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第1話〜君が俺のパートナー?〜

初投稿となります!

注意を払い作成をしておりますが、不備等ありましたらお詫び申し上げます。


「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」


 ・・・・・・失礼。お見苦しい所をお見せした。別に7月の暑い昼間から自室の扇風機の前で無様に声を出し続ける事が趣味なのではない。これしかする事が無いのだ。


 またまた失礼。自己紹介がまだだった。俺の名前は『新城しんじょう つなぐ』大学3年生だ。


 県内の中堅大学に通い、バイトは週3日。休みがち。一人暮らしをしていて、友達はそれなり。趣味はアニメや映画鑑賞etc、俺のこの語り部口調なのもそこから来ている。酒も飲める、スポーツ経験もあるので体力もまぁまぁ。あと何か聞きたい事ある?無いか。


 あー、大事な事忘れてた。彼女無し。別に恥ずかしくも無いのでもう一度言える、彼女無し。まぁ寂しいけど。

 恋愛経験が全く無かったと言うわけでは無いが、去年あたりこっぴどく振られた。原因は『私だけを愛してくれてる気がしないから』とのこと。難しい。

 

 友達には『困ってる人見ると放っておけないだろお前』とよく言われる。まぁあながち間違いでは無いし悪いとも思わない。でもこと恋愛においてはそれが悪い方向に進むみたい、いわゆる八方美人というやつか。


 まぁ自分語りはここまでにしとく。つまり俺はそこまで特徴のないいわゆる普通の大学生だ。多様性が謳われるこの現代において普通を語るのはいささか危険な気もするが。


繋「このままのんびりで良いのかねぇ〜」


 一人だけの空間に己の声が虚しく発せられ、消えていく。


繋「やっぱ彼女は欲しいよな」


 俺はスマホを取り出すと、アプリストアを開いた。今の世の中『出会い』に関してのハードルは少し下がってきている気がする。人と人とが出会い、繋がる。そのハードルを下げる要因の一つとなったのは今俺が探してる・・・・・・


繋「これなんだ、見た事ないな・・・・・・マッチングアプリ『Another connect』?」


 そう、マッチングアプリでの出会い。全くの未経験と言うわけではないのだがこの手の出会い方はあまり慣れていない。

 とはいえ、何も動かなければ出会いのきっかけなんて合コンかバイト先か。そもそも合コン行かねーしバイトもあまり入らないじゃん、俺。


繋「まぁ、変なのなら消せば良いし」


 ダウンロードを済ませ、形式的な登録と年齢確認を済ませ、いざ出会いの場へ!

 といきたいとこなのだが、様子がおかしい。


繋「こりゃ騙されたか・・・・・・?」


 画面に広がるページを読み進めていくと



――検索対象の種族を選んでください――


――希望のジョブを選んでください――


――希望するエリアを選んでください――



繋「なんだよこれ・・・・・・」


 呆れた。もう少しマシなフェイクアプリを作ってもらいたいくらいだ。種族を選べばエルフに獣人etc.、ジョブに関しては騎士だのアーチャーだのマジックナイトだの・・・・・・看護師とかじゃねーのかよ!

 しかしちょうど暇を持て余していた時間帯だ。こうなったらギリギリまで踊らされてやるよ。次の飲み会のネタにしてやろう。




 

 俺が検索した内容はこれだ。

 




――種族:人型、ジョブ:ナイト、年齢:20代――





 

 我ながら情けない。踊らされてやると格好つけた割になんとノーマルな検索候補だろうか。とはいえ、もしかしたらちゃんとした人がいるかも!と思うとワンチャンスに賭けざるを得ない。男とはそう言う生き物だ、多分。


 いくつかの候補から気に入ったユーザーのページを覗く。そこに書いてあるのは得意技だの苦手属性だのRPGのステータスのような記載。所持スキルとか書いてるのもいたな、なんだそれ料理得意ですとかそう言う事か??


