待ってましたと言わんばかりに頭を傾け、並んでいる。

「お久しぶりです。グラン様」

降りたと同時に男性が声をかけてくる。

「毎回こうして出迎えてくれて、嬉しいよサリバン村長。リディア夫人もお元気そうで何よりです。」

「グラン様もお変わりないようで、村の皆も

安心するでしょう。」

「ほら、あんたも挨拶なさい!」

「わかってるよ....

お久しぶりですグラン様。」

「あぁ久しいね、バン。王都の学園に招待されたと

聞いたよ。また剣の腕を上げたようだね」

「グラン様ほどではありませんが...今後とも精進してまいります。」

「まぁ、挨拶はこれくらいにして、実は

今日はうちの子を紹介しに来たんだ。」

「うちの子といいますと?」

そう言うと、名乗れと言わんばかりに背中を押される。

「初めまして、エラス辺境伯家の次男

エラス・レアルハンと申します。」

「おぉ〜!....挨拶が遅れました

俺は、この村の村長のサリバンと申します。

こっちが嫁のリディアそしてこっちが長男のバンです。俺のことはサリバンとお呼びください。」

「うん、わかったよ。」

「グラン様、立ち振る舞いといいレアルハン様もまたレルナート様と同じくらいの早熟であられますね。外見はどちらかと言うとカノン様似でしょうか?」

「あぁそうだね。本当はレルナートよりも育ちが早かったから、もっと早く紹介したかったんだけど、

身体の面を考慮したら、少し遅くなってしまったよ。」

「いえいえ、我々領民はグラン様達が安全に暮らせていらっしゃるのであれば、なにも問題はございませんので」

「僕は、いい領民を持っているようだ。

今後ともよろしく頼むよ。

今日はこの村の宿で一泊して行くついでに、この村をよく視察させてもらうね。」

「喜ばしい限りです。

村の民達も気が引き締まることでしょう」

話が終わり、僕たちは馬車へと引き返す。

馬車が走り去るまで、サリバン達は頭を下げて送り出してくれた。












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