回帰、龍神の社にて
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
巡り巡ったその最果て。
例え、こじつけだとしても、思う事に意味がある。
幻想奇譚、初日に回帰。
大型連休最終日、やり残した事、きっとまだ御座います。えぇ……でも。こうして初日に訪れた様に、私はこの場所に戻って来てしまいました。えぇ、飆靡様がいらっしゃるお社に。例え豪風と豪雨に見舞われても、いいえ、見舞われて居るからこそ、訪れるなくてはならない場所。
大型連休初日、私はとある御社を訪れたのです。そう、緑一杯の飆靡様がいらっしゃる御社。葉が陰り、何時でも涼やかなその場所。その境内の中に山車がお二つ程展示されているのです。
何方も豪奢で、先日訪れたお社で合間見えた様な巨大な造り。一つは矢を片手に兜を纏った武人様、もう一つは緑の狩袴を纏ったお猿様。何方も形状異なれど、人の目を惹き付けて止まず、そして人々の手によって大切にされている事が分かります。
それを眺めながら、私はぼんやりと一昨日の事を思い出したのです。
一昨日、とあるお社でまた別の山車を拝見したのです。真っ赤なフサフサとした豊かな髪に、木彫りの面を添えられた御人形……。しかしまた気になって、此方に訪れる前にまた拝見したのです。
最初は猩々を模したものだと思っていたのです。しかし、それはその存在感に目を奪われて、解説を見なかった私の勘違い。きちんと別名が書かれてありました。龍神……と。
「飆靡様、いらっしゃるのでしょう? 初日から本日に至るまで、私が訪れたお社の先々で、痕跡を残しながら、見守っていらっしゃったのでしょう?」
そのお言葉を社に向かって掛けます。すると、とろとろと優しく包み込む雨が、一息に豪雨に変化致しました。全てを濯ぐ恵の豪雨。そして現れる龍神の化身、飆靡様。貴方様は僅かに口角を上げて、此方に近付いて参ります。軽快な一枚下駄を鳴らして、吹き荒ぶ雨風など何のその。
「何故そう思う? 渡」
「根拠など御座いません。ただ何となく、です。最早こじつけです」
山神様の末社には飆靡様の末社が御座います。白羽様の前身は飆靡様と伝承が御座います。そして山車の解説に添えられた龍神は飆靡様と同一視されております。そして本日の豪雨。こじつけかも知れません。いいえ、こじつけです!! しかし連想する事に意味がある。呼ばれたと思う事に大きな意味がある!!
私はこの豪雨に負けないように、一杯の微笑みを浮かべました。
「貴方様を思ったのです。それだけで十二分では御座いませぬか?」
「ふん。まぁ及第点だな。良いもん見せてやるよ、何時もは簾で見えねぇ内部だ。社見るの好きだろ? 知ってんだぞ、白羽の者が祀られてる社の形式が好きだって。薄暗い中に浮かぶ雪洞の橙が好きだって」
そう仰ると、私の手を掴んで駆け出しました。行く先は勿論お社。そこである物を見たのです。えぇ、大好きで堪らない、美しいもの。
仄暗いお社の内部。故に畳は真新しい若草色。色褪せず、老いる事無く、ただ生まれたままの御姿をしております。そしてその常闇をとろりと照らす、左右に添えられた雪洞。甘い橙の光を放ち、目に優しく灯るのです。口を開き、大きく深呼吸をすると、雨の匂いと混じって、井草の香りが胸一杯に。
普段は簾で隠されて、風が吹く度に垣間見えたその場所が、今はありありと目に入り込んで来ます。とても……美しい……。
「どうだい? 最後の〆に見んのがこれで悪くねぇだろ?」
「えぇ。とっても」
大型連休はこれにて終了で御座います。でも沢山の美しい物を拝見しました。惑いながら、足を止めて、目に焼き付けて参りました。とても……幸せです。
渡のメモ帳
神社巡り 回帰 完 チェーン店のサンドイッチ。
太鼓の生演奏が素晴らしかった本日。
熱を上げた結果、コンサートは見送りになりました。
また来週のお話になるでしょうか?
皆様、大型連休、お楽しみ頂けましたか?
やり残した事、私も勿論御座います。
でも、まだまだ人生続きます。
雨が凄いですね。スマホ壊れてないといいなぁ(´・ω・`)
まぁ、私の事情はさておき。
渡の言う通り、こじつけです。
そこに理論などなく、思いと感情だけが先行した本物語です。
でも呼ばれている気がした。貴方の事を思った。だから訪れた。
それだけで十分じゃないですか?
他に何か理由付けが必要ですか?
という渡の思い。
飆靡様の末社あるのも本当、白羽様の前身が飆靡様と呼ばれているのも本当、暴風の神様と呼ばれているのも本当。
そうして本日大雨が振った。
ついつい連想してしまった。思ってしまった。
じゃあ……会いたい。という話。
渡のメモ帳の見方でも。
訪れた場所。 渡がお昼に食べたもの。
となってます。