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幻の廃墟

作者: ta-kc

ガサ・・・

ガサ・・・

ガサガサ・・・・

森の中を複数人で歩いていく

「なあ、本当にいくのか?」

「なに??びびってるの?」

友達の亮が僕にむかってひやかしを投げかけてきた。

「びびってなんか・・・」

そうっ言って言葉を濁していると

「亮、あまり祐介をいじめるなよ」

笑いながら健太郎がこちらに話しかけた。

「健太郎もそんな風に笑って・・・でも・・・」

ガサ・・・

ガサ・・・・

「この先に本当にあるのか?」

ガサガサ・・・

「ああ、先輩が言ってた。この先に廃墟があってそこには出るって・・・」

そういって健太郎は声をひそめて雰囲気を出す。

「でも・・・なんでまたこんなよくわからないような場所のことその先輩は知ってたな?」

亮は健太郎に話しかけた。

その答えという感じで

「なんかこの場所、昔は結構有名だったみたいだぞ?」

そのまま続ける。

「あまりに有名でなんか警察がよく見まわるようになって、地元の人も警戒してから人が来なくなってそれ以来あまり話に出なくなったとか・・・」

「へぇ~」

その話に抜けたような相槌をうつ

その相槌を聞いて健太郎は

「祐介はあまりこういう話得意じゃないからな~こういう話は深く知ると楽しいぞ~」

そういって歩をさらに進める

「楽しいってなにが?」

僕は健太郎に問いかけた。

「そうだな~例えば・・・」

そういってすこし考えて

「今から行くところはなんか殺人事件があったとか・・・」

「殺人事件?」

「親子3人で住んでいたらしいけど強盗に入られてそのまま・・・」

そう言って少しトーンを落とす

「「・・・」」

「なんだよ?その間?」

健太郎が僕らに振り返る

「いや・・・なんていうか・・・」

亮が言葉を選びながら話す

「亮?」

健太郎が亮に問いかけた時に

「普通だな・・・」

「「!?」」

僕の言葉に二人が反応する

「ん?どうした?」

「いや、祐介がそれ言うかとおもって・・・・」

亮が苦笑いで返す

「え?なんで?」

「さっきまであんなに怖がってたのになんだよ~」

僕が疑問を返すと健太郎が悔しそうに言う

「だってさ、なんか殺人事件が原因ってこういう心霊スポットにはよく有りがちというか・・・」

「まぁ・・・そうだけどさ・・・」

健太郎はすこし勢いがなくなったように返す

その反応に

「まあまあ、そんなに言ってやるなよ祐介」

「へ?ああ、ごめん」

健太郎の反応に空気を読んでなかったことに謝罪した。

「いいよ、別に・・・でも行ったらきっと驚くほど怖い!・・・はず・・・」

健太郎は先ほどではないにしてもいきこんだ。

ガサガサ・・・

草を分けながら進む

「しかし、本当にあるのか?その廃墟?」

「あるはずだけど・・・・」

思いのほかの草の茂り具合に疑問を投げる亮

それに対して健太郎もすこし不安そうに答えた。

「そんなに有名なら俺らでも知らないことあるか?」

「うーん・・・」

亮の疑問に僕も頭をひねる。

「もしかして先輩に騙されたとか?」

「まさか・・・でも・・・」

亮の言葉に健太郎も自信を失っていた。

「もうすこししてなかったら帰ろうか?」

僕はそう二人に問いかけた。

「そうだ・・・な?あれ?あそこ・・・」

亮が僕の言葉に反応した

そしてその時に違うものにも気が付いたように指をさす。

「あそこって・・・マジか・・・」

健太郎もその指の先の景色に声を出した。

そこには暗い中に白い建物の壁らしき物が出てきた。

「もしかしてあれが??」

僕は健太郎にきいてもみた。

「そうだと・・・思う・・・」

本当にあった驚きで三人ともに固まった

それに

「なんていうか・・・しっかりしてるな?建物?」

「そうだな・・・てっきりボロボロだと思ってた」

亮の言葉に僕は同じ感想を持った。

それに

「いきなり出てきなこれ・・・」

暗闇からあまりに忽然と現れたその建物に健太郎も驚き隠せないでいた。

草深いといっても懐中電灯をもって歩いてかき分けながらであったとしても

こんなに立派な建物が突然出てくるのは不思議という感覚しかしなかった。

「「「・・・・」」」

言葉を失う。

廃墟だというのに立派な作り

帰ることを考えたときにそれを拒むかのように表れたそのタイミング

どれもが奇妙な体験であった。

「まぁ!本当にあったんだから探索しようぜ!!」

健太郎はさきほどまでの落ちた気分を取り戻すように声を上げた。

その反面、僕は草をかき分けて歩いていた時と同じ感情が沸き上がる。

「なぁ?本当に行くのか?」

「なんだよ?さっきまで普通とか言ってたのに」

健太郎が僕を茶化す。

「いや、そうなんだけどこれはなんか・・・気味が悪いだろ?こんな突然・・・」

「まぁ~たしかに突然出たみたいだけど、それはさ、俺たちが見逃していただけだって!」

僕の言葉にいきいきと返す。

「健太郎、そんなにはしゃぐなって祐介もせっかく来たんだ見ていこうぜ?中?」

亮が僕たちの合間を取り持って話す。

「・・・わかったよ・・・」

亮の言葉に渋々了承した。

「じゃ!探索開始!!」

健太郎がはしゃいで建物へと歩を向ける。


ガチャ

「開いた!!」

健太郎はその建物のドアノブに手をかけて開いて見せた

「やったな!!行こうぜ!」

亮はその光景を見て意気揚々と中に進む

(これ・・・本当に廃墟か?)

