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イケメンはイケメンスマイルをグリナに向けながらハーレムへと帰っていった。

評価ポット、ブックマーク、皆様ありがとうございます。


寝落ち後早起きがパターン化してきた…。


マルチンの描写が抜けてたので修正しました。


「相変わらずね、あんたら」


 冒険者装備に身を包んだグリナが呆れたように俺とシャロを見ていた。


 グリナは最初こそついていくのは嫌だとごねたが、アーバンさんのたまには上級者に教えを乞うのもいいものだよ、という言葉に観念して、行くと決めたらテキパキ用意をし始めた。


 初めて一緒に旅した時も、この切り替えの早さには感心したものだった。


「「何が?」」


「その、デュークが常にシャロをモフモフしている所よ」


「え?ああ、すまん無意識だった」


 言われて気づいたが、俺の右手はシャロの極モフな耳をモフっていた。


 いや~まったく意識してなかったわ。


「無意識って。あんた私と再会してからずっとモフりっぱなしじゃない」


「グリナ、無意識なんだよ」


「グリナ、デュークは騎士を辞めてからずっとモフってるよ」


「グリナさん、俺も嘘かと思ったがデュークの旦那はマジで無意識ですぜ」


 グリナはマジ?って顔をしていたが、ルルミアがここ数年分の不足モフ分を埋めていると言うと、なるほどと納得した。


 ちなみにグリナとミッドは自己紹介した後、「「友よ」」と意気投合していた。


「とりあえず、まずは冒険者ギルドに行って最近の情報仕入れてから行くんでしょ?そんなずっとモフってたらあんたの顔を知らない新人どもとトラブルからちょっと自重してよ」


 グリナの意見はもっともだったので、俺はモフらないために両手をポケットに突っ込んだ状態で冒険者ギルドのクルンヴァルト支部へとやってきた。


 久しぶりだが外見も中身もあまり変わっていないな。受付嬢は入れ替わっているみたいで知った顔はいないみたいだが。


 すでに昼前くらいなので大半の冒険者達は依頼に出かけてるから人もまばらだ。併設された食堂兼酒場にも二パーティーくらいしか見当たらない。


「こんにちは。ちょっと良い?」


「はい。冒険者ギルドクルンヴァルト支部へようこそって、あら、グリナさん。お久しぶりですね」


「まあね」


 ちなみにグリナはたまに暇な時間があると身体が鈍らないよう軽めな依頼をこなしていたらしい。その時は商会の護衛隊とパーティーを組んでいるとのこと。


「今日はいつもの皆さんじゃないんですね?」


「ええ、今回は昔の友人と組んでちょっと遠出する予定よ。だからカムユラ山脈までのルートの最近の状況を聞かせて」


「遠出ですか、珍しいですね。カムユラ山脈までですと最近は……」


 ギルドの受付嬢の話ではこれといって変わりはないらしいのだが、カムユラ山脈の手前に広がるカムツーク高原周辺でナノワイバーンの小規模な群れが目撃されたから注意して下さいとのこと。


「わかった。ありがとうね」


「ついでに何か依頼を受けられますか?」


「今回は辞めておくわ」


「そうですか、残念です」


 それじゃあ行こうかとギルドを出ようとしたら、ちょうど入ってきたパーティーがこちらを見たと思ったら、先頭にいた若いイケメン剣士の男がグリナに声をかけてきた。

 

「グリナさん!」


「げッ」


 グリナは一瞬嫌そうな顔をしたが、瞬時に取り繕って笑顔になる。


「グリナさん、久しぶりですね。これから依頼なんですか?」


「久しぶりねリュート。じゃ、私達は急ぐから」


「そんな、久しぶりに会ったんだからちょっとくらい話してくれても良いじゃないですか」


 露骨に避けるグリナをリュートと呼ばれたイケメンはめげずに引き留める。


「それに、グリナさん。いつものパーティーじゃないじゃないですか。護衛の人と以外は組まないからって俺の誘いを断ってたのに」


「今回は昔の友人と久しぶりに組むことになったのよ」


「昔の友人、ですか。氷槍のグリナさんが指導された人なんですか?」


「違うわよ。あとその名前で呼ばないで!」


「氷槍?」


「グリナ、二つ名付きになったんだ」


「立派になって。よよよ」


 そうかそうか、二つ名付きになったのかぁ。俺達と別れた後も結構真面目に活動していたんだなぁ。


「いえ、これはね、そんな二つ名なんて大したものじゃないのよ。だからね」


「何言ってるんですか!氷槍のグリナと言えばこの支部でも屈指の槍使いとして有名なA級冒険者じゃないですか!」


「馬鹿ッ!」


「A級?お前上がったなんて一言も言ってなかったじゃないか」


「おー、おめでとー」


「A級なら今回はアンダースラントまで魔の森を突っ切って行っても大丈夫だね」


 いや~グリナさんA級になられていたとは。何故隠してたし。それならルルミアの言う通り魔の森を突っ切って行っても大丈夫だな。


「え?いえ、流石に魔の森を突っ切るのはちょっと」


「あなた達、いくらグリナさんがA級でもその人数をカバーしながら魔の森を行くのは無理だ」


「だって。氷槍のグリナさん。なら俺はカバーがいらないよう後ろの方で応援に徹しよう」


「私も応援する」


「A級なら補助魔法もいらないよね」


「俺は邪魔にならないようひっそりとしていますぜ」


「あんたらね……」


「グリナさん、こんな人達と一緒にどこまで行くんですか?」


 イケメンは俺達に対してあまり良い印象を持たなかったらしい。


「そんな危ないとこには行かないわよ。それよりリュート、ほかの皆は受付に行っちゃったわよ。早くそっちに行ってあげなさい」


「あ、ええ。グリナさん、あなたなら大丈夫だとは思いますけど、気をつけて下さいね。あなた達、いくら友人だからってグリナさんの足をひっぱるような真似をするんじゃないぞ」


