先の見えない日々
僕は夜が好きだ。
先の見えない漆黒の闇が広がる空、その中で光る星々、そして堂々と輝くまるで自分を中心にして世界が動いていると言わんばかりの大きな月。
夜空を見ていると自分の悩んでいたことが大層ちっぽけだったことを感じさせてくれる。
現在の時刻は午後6時、ちょうど夕飯時の時間だ。
そんなことを考えていると、
「勇気ー、ご飯よー」
部屋の外から母親の大きな声が聞こえてきた。
正直近隣住民の迷惑になるからやめて欲しい。
ちなみに勇気という名前は勇気を持って生きて欲しいという何とも安直な考えから親がつけた名前だ。
「わかったよ」
そんな適当な返事を返した僕はご飯を食べに部屋を出た。
階段を降りるとリビングにご飯が置かれておりそこに座る父親と妹の加奈が座っているのが見えた。
母親は料理が好きでいつも山盛りのご飯を作ってくる。それを家族全員で頑張って食べる。これが僕の家の日常だった。
「東京都◯◯区で殺人事件が起こりました。容疑者は女子高生で現在逃走しており…」
リビングにある大きなテレビからそんなニュースが聞こえてきた。
父親はいつもご飯を食べる時こうしてテレビでニュースを見ながら食べるのだ。母親からは毎回行儀が悪いと言われているが、そんなのお構いなしにといつも見ている。
「物騒な事件だな。◯◯区って近くじゃないか?気をつけろよ勇気、明日から学校だろ。」
「うん。わかったよ」
その会話以外特に目立ったことはなくそのまま自室に戻り眠りにつくのだった。
次の日の朝、いつもなら目覚ましの音で起きるはずが、今日は何かが落ちる音で目が覚めた。
眠い目を擦り目覚ましを凝視すると4時50分で止まっていた。幸い遅刻する時間ではなかったので、そのまま支度をして学校へ向かうのだった。
学校につくと教室の生徒たちが各々仲がいい人たちと話しているのが目に入った。僕は人付き合いがあまりうまくないのでいつも教室の端で読書をするのが日課だった。あいつが来るまでは‥
「おはよー勇気!」
「また話しかけに来たのか、ほっとけって言ったのに」
「いいじゃん話す人がいないんだもん」
僕に話しかけてきたのは山田ももか。このクラスの同級生だ。
他の奴らは僕に話しかけてこないのにこいつだけはなぜか話しかけてくる。最初は話しかけてくるのがめんどくさかったので無視していたがその努力も虚しく今はしつこく絡まれている。
「なんで俺にばっか話しかけるんだ?お前なら他の奴らとも話せるだろうに。」
「お前じゃなくてももかですー。それにさっき言ったでしょ、話す人がいないって」
「話す人がいないって仲いい人がいないのか?」
「うん…」
「ボッチか」
「あんたにだけは言われたくない。いつも1人で本ばっか読んでるくせに」
「俺は1人が好きなんだよ」
「へー、いじっぱり」
「何だと」
そんなことを話していると
「みんな、席に座れ。ホームルームを始めるぞー」
先生が来てしまった。
これが僕のいまの日常。
また今日が始まる。
小説書くの始めたてなので色んな意見待ってます!