僕はそんな思いを心に持つ

外観だけではなく扉にその奥に続く室内

そのすべてがここ数年誰も来ていない建物ではないように

生活感?とでもいうのであろうか

人がいるような感覚が僕の思い加速させる。

「なぁ、やっぱりやめないか?」

その妙な感覚を素直に二人に伝える。

「なんだよ?祐介?やっぱり怖いのかよ??」

健太郎が僕をあおる

「いや、怖いというか・・・変だよ!!この家!!」

「何がだよ?」

健太郎の疑問に

「最近は誰もの来てない廃墟だろ?なのにこの感じは変だよ!!」

その言葉に健太郎も

「確かに・・・やたらきれいだけど・・・」

「だろ!?」

その言葉にのやり取りに亮が

「でもさ、ここまで結構な森の中だぜ?人が住むか?」

「・・・」

確かにここまでの道のりからして人がいるような場所ではない。

しかし

「でもさ!誰かが管理していてきれいなのかもしれないだろ?最近あるじゃん?動画配信者が無断で敷地に入って捕まるやつ!」

「・・・確かにな・・・」

亮は僕の言葉に理解を示した

しかし

「せっかくこんなところまで来たのに何もしないで帰るのかよ?」

健太郎はすこし機嫌を損ねたのか駄々をこねた。

その様子に亮が

「うーん・・・確かに祐介の言うことも正しい・・・けど健太郎のいう通りこんなところまで来たんだ、ほんの少しだけ覗いていかないか?」

亮が僕の諭すように話しかけた。

「・・・」

本当は早くここから出たい

だが

二人の言葉を無視して僕だけが反対の姿勢を貫くのもなんというか

輪を乱すような気がしてきた。

「・・・わかった・・・でも本当に少しで帰ろう」

「亮ナイス!!」

健太郎が喜び声を上げた。

「じゃ行こう!!」

そのあとに声高らかに宣言して中へと進む

「健太郎はしゃぐなって!」

亮がその様子を少したしなめながら後に続く。

「・・・」

その後ろを僕は無言でついていった。

キシキシ・・・

廊下が足の移動とともにきしむ。

「・・・きれいだな・・・これは本当に祐介のいうとおりかもな・・・」

亮がつぶやく

「・・・やばいかな?これ?」

健太郎が予想外のきれいな室内にすこし気おくれしていた。

生活感・・・

それがあるリビング

こんな森の奥の建物に似合わない異質な空間。

「うん確かに・・・でもなんていうか古い感じはするな・・・」

亮のその感想も僕はわかった。

生活感はある・・・だが

時代錯誤の置物が多数ある。

大きな四角い古いテレビに

振り子のついた時計・・・もちろんその動きは止まってる。

所々に感じるレトロ感

使用感はこの数年ない様子だが何かがこの家を使っている。

いや、いた?矛盾している感想だがそんな思いが頭をめぐる。

そんな戸惑いはみんなにも伝わったのかいちように緊迫した雰囲気が流れる。

キシキシ・・・

床がきしむ

その音は三人分鳴り

この静かな空間に響いていた。

「「「・・・」」」

無言で中を詮索した。

「ここは・・・」

リビングを超えると和室があってそこにはベットが一台。

「寝室?」

僕は言葉を続けてみんなに確認した。

「そうみたいだな・・・」

健太郎が僕の言葉に続いた。

周りを見渡して亮は

「なんか寒いな・・・」

部屋の雰囲気なのかそれとも空気が本当に冷たくなったのか・・・

タンスにダブルベットそれにサイドテーブル

その上には年代を感じさせる機械

ラジカセ?ラジオ?