 ふと、惰性でスライド操作していた俺の指が止まる。



繋「シャリア・・・・・・アドミラージュ」


 俺の目に留まったのは元カノ・・・・・・に、よく似た顔の女の子だった。違うのは髪色くらいか?この子は金髪、髪色違うだけで随分雰囲気が変わるもんだな。


繋「まぁ、この子でいっか、可愛いし」


 俺はその子にメッセージを送り、その日はバイトに行く事にした。




 バイトも終わり、家に帰り着いた俺はふと先程のアプリを開くと新着メッセージが。どうやら例のあの子かららしい


『メッセージ、ありがたく頂戴する。是非とも一度お互いに顔を合わせてみないか?』


 世の出会いを渇望する男子にこれだけはいっておきたいがこんなに簡単にアポイントが取れるわけがない。明らかに怪しい。もっと事前にお互いの事を話し合い、分かりあった後にお昼ご飯からがお約束だろう??

 それになんだこの口調は、硬い。ここまでナイトという設定にこだわり尽くした業者メールは流石に聞いた事が無い。そこは巧妙なのか。



繋『分かりました。一度会ってお話してみたいです』

――『感謝する。場所と日時は追って連絡する』


 

 普通はこの段階でやり取りを切り自衛するべきだが、今夜の俺は一味違う。激動のバイトを乗り越えてテンションがハイになっている今、騙されるならここしか無い!!

 


――『来週の土曜、そちらの時間で12時、場所は浮野市の芹沢運動場でどうだ?』

繋『分かりました。会えるのを楽しみにしています』



繋「・・・・・・そちらの時間って、外国からでも来んのかよ」


 そんなテンプレのようなツッコミを吐き捨て、俺は家路についた。あれ?でもそういえば芹沢運動場って確か・・・・・・




『今日未明、浮野市にて新たに失踪事件が発生しました。これで今年に入っての行方不明者数は10代〜20代を合わせ合計で10名になり、警察では連続誘拐事件の可能性を視野に入れ捜査を進めると共に、対策本部が設置される見込みです』




 帰ってきてから付けっぱなしのテレビから流れるニュースに気を取られる。


繋「まだ見つからないのか、これじゃおちおち夜遊びも出来ねぇなぁ、しないけど」


 先程の懸念より、今年に入ってから微増を続ける行方不明事件にほんの少し不気味さを感じながら、俺は当日までメッセージのやり取りを続けた。






 そして迎えた当日、俺はその公園にいた。


繋「やっぱりそうだよなぁ」


 俺の予想は当たっていた。指定された公園は3年前に廃業となり今はただの広場となっていた。


繋「なるほど、ここなら確かに悪さしてもバレない、帰った方がいいかなぁそろそろ・・・・・・」


 流石に不安になる。もう騙されている事は分かっているのに、なぜ俺は逃げないのか。それはあの子とのメッセージのやり取りの中で気になる部分があったからだ。



――『助けてほしい、聞いて欲しい話がある』




 どうせ金貸してとかなんらかのトラブルの尻拭い、もしくは犯罪行為の手助けか。だが何故かこの文章からそういう魂胆は感じなかった。いや別にニュータイプ的な感性は持ち合わせていないのだが。


繋「通報はすぐできるようにしとくか」


 

 約束の時間を5分ほど過ぎた頃、突然



――ドーーーーン!!!!――



 割れんばかりの爆音、というか落雷??

え、稲妻なんて初めて見たんだけど!!


繋「何!?ドッキリ!?」


??「すまない、少々待たせた」


繋「え?あっ・・・・・・」



 さらに驚いた。目の前に現れたのはプロフィール通りの美人、というかナイト。しっかりナイト。

キリッとした目。すらっとした身体、しかし主張すべきところは主張している。長い金髪の髪をなびかせ、身の丈ほどある長剣を背中に背負う姿はコスプレというには完成度が高すぎる。そしてあの堂々とした佇まい。何か武道を嗜んでないと出せない雰囲気だ。


