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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

【閲覧注意】とあるナーロッパ世界の珍事件【思想満載】

作者: まい

 作中に作品のコンセプトとして使わなければならない、かなり問題になりそうなワードが出てきます。


 そのワードがどうしてもダメだとお思いでしたら、ブラウザバックなどの自衛をお願い致します。

 とある、ご都合主義的な剣と魔法と魔物の中世ヨーロッパ風世界。



 通称・ナーロッパ世界。



 この世界はそれなりに騒乱が起きつつも、それなりに平穏なナーロッパ世界。


 ナーロッパ世界と言う割にはまだ地球からの異世界転生者・転移者によってしゃぶり尽くされていない、それなりにナーロッパな世界。




 そんなナーロッパ世界の、とある王国のとある王都をぐるっと囲む外壁に設置されている、出入り用の門。


 そこでは、ちょっとした騒動が起きていた。



 その騒動の中心には異様なまでにボサボサでフワフワした髪型で、この国では王族ですら着たことが無いであろう上質な生地と仕立ての服を着ているが旅の道具すらなにも持たず、周辺国すら含めて見かけない黒い肌をした人間がなにやら絶叫していた。


 この騒動が起きた経緯を説明すると、まず初めにその謎の黒い人間が街道沿いに王都へ歩いてきているのを、外壁の上で周辺警戒を行う監視兵が発見した。


 それを門兵へ報告し、警戒していた所に黒い人間がやって来た。



 実はこことその周辺国で黒い肌をしている者は、魔族と呼ばれる悪辣(あくらつ)で人類の絶対的な敵対者位しかいないのだ。


 その魔族らしき存在がノコノコ歩いてくるなど、これから襲撃しますよと宣言されているようなものである。


 しかもこんな発見して下さいと言わんばかりの行動をされれば、街道沿いを歩く者は(おとり)で、なにか策を練ってきていると思われて当然。


 となれば警戒度は最上級。


 即応可能な兵士をかき集め、王都へ入ろうとする人の行列を緊急につき後で検査すると門の内側へ避難させ、いつでも戦えるようになっていた。




 が、その見立ては大ハズレだった。 斜め下方向に。


 魔族の肌は光すら吸収しそうなほどに黒いのだが、この黒い人間はそこまで黒くない。


 だからといってハーフかと問われれば、魔族は異常な魔力が集まって突然発生するのが常識であり、そんな発生方法なので生殖機能は無いのでハーフはあり得ない。


 そんなこんなで謎の黒い人間が門に近付くにつれ、戦闘態勢にすらならず、なにやらブツブツ言い出したのだ。


 まさか魔法の詠唱か?


 と、発動を確認したら直ぐに飛びかかろうと兵士は構えていたのだが、しばらく待っても何も無い。


 その内(しび)れを切らせた兵士の1人が黒い人間に近寄り耳を澄ませたが、すぐに帰還した。


 帰還した兵士が言うには、断片的に鹿聞こえなかったが、頭のおかしいことをずっと繰り返し(つぶや)いていたそう。


「基本的人権」「虹」「白人ばかりの街」「不平等」「黒人もここにいるべきだ」「富の一極集中は許すべきではない」「差別だ」「虹」「富は等しく分配されるべき」「多様性」「包括性」「虹」「城なんて偉そうなものは燃やし尽くしてやる」「マイノリティが」


 他にも色々ブツブツしていたそうだが、特になにをしてくる訳でもない様子だ。


 魔族ならこちらへ既に襲いかかってくるはずだが、なにもしていないその様子から、見知らぬ土地から来た見知らぬ国からの旅人だと判断。 


 聞いた人が特定の立場の人なら国家に反逆する意思有りと、即時処断されても不思議じゃないワードも有ったのだが、そこは1度放り捨てて接触してみようと決まる。


 それでこの日の門の警備を任されている隊長が代表して、何者かを誰何(すいか)する事となった。



 隊長が恐る恐る近付き、おいそこの君と呼びかけた瞬間。


「名前がある私をそこの君呼ばわりして人格を否定するなんて、このレイシストがーー!!」


 と黒い人間が怒気を込めて絶叫し、場が混乱の渦へ叩き込まれた。


 黒い人間なんて全く知らない土地で、他人(ひと)の国の中心地である王都へ来ておいて礼儀知らずみたいに叫ばれても、名乗られてないのだから知らない。


 と言うかそもそも国の在り方を否定する言葉を、なんかブツブツ言っていたのは相手の国への敬意に欠けていて大変失礼な行為だし。


「1人なにも持たずに不安でいっぱいになってやって来た私に対して大変だったねと、なぜ暖かく歓迎しないのだ、このレイシスト白人(ども)は!」


 なんか理由の分からない上から目線で、本当に本当に何様なんだと言いたいし。


 その辺の()野盗(やとう)や魔物が生息していて、おまけに街の中だろうと階級社会やスラムとか医療知識や技術も無く大怪我や病気を治す手立ての少ない環境とかで、いつ命を落とすか分からない危険な世界で。