そんな感じのなんというか昭和を感じる物があった。

その部屋を三人で立ちすくみ眺める。

「やばいかな?これ?やっぱり早く出た方がよくない?」

僕は二人に確認した。

「・・・たしかに。さっき祐介が言ってたあの・・・管理されてるのかもしれないな、この家・・・」

亮がさっきの話を口にした。

「だろ?このままだと心霊よりやばいことになるって!?健太郎帰ろう?」

僕は健太郎に向かって話した。

しかし

「・・・・・」

健太郎が無言で立ち尽くす。

「おい?健太郎??」

再び健太郎に問いかける。

「健太郎?」

亮も同じようなタイミングで健太郎に呼びかけた。

「・・・・」

健太郎は僕らの呼びかけに反応はせずに何かを見つめている。

彼の正面に立ち

「おい!健太郎!?」

顔を見て話すが健太郎の視線は空を彷徨い心ここにあらずといった様子だ。

「祐介?」

亮も不安が声に帯びている。

「・・・ぇ・・・・ぁ・・・・」

その時に健太郎が何かを声にしている。

「え?どうした?健太郎?」

健太郎の口もとに耳を向ける

「やめてくれ・・・たのから・・・その子はだけは・・・」

「?何言ってるんだよ?健太郎?」

健太郎の言葉に理解がおよばずに聞き返す。

「その子を離してくれ!!頼む!!」

健太郎は声を荒げていう。

「健太郎!?健太郎!?おい!!」

亮もその瞬間に健太郎に駆け寄り話かける。

僕たちの様子は見えてないように健太郎は取り乱している。

すると

「ジーーーー・・・・」

ノイズが部屋になる

取り乱す健太郎を見ながらもそのノイズが耳に入る。

(なんだ?何の音だ?)

健太郎をなだめながら部屋を見渡す。

するとさっき見ていた機械に明かりを灯ってる。

そして

「お父さん!!お母さん!!」

小さな女の子の声がその機械から聞こえる

「「!?」」

僕たち二人は突然の出来事に驚き固まった。

そして

「おい!!早く出せよ!!!こいつがどうなってもいいのか!!!」

荒々しい声が先ほどの女の子の声に被さる形で響く

その声に答えるように

「頼むから離してくれ!!今すぐに用意するから!!頼む!!」

健太郎は機械聞こえる声に反応している。

その様子は真に迫り僕たち二人は言葉がでなかった。

「あなた・・・お願い・・・その子を・・・」

その機械からはもう一人女性の声が聞こえる。

懇願するようなその声に何となくだが状況が分かり始めた。

(これってあの時健太郎が言ってた・・・)

頭の中で理解ができ始めた。

けど、そんなことがありうるのか?

あんな古いラジオのようなものが動き出すなんて・・・

ありえないという気持ちが胸をかき乱す。

そんな中でも健太郎とラジオのやり取りは続く。

その時に

「ダッダッダ!!」

「このガキ!!」

駆け出すような音の後に男のいらだつような声

そしてそのまま

「いやぁぁぁーーー!!!」

女の子の悲鳴が響く

「えり!!」

健太郎は叫び膝をつく

「えりちゃん!!そんな・・・・」

ラジオからは落胆した女性の声

そして

「もういい・・・おまえらを片付けてから・・・」

つぶやくような声が聞こえたあと

「やめて!!!」

女性の叫びが再びしたのと同時に

ドサ

健太郎は前のめりに倒れる。

「「健太郎!!!」」

僕たちは健太郎に駆け寄った。

そのさなかも

「あなた!!!あなた!!!!」

ラジオからは女性の叫び声

そして

「だまれ!!この!!!」

男性の怒号が聞こえると

ドン!!

ガン!!!!

何かを叩きつけるような音と

「いや!!あ!!・・・・がぁ!!!」

女性の声が何・・・そう圧迫されたように途切れ途切れ聞こえる。

その中僕と亮は健太郎を抱えた

「健太郎!!健太郎!!」

呼びかけるが健太郎は反応をしない。

声はラジオから乱暴な息遣いとドン!!とかガン!!といった音が続く。

しかしその音を背に健太郎と亮とともにその部屋を後にした。

そして振り返ることなく入ってきたドアから外へと飛び出した。

外に出た後も音が後を追ってくるようなそんな感じがして僕たちは足を止めることなく森を抜けた。

はじめの森を彷徨っていたときとは違いほんの数分の出来事だった。


数日後

健太郎はまだ目を覚まさない。

僕たちの両親に警察・・・

いろんな人を巻き込んだ。

もちろんかなりの叱責を受けた。

それに警察の調べも受けた。

三人で肝試しをしたこと

その先はかつて有名だった廃墟だということも。

だが

「この森にそんな廃墟はない」

警察がいう。

「でも、健太郎が先輩から聞いたって!!」

「うーん、それは誰なんだい?」

僕の言葉に警察が答えを聞くが

「それは・・・健太郎しか・・・」

言葉に詰まる。

「そうですか・・・では、彼の周りに聞き込みを・・・・」

警察がたんたんと話した。

僕たちは何を体験したのだろうか?

健太郎が言っていた廃墟はたしかにそこにあり

僕たちは足を踏み入れた。

そして健太郎はまるで何かにとりつかれたようになり

古いラジオからは謎のやり取りが流れた。

それと同時に健太郎の意識はなくいなった。

そしてそんな廃墟は存在しないと告げられた。

僕と亮それにあの時の健太郎もたしかにその存在を認識していた。

またそのラジオから流れた声に健太郎の様子

あれは建物を見つける前の健太郎の話のような展開

こんなに鮮明に覚えているのに

それなのに・・・

今もまだ心にしこりをのこして時間を過ごしている。

健太郎の意識が早く戻るのを心に祈りながら・・・・


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― 新着の感想 ―
[良い点] 若者の無謀な感じとか冒険の感じが迫真に迫ってました! 良かったです! [一言] 面白かったです! 謎がそのままなのもいい感じでしたー!
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