??「君が、新城 繋殿か?」


繋「あ、あぁ。そういう君は・・・・・・シャリアさん??」


シャリア「あぁ、申し遅れた。改めて名乗ろう。私が『シャリア・アドミラージュ』グランツ国に属するユニコーンクラスのナイトだ」



 ドッキリというにはあまりに設定と演出がしっかりとし過ぎている。それにあの子の目。嘘を言ってれば多少なりとも目線は泳いでもいいはずだが、真っ直ぐと俺を見つめている。嘘だとしても覚悟がないと出来ない目だ、それくらいは分かる。


繋「グランツ国・・・・・・ユニコーン?ガン◯ム?」


シャリア「ガン◯ム?なんだそれは。あぁすまない、グランツ王国はこちら側にはない国だったな」


繋「『こちら側』ってどういう事だよ・・・・・・」


シャリア「単刀直入に言おう。私とマッチングをしてほしい」



 ここまで言葉通りに単刀直入を持ちかけられた事はない。


繋「いや待って!マッチング??そんなことより説明・・・・・・!」


シャリア「何?貴方は利用規約を読んではいないのか?」


繋「利用規約??あんなもんいつも読み飛ばしてるよ!」


シャリア「なんと・・・・・・しっかり読んでもらわないと困る、今確認してくれ」


 おもむろにアプリを開き利用規約を確認するとそこには目を疑う記述が。





――利用規約――

第1条.2このアプリの利用登録をした者は『ラグナウォール』における『結縁の儀』に同意したものとみなし、召喚戦争の参加者とする。






繋「なんだよこれ・・・・・・戦争?戦うのか?俺!?」


シャリア「おそらく、貴方が私に聞きたいと思っている事は全てそこに記されていると思うぞ、確認してみるといい」




 利用規約に書かれていた衝撃の事実をざっくり説明するとこうだ。


 1.『ラグナウォール』という別世界では定期的に王とその伴侶を決める争い、通称『召喚戦争』が行われているらしい。

 2.召喚戦争の参加条件は別世界の生物とのマッチング。つまり相棒と共にエントリーしないといけない。同一世界の生物とはマッチングできない。

 3.召喚戦争に勝つと両方の世界での地位、もしくはそれに近い価値を持つ報酬が得られる。

 4.期間は未定、勝者が決まるまで永続して行われるが、1週間を超える間戦いが起きない場合、残りのプレイヤーは権利を放棄したとし、終戦。王の権利は前回の覇者が引き継ぐ。

 


 とまぁ、まだまだ細かいルールはあるのだがとりあえずこんなところだ。どこかで聞いた事がありそうな話だが、フィクションではない。事実だ。



繋「書いてある事は分かった。もう一度聞くけど、これドッキリじゃないよね?」


シャリア「何度も言わせないでくれ、そう言ったものではない。大事な事なんだ、貴方の世界の言葉で言うなら『ガチ』だ」


 マッチングってそっちのマッチングかよ。アプリで出会った女の子と色んな出来事を乗り越えて結ばれるドタバタ青春ラブコメを期待した人にはすまないと言いたい。どうやらゴリゴリのバトルものらしい。


繋「あ〜分かった。分かったけど君はそのパートナーってのは俺でいいのかい?ただの一市民なんだが」


シャリア「あぁ、異論はないんだ。マッチング前に相性というのが出ただろう?私と貴方は相性という面では良い数値を出しているんだ」


繋「相性?あぁ、プロフィールに載っていた数字のことか」


 二人の相性を示す数値は『78%』これが高いのか低いのか相場はわからないが少なくとも悪くない数値なのだと彼女は言う。


シャリア「繋殿、改めて問おう。私とマッチングをしてこの闘いを共に生き抜いてくれ」


繋「君が話したかった事はこのことか・・・・・・でも別に闘わなくてもいいんじゃないか?何か理由があるのかい?」


シャリア「それは・・・・・・今は言えない。だが君は必ず私が護る。だから信じてついて来て欲しいんだ」


 言えない、か。そりゃ数字上は良くても目の前にいるのは別世界の赤の他人で初対面。言える相談も言えないか。

とはいえ『戦争』とつくからには命の保障は?規約を見たが無さそうだ。命懸けの異世界戦争、隣には可愛い女騎士。


どこのラノベだよ、アニメ化はいつだ?



