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4.水面下停戦協定

 雲のかかった海岸を、同じ赤茶色のコートに身を包んだ二人の有力者が歩いている。引き連れてきたガードたちをその場に待たせ、喉奥から制御された話し声は二人より向こうには届かない。革のコートはなびかない。固い皺と光沢が見続ける太陽のように動かない。二人とも散歩でもするみたいに穏やかな表情を作ってはいるが、その実互いの出方を伺いながら自らを引っ込め合う持久戦を初めから選んでいる。時間が経過していくだけ、熱くなる頭から流れ落ちた一滴の汗を拭う指先の震えを抑えている。軽く目を細めつつ歯をみせて、何の意味もない情報を話す。関心のない相槌。数手先の森を見つめながら進行方向に落ちていた空き缶を片足で転がし、寄せる波にズボンの裾が洗われた。色の禿げた管理小屋のささくれが指し示す空の早い星々。遠くに沈みそうな夕日が海岸を照り付けると、二人して眩しむ仕草を惜しみなく演じておく。これをしょうもないと思った方が今回の取り決めにおける敗者だ。この瞬間には両者の姑息な手腕が問われるが、あるとき片方が折れかけると、それよりも先に折れたのは向こうの方だった。あの海岸の夕日を引き金にして結ばれたこの停戦協定は、後に語り草になるほど完全平等に近い条件の数々が並べられた。



5.腐乱墓所の手向け

 青い空と野花が美しい日よりだった。

「この戦いで亡くなった者たちへ黙祷を捧げる。黙祷。」

『 ──戦没者リスト──

 1.小戦場砂漠

  ピオニイ・ルンド

  ユンフ・バンド

  ……

 2.弾丸遊泳

  ガーベイジ・ウサウサ

  ミヨー・サオトワ

  ……

 3.塔間偵察

  ……

  ファンスィ・ワン

  ナーゴ・ルート

  ……

 4.充血記録

  ……

  ……

 5.──         』

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