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隣のキミと過ごす、本当の恋人までの一年間。  作者: 四乃森ゆいな
第二章
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番外編「幼馴染は、お互いが好きな病にかかっている②」

「まったく。誰のせいだと思ってんのよ」


「部屋掃除してくれるのは助かるが、そこまで頻繁にやる必要ってあるのか?」


「寧ろ散らかしたまんまのあんたが信じらんないのよ……っ! あぁー、本当にもう!」


 マジで掃除魔だな美穂の奴。

 ほぼ一人暮らし状態の男子高校生の部屋が本で溢れてることが、一体どんな逆鱗に触れているのやら……。


 そんな感想を抱くオレだが、実のところこんな空気が1番居心地が良かったりするのだ。

 美穂がここに居てくれる。――それを実感出来るから。


「どうしたの? そんなにニヤニヤしたりして。おかしなことでも言った? もしくは食べた!?」


「食べてねぇよ。ちゃんとお前が作った昼飯食べたわ」


 そんなやり取りをしながら、オレはベッドから起き上がると読んでいた本に栞を挟んで立ちあがる。


 今は夕方。そろそろゴールデンウイークの1日目が終わってしまう時間帯になってしまった。本を読んで1日が終わるとか、オレらしいな。それはきっとあいつも同じだろうな。

 オレは脳裏に浮かんだラノベ仲間のことを思い出してクスッと笑ってしまった。


「……やっぱり変なものを?」


「食べてねぇって言ってんだろ。何疑ってんだ……。それよりこの時間帯に来るってことは、今日夕食一緒に食べるのか? どうせ1人なんだろ?」


「何よ『どうせ』って! …………食べるけど」


 美穂はオレの顔を見ずに返答をする。

 そう返答した彼女の耳朶は、ほんのりピンク色に染まっていた。


 おー、今日は断らなかったな。

 ここ最近の美穂は、何故か夕方になると帰ることが多かったのだ。その理由は……何となく察しがついてるがな。


「へぇ。今日は珍しく食べるんだな。最近だと夕方になったらすぐに家に帰ってたし、夕飯が終わるとまた来るんだもんな。完全な二度手間だし」


「し、仕方ないじゃん! ゆ、夕飯作ると見せかけて……変なこと、してくるから」


「ほぉ? けど、恋人同士なら普通のことだろ?」


 そう、オレはこの真っ赤な林檎りんごのような顔をした美穂と、幼馴染であるのと同時に――恋人として、今現在付き合っている。


「そ、そうかもしれないけど……。今は連休だからいい、けどさ……が、学校ある日とかは、ひ、控えて欲しい……。腰、立たなくなる……」


「まだそこまでやってないだろ」


「に、似たようなことまでしたじゃない!! ……指、までだけどさ」


「優しい彼氏で良かったな。ってか、そんなこと言うってことは、誘いか? それとも希望か?」


「どっちも違う!! ――もう止めっ! この話はもう終了!」


「お前からしてきたんだろ」


 すぐ怒るし、すぐ照れる。――本っ当、可愛い奴!


 オレ相手にしかここまで毒舌であったり照れたりなどはしない。そんな中、スゴく思うことがある。この幼馴染、めっちゃ『ツンデレ』だろ。


 ここ最近はあいつらを見守ったりアドバイスする機会が多かったが、オレらもオレらで恋人なわけで――。

 だから今は、このツンデレ性の幼馴染を甘やかしたいのである。


「――なら、今夜するか?」


 と、オレは単刀直入に美穂へ訊ねた。

 ただでさえ今も熟した果実のような顔を浮かべる美穂に更なる追い打ちをかける形で。


「~~~~~~~~っ!! ば、ばっかじゃないの!?」


「よし、決まりな!」


「勝手に決めないでよっ!! この変態!!」


「はいはい。何とでも言ってみろ」


 普段は何気ない陽キャの顔をしていても、その実態はオレの前でだけでこんなツンデレ要素を発揮してくれる。……こんなの、好きにならない方がどうかしてる。


 オレはきっと治らない病にかかっているのだ。

 この幼馴染から逃れることは出来ない、そんな病にかかっている。

 もう――治ることは絶対に無いだろう。


「ま、その前に腹減った。せっかくだし、一緒に作ろうぜ?」


「……別にいいけど。でも、あんたは丸めるだけだからね! 料理下手星人!」


「はいはい。仰せのままに、お姫様」


 オレ達はお互いに、互いが好きなのだということを――こうして思い知らされるのだ。

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