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武士(もののふ)クライシス  作者: マイン


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12/12

覇者なき時代へ

加納かのう 幸蔵こうぞうの壮絶な「戦死」は、真田さなだ 義人よしと率いる東西豪族連合軍に、一時的な勝利の陶酔をもたらした。


「逆賊・加納幸蔵、討ち取ったり!武士団は直ちに武装解除し、真田豪族に忠誠を誓え!」


真田は自らの武力に酔いしれ、統制を失い始めた連合軍に、里山守護衆の残党狩りと、里山住民へのさらなる徴発を命じた。


しかし、この勝利の喧騒の中で、連合軍の足元から崩壊が始まった。


幸蔵の死という偽情報が流れた直後、青山あおやま たけるは、守護衆の残りのメンバーと協力し、最後の作戦を実行した。

彼らのターゲットは、真田豪族の生命線である兵站へいたん、すなわち食料と弾薬の補給拠点だった。


猛は、師から受け継いだ山野の知識と、現代戦術を組み合わせた。守護衆は、夜陰に紛れて補給路に侵入。真田軍の最新装備(GPSや通信機器)の弱点を突き、補給拠点の一斉破壊に成功した。


弾薬と食料が失われたことで、連合軍の士気は急落した。特に、中川勢力の兵士たちは、真田のために命を賭けることに意味を見いだせなくなり、次々と戦線を離脱していった。

彼らが戦う理由は、真田の利権のためではなく、「里を護る」ためだったからだ。


状況は一変した。真田武士団は、武士団同士の信頼と、武力を行使する**「義」**を失った。


猛は、師のライフルを手に、連合軍の残党に最後のメッセージを伝えた。


「我々は、真田豪族を討つためではない!我々が討つのは、武力で民を収奪する支配体制そのものだ!」


猛は、真田の支配下に不満を持つ各地の小集落や、離脱した中川勢力の兵士たちに呼びかけた。


「武力は、豪族の刀ではない!武力は、己の里を護る盾である!武力を持った者同士が、互いに自立し、他者を侵さないという新たな秩序を築こうではないか!」


この呼びかけは、真田の支配に苦しんでいた人々の心に深く響いた。


豪族・真田さなだ 義人よしとは、最後の手段として、わずかに残った私兵を率い、里山守護衆の本拠地へと突入した。


しかし、そこで彼を待っていたのは、幸蔵からリーダーシップを完全に受け継いだ、青山 猛だった。


「加納幸蔵は、私の心の中で生きている!あんたの利権のために、これ以上誰の命も奪わせない!」


猛と守護衆は、地形と待ち伏せ戦術を駆使し、真田の最後の私兵を包囲。真田は、かつて自分が幸蔵に見せつけた「武力」の前に、無残にも敗北した。


真田義人は、武力と財力のすべてを失い、豪族としての地位から引きずり降ろされた。


戦いが終わった。


勝利した青山 猛は、真田の領土となった地域で、支配者として振る舞うことを拒否した。


彼は、残された里山守護衆と、中川勢力から離脱した元兵士たち、そして各地の集落の代表者たちを集めた。


猛が提案したのは、単一の豪族による**「支配」**ではない、新しい秩序だった。


「我々は、中央政府も、豪族も必要としない。各集落は、自らの武力(武士団)を持ち、自らの資源を管理する。

互いにその**領地(里山)**を尊重し、助け合い、決して他者を侵さない。武士は、己が立つ里を護る者となる」


これは、武力による**「相互牽制と自治」を基本原理とする、緩やかな連邦体制**の提案だった。


中央政府は、この地方の武力と、住民による自立を前に、手出しができなかった。

彼らは、この地がもはや中央の支配下にはないことを、事実上容認せざるを得なかった。


こうして、現代の日本列島は、複数の武士団がそれぞれの**「里」を護り、緊張と自治を保ちながら共存する、「現代の戦国時代」**へと突入した。


青山 猛は、師の遺志を継ぎ、利権に走る豪族に立ち向かい、真に民を護る**「武士の棟梁」**として、新たな時代の夜明けを見つめていた。彼の戦いは、まだ始まったばかりだった。

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