 人間の命なんて笑えるほど安い時代をモチーフにした世界で、無駄に偉そうだが特に権力者に見えそうもない姿形(すがたかたち)をしている者を、どうして丁重(ていちょう)に扱わねばならんのか。


 いや、体が傷だらけで服もボロボロだったとかなら、どんな危険なモノに襲われたのか聞き出すために優しくするだろうが、身ぎれいな格好ならそんな必要もない。


 そんなキレイな見た目で苦労したねとか大変だったねとか言って欲しいなんて、なんの冗談かと。


 むしろどうやってここまで来たのかが不明過ぎるし、こんな目立つ人物の情報が国境の砦や王都までの道にある各街から来てないのなんて警戒感しかない。




 あまりにも怪しい者の扱い方なんて、その場の誰も1つしか知らなかった。


 なら、どうするか?


 そんなのは決まりきっている。




「は? 受け入れ拒否!? ふざけんな! こんなに困っている私に向ける、愛は無いのか!?」



 当然だ。


 得体の知れない他国からの大使でもない身分も定かでない者に、こうして王都の入り口である門の前で堂々と国の批判を(わめ)き散らして、明らかに国に敵対的な存在を受け入れる国がどこにあるのか。


 そんな問題のある人物を、簡単に受け入れられるわけが無い。


 こんな失礼な存在を同じ人とも思いたくなくなった隊長は、出禁命令にも従わない様子を確認してから兵士へ指示を出す。


「なんだ!? レイシスト白人(ども)の兵士風情(ふぜい)が私になぜ槍なんて暴力的な物を突きつけてくる!? なんだその手枷(てかせ)は!!? 私は愛と平等と包括性と多様性の体現者だぞ!!!」

 自身で他者や国の在り方を見下しておいて、平等とヌかす黒い人間は退去命令を聞かないので拘束され、最終的には国境の砦等に似顔絵か配られ永久国外追放となった。


 その後この国で、この黒い人間の姿を見たものはいない。



〜〜〜〜〜〜



蛇足


 中世ヨーロッパ(風世界含め)なんて人間がいつ死んでも不思議じゃないくらいに暗黒時代だったわけで、人を物と見ているようなそんな時代に人権だの平等だのなんざある訳もなく。

 大航海時代より前で、航海技術も未発達で黒人が居る土地へ行って帰ってこれる船なんか無い時代に黒人なんて直接見たことがある人なんてまずおらず。

 周辺国までが全ての世界だった時代。

 中東は別の宗教圏で、絶対的な敵対者で、十字軍として異教徒の民族浄化すら考えられていたであろう時代。

 そんなのをモチーフにしたナーロッパ世界に人権活動家が現れて人権を説いても、こうなるだろうなと。

 いやむしろ、国外追放は温情な方。 どうせリアルな中世ヨーロッパだったら、即無礼討ちで終わっていたでしょうから。




蛇足2


 あの世界的な運動会やその国の国策企業に指定されているゲーム企業のヤラカシとかが連続で起きたので、ついつい書いてしまったやつ。


 平等だの多様性だの(うた)うくせに、自分達の主張以外を認めない矛盾。

 人種差別はダメだとか言いながら、世界には白人と黒人しかいないかのように、黄色人種を徹底的に見下したり居ないものとして扱い差別する矛盾。

 主張や行動が過激なくせして、それより(ささ)やかな反論を食らうだけで盛大に被害者ぶって超過激な行動を始める矛盾。

 少数意見も尊重してくれと言う割には、その他の意見や他の価値観を持つ少数派の意見を尊重しないでむしろ差別主義者だと押し潰そうとする矛盾。

 その中でなぜか共産的な主張も交ぜる不思議。

 そして共産的な主張をしておいて、ポリコレコンサルタント料金として企業に多額な請求をして、利益の追求を行う矛盾。

 ポリコレコンサルタントを断ると世間に差別者として触れ回って業績を落としてやると、企業イメージの低下で威力業務妨害の脅迫を平然と行うポリコレ団体。


 その姿はまさにカルト宗教で、問題だらけなポリコレ。



 設立当初はただ、黒人差別はやめてくれ程度の声を上げる団体だったろうに、どうしてこうなった。

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