鉄砲と弓矢の再来
東西豪族連合軍は、総勢数百名という圧倒的な武力をもって、加納 幸蔵率いるわずか十数名の里山守護衆が潜む山脈へと進軍を開始した。
真田豪族の最新鋭のドローンが上空を飛び回り、中川勢力の経験豊富な山狩り部隊が地形の封鎖を担当した。
これは、現代のテクノロジーと物量に裏打ちされた**「鉄砲(最新兵器)」と、古来の知恵と地の利を活かした「弓矢(ゲリラ戦法)」**の戦いだった。
幸蔵の作戦は、徹底した**「ゲリラ戦と情報戦」**。武士団は、里山に張り巡らされた獣道や廃坑道を利用し、連合軍の隊列の末尾を狙って攻撃を仕掛けた。
まず、武士団は連合軍の通信中継ドローンを長距離狙撃で撃墜。これにより連合軍の各部隊間の情報共有が滞り、指揮系統に混乱が生じた。
さらに、事前に仕掛けておいた罠と簡易爆発物で、後方部隊の補給路を破壊。真田が誇る物量支援は、たちまち泥沼にはまった。
連合軍は、前進を続けるが、武士団の正確な射撃と神出鬼没な動きに翻弄され、疲弊していった。
戦闘開始から三日目。
幸蔵と**青山 猛**のチームは、連合軍の野戦病院の場所を特定した。
幸蔵は、この病院を襲撃することが、連合軍全体の士気を決定的に崩壊させると判断した。
しかし、病院の周辺は、真田の最も忠実な私兵である元自衛官の精鋭部隊によって厳重に警備されていた。
「猛、よく聞け。これが最後の作戦だ」幸蔵は、猛に戦略のすべてを語った。
「俺が囮になる。お前はその隙に、病院の通信設備を破壊し、連合軍に**『幸蔵の死』**という偽情報を流せ。幸蔵が死ねば、奴らは警戒を緩める。その時、里山守護衆は撤退する」
「何を言ってるんですか!加納さん!」猛は強く反対した。「あんたこそ、武士団の棟梁だ!あんたを失ったら…!」
「棟梁とは、戦場で死に場所を選ぶ者のことだ」幸蔵は静かに言った。
「お前は、俺に倫理を学んだ。だが、お前には生きて、倫理を貫く責任がある。真の武士の道は、俺の死の先に続いている」
幸蔵は、猛の目を見て、決然と言い放った。
「お前は、私の命を預かった。絶対に生き延びろ」
幸蔵は、単身、精鋭部隊の注意を引くため、連合軍の正面に躍り出た。
彼は、全身を晒す危険を顧みず、正確な射撃で精鋭部隊の主要な指揮官を次々と狙撃した。
「加納幸蔵だ!お前らの首領はここだ!かかってこい!」
精鋭部隊の注意は完全に幸蔵に集中した。激しい銃撃が幸蔵目掛けて降り注ぐ。
幸蔵は、その猛烈な弾幕をかいくぐりながら、的確な反撃を続けたが、数で勝る精鋭部隊の前に、次第に追い詰められていく。
その隙に、猛は幸蔵の指示通り、野戦病院の通信設備を破壊し、**「加納幸蔵、戦死」**という虚偽の情報を連合軍のネットワークに流し込んだ。
幸蔵は、渾身の力を込めて最後の弾薬を撃ち尽くした直後、精鋭部隊の一斉射撃を浴びた。
「…頼むぞ、猛。刀ではなく、盾になれ…」
彼の体は崩れ落ち、現代の戦場で、真の武士がその命を終えた。
棟梁の死という偽りの情報が流れると、連合軍は勝利を確信し、警戒を緩めた。その時こそが、里山守護衆が撤退する機だった。
猛は、辛うじて身を隠しながら、師の最期を目撃した。
血を流しながら倒れる幸蔵の姿は、彼の脳裏に焼き付いた。
悲しみと、激しい怒り、そして師の遺志を継がねばならないという宿命が、猛の精神を完全に覚醒させた。
「加納さんの死は、無駄にしない…!」
猛は、幸蔵から受け継いだナイフを握りしめ、残った里山守護衆を率いて、山奥へと潜伏した。
幸蔵の死という「勝利」に浮かれる真田豪族。しかし、武士団の核心であった幸蔵を失ったことで、その武力は統制を失い始める。
一方、悲しみを乗り越えた青山 猛は、**「真の武士の棟梁」**として、連合軍への反撃の機会を虎視眈々と狙っていた。