繋「・・・・・・分かった。俺で良いんだな?」


シャリア「本当か!?正直断られると思ったが・・・・・・」


 

  そりゃ断ろうと思ってた、一瞬だけ。

けど答えを言おうとした瞬間に見た君の顔、さっきまでの勇敢な顔つきとは違う、少し自信のなさげな年相応の女の子の顔。

『困ってる人を見たら放っておけない』例えそれが違う世界の自分より強い人でも。俺が何か力になれるのなら。






繋「初対面でこういうのもなんだけど、君が俺を信じてくれるなら、俺も君を信じるよ。いや、信じたいんだ」





 これはただの直感。根拠なんて無い。





繋「だから教えてくれ、君の世界のこと」


 

 

 でも知りたい、そして力になりたい。


 

 俺の中の何かが動き出す。





シャリア「・・・・・・ありがとう、感謝する、繋殿」


繋「その『殿』ってのはやめてくれよ、俺たちはパートナーなんだろ?呼び捨てでいいよ」


シャリア「そうか、ならそうさせてもらおう。改めてよろしく頼む、繋」


繋「あぁ、こちらこそよろしく、シャリア」








こうして、俺の長い夏休みの予定が始まった。











⭐︎キャラ紹介⭐︎


――新城 繋――

主人公、21歳(大学3年生)

身長175cm

体重68kg

好きな食べ物 飲み会後の〆ラーメン(醤油)

嫌いな食べ物 苦い系の野菜

得意科目   国語

趣味     人間観察、心理テスト、人助け

最近の悩み  親から『顔は悪くは無いんだけどね』と言われるがモテない。


マジでテンプレにありそうなTHE大学生。

本編でもあるようにただのお人好し、そのおかげで友人は男女問わずそこそこいるが恋愛となると上手くいかない。

本人曰く『良いなと思う人にはたくさん出会って来た』

特技と言う特技はないがそこそこ器用。見様見真似で多少はこなせるらしい。練習はあまり好きな方でない。

シャリアをパートナーに選んだ理由は『直感』であり深い意味はないらしい、良い出会いの一つとして捉えている様子。

召喚戦争についてはしっかりビビってるようで、カッコつけたセリフをいったが内心『やべー、生きて帰れるかな・・・・・・』と思っている。




――シャリア・アドミラージュ――

ヒロイン、24歳

身長170cm

体重59kg(自己申告)

スリーサイズ 89・65・87(自己申告)

好きな食べ物 ぶどう、故郷のご飯

嫌いな食べ物 苦い系の野菜、ゲテモノ料理

得意武器   大剣

趣味     修行、異世界の事を知る事

最近の悩み  恵まれた体格と実力の為、異性が近寄ってこない。


グランツ国フォリア村出身の女ナイト。

村民の出でナイト、それにユニコーンクラスである事から割と有名な人らしい。

グランツ国は差別主義ではないが、割と実力<血筋の序列であるらしく、その中で努力と結果で地位を掴んだ彼女を認める者は多い。が、その逆も然りで彼女の地位を狙う者、倒して名声を得ようとする者の噂もチラホラ。まぁ大体倒してしまうが。

性格は真面目で向上心があり、好奇心も強い。だがその性格とストイックさが災いし、お堅い話し方も相まって浮いた話は今まで無かったらしい。

タイプの男性は『自分より強い人』いやこの世に何人おるねん。

繋をパートナーに選んだ理由は『雰囲気』らしく、第一印象は悪くないみたい。

正直戦争に参加せずともそれなりの地位がある彼女だが、その真意は・・・・・・



記念すべき第1話、ここまでご覧くださり誠にありがとうございます!


こう言うお話書いてみたいな。その一心で書き進めた1話でございましたが、お楽しみいただけましたでしょうか?


まだまだ深掘りできるキャラの魅力や世界観もあるかと思いますが、それは2話以降で徐々に分かってくると思います。


お気に召して頂けましたら是非今後の続編も楽しみにお待ち頂けますと幸いです!


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