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隣のキミと過ごす、本当の恋人までの一年間。  作者: 四乃森ゆいな
第二章
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第21話「カノジョは、彼氏にプレゼントを渡す」

「……ありがと、もう大丈夫」


「そっか」


 私は晴斗にそう言うと、すぐに顔を背けてしまう。


 きっとまだ私に顔を見せられないのだろう。先程までの行動とそっくりなのに、今の逸らし方は明らかに別物だと断言出来る。

 晴斗の内面を知った影響だろうか。

 少なくとも今の晴斗は、いつもの晴斗であると確信出来る。幼馴染故の感覚だけれど。


「……何か、お前だけ納得してる気がする」


「…………えっ?」


 突然、顔を少し私の方へと向けながらそんなことを呟いてきた。


「お前だけ自分の知りたいこと知って、んで僕は無理矢理吐かされた気分。……お前は自分の知りたいことを知って、僕は本音を吐いただけ」


「えっ……ちょ、晴斗?」


「じゃあ次は僕から質問。改めて訊くけど、その痣、一体何で《《付けられた》》わけ?」


「え、えぇっと……」


 晴斗は腕を引っ張りながら私を胸の中へと引き戻す。

 しかも急に晴斗が引っ張るもんだからその反動で、胸の中に勢いよく飛びついたような感じになってしまった。


 ……え、えっと。この状況、一体どうするのが得策なのだろうか?


 晴斗が欲しがっているのは私の腕についた痣について。だが、当事者である私自身がこの痣がついた原因を把握しきれていない。

 判明しているのはバイト中にぶつけたということだけ。


 それだけの理由で納得してくれるか否かという審議もそうだが。それ以上に、私は今の晴斗の現状について少しばかりの優越感を覚えていた。


 そもそも晴斗が自称する“根暗”とは――本性を表に出すことが苦手な人、又は他人とのコミュニケーションが上手く取れず完全に孤立してしまっている人のことを指す。

 それと当てはめれば、今の晴斗は全然根暗じゃない。


 まぁそもそもとして自分のことを“根暗ぼっち”と自称しているのは晴斗自身だけ。

 家族との接し方や、藤崎君とのやり取りを見ていれば、全然そんなことはないと思ってしまうのは、きっと私だけじゃない――。


 ……何だろう。こんな状況なのに、少しニヤけてくるかも。


「ふふっ……!」


「な、何だよ。何笑ってんだ……」


「笑うっていうよりかは、嬉しいに近いかもね。だって今の晴斗、私のことに対して嫉妬してくれてるんだ、って初めて実感出来たから!」


「……僕だって、自分で1番自分の本性に驚いてるよ」


 晴斗の顔はまるで熟した果実のような色を浮かべている。……こんなに照れる晴斗、案外初めて見るかも知れない。私に告白したときも、こんなに照れてなかったくせに。


 私はクスっと笑みを零した後、鞄の中から小型の箱を取り出した。


「……何、それ」


「晴斗への誕生日プレゼントだよ。今日、自分の誕生日だって覚えてる?」


「そ、そりゃあ……今朝優衣に言葉だけで祝われたけど」


「……実は、このプレゼントを買うための資金集めしてたんだ。この痣は多分、荷物運びしてるときに出来たんだと思う。自分でも覚えてないから、予測でしかないけど」


「ば、バイトって……。じゃあ、あのとき誤魔化したのって――」


「サプライズしたかったんだ。だって今年は、幼馴染じゃなくて、こ、恋人に、なった年だから……例年より良いものあげたくて。……でも、そのお陰で余計に混乱させちゃった。……本当に、ごめんね」


 晴斗は私からの言葉に驚いたのか、面喰らったような顔を浮かべていた。


 たとえ距離が近い私達でも、当然知らないことはある。

 性格も、好きな食べ物も、好きな本のジャンルも――そのほとんどを知っていても、互いの内面まではどれだけの時間を使ってもわかり合うのは難しい。


 けど、言葉にするだけで、こんなにもわかり合えるものなんだ。と、私は昨日のやり取りを思い出した。

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