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わからん

作者: 川里隼生

「一緒に帰ろっ」

 女の子はそう言ってくれた。気をかけてくれるのは、もちろん嬉しい。少し浮かれて鼓動が高鳴った気さえした。


 それがどれほどの好意を向けられたのか、僕にはわからなかった。目の前の人が落としたペンを拾う程度のものなのか、二月十四日に手作りのチョコレートを渡す程度のものなのか。またはそのどちらに近いのか。


 少なくとも、僕を嫌っているのなら一緒に帰ろうなどと誘わないはずだから、好感度がマイナスである可能性は消滅しているとみていいと思う。よく好きの反対は無関心だと聞くが、僕は嫌われるよりどちらでもないと答えられるほうがベターなように感じる。


 たった一言だけなのに、その子は僕を惑わせた。これだから、人と話すのは苦手だ。いくら小説を読んでも、僕は人の感情がわからない。現実の登場人物は創作された人間ほどわかりやすく行動してくれない。だから怖い。もしかすると、僕と出会う人がみんな僕を嫌っているんじゃないかと思って。ただの格好つけかもしれないけれど、みんな、どうか僕のことは何とも思わないでくれ。

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