「私の事はいいから早く行ってあげなさい頼むからほんと」


 受付の前でこちらを見ているイケメンのパーティー達。全員可愛くて若い女の子だった。ハーレムパーティーだな。


「ん?」


 その中の、北の大陸の神殿の神官が着る神官服に身を包んだ女の子はイケメンではなく何故か俺の方を見ていた。


 んー?何か見覚えがあるような、ないような。


「それじゃ、グリナさん、今度は俺とも組んで下さいね」


 イケメンはイケメンスマイルをグリナに向けながらハーレムへと帰っていった。


「さて、それじゃあ行きましょうか!」


 グリナはそんなイケメンスマイルを無視してさっさと歩きだした。


「グリナ、まずはヅミロス様へのお供え物を買いにマルチンのパン屋に寄っていこう」


「あー、あの凄くお気に入りになられた美味しいマフィンね。了解よ」


「うん。それはそうとグリナさん」


 俺は早足で先を行くグリナの肩にポンと手をかけてた。


「な、何でしょうか?」


「A級に上がった事を黙ってたなんて酷いなぁ。氷槍のグリナさん。氷槍ってことはあれだろ?あのアイスドラゴンの角を加工したんだろ?」


「え、ええ。ドワーフの工房にお願いして魔槍にしてもらったの。A級に上がったのは黙ってたわけじゃなくてね、まだまだ私の実力では胸を張ってA級と言えるほどじゃないかなと」


「いやいや、クルンヴァルト支部がA級と認めたからには実力も伴っている、と判断されたんだよ。ならやっぱり時間が惜しいから突っ切ろうか、魔の森」


「い、いえいえ私の実力ではとてもとても」


「私達が魔の森を初めて突っ切ったのはB級の頃だから大丈夫」


「あんた達のBは一般人のA上位だから」


「ソロで戦え、なんて言わないから大丈夫」


「ソロでやれって言われたら死んでしまいます」


「俺はひたすら気配を消して行きますぜ」


「私も気配消せればよかったのに。ともかく今回は安全を考えて」


「A級なら余裕でしょ、魔の森くらい」


「A級なら傷一つなく通り抜けられるはず」


「A級なら一日あれば突っ切れる」


「俺は見ている事しかできやせんぜ」


「そ、そんなぁ……。あーもう、リュートのアホ、疫病神、ハーレム野郎」


 グリナは肩を落としてイケメンに毒を吐いた。


「あのイケメン、随分グリナに御執心されてたけど何なん?」


「あいつは一応うちの商会とも契約しているS級パーティーの奴なのよ。私だけじゃなく気に入った女性にはああやって声かけまくってるの」


「S級?もしかして、あの神官の子か?」


「流石ね。あっさり見破っちゃうんだから。そう、あの神官の子がSでリュートはAどまり。他の子はどれくらいか知らないけどBかAくらいでしょ」


「見破ったわけじゃなくて、何かあの神官の子に見覚えがあるような、ないようなそんな気がしただけだよ。お、見えてきた。久しぶりのマルチンのパン屋」


 マルチンのパン屋は俺が一番気に入っていたクルンヴァルトのパン屋だ。個人的には一番美味しいパン屋だと思っている。ふわふわもっちり食パンもこの店の商品だ。


「いらっしゃいませー」


 店番の女の子が愛想よく出迎えてくれる。この店の看板娘のマリエちゃんだ。


「お久しぶりー。大きくなったねマリエちゃん」


「わ!デュークさん!久しぶりだねー!元気にしてたー?」


「元気元気。早速だけどマルチンを呼んでもらえらる?」


「わかった。ちょっと待っててね!」


 マリエちゃんが奥に行っている間にマフィンとふわふわもっちり食パン、そして新作をいくつか見繕った。


「デューク!友よ、元気そうだな!」


 店の奥から小麦粉がついた白いエプロンをした普人の男が出てきた。店主のマルチンだ。


「久しぶりだな我が友よ。早速だが頼みがある。この小麦粉を使ってパンを焼いてくれ。お菓子系の甘い奴がいい」


 マジックバックから取り出した小麦粉は、カウリエン麦の物だ。こいつを使えばめちゃうまいパンが焼けると俺の魂が囁いている。


「どれどれ、ん?こいつぁ……デューク、お前、この小麦粉をどこで!」


「今は言えん。だがいつの日か流通はされる物だ、とだけ言っておこう」


「わかった。甘い系メインで作ればいいんだな。だがデューク、食パンも作らせてくれ。こいつを使えばふわふわもっちり食パンを超える食パンが作れる予感がするんだ」


「わかった。追加でもう一袋渡しておこう」


「恩にきるぜ、友よ」


 俺達はがっちりと握手をすると、パンのお会計をして店を後にするのだった。


「ねえデューク、さっきの小麦粉、あれってそんなに特別なものなの?」


 クルンヴァルトの街を出てすぐに、グリナが質問をしてきた。周囲に人がいないのを確認して話かけてきたようだ。


「特別も特別。現状あの小麦粉はユールディンの皇子様か俺しか持ってない」


「え?!何それどういう事?」


「詳しくは道中にゆっくり説明……」


「あなた達、ちょっと待った!」


 唐突に後ろから呼び止められて、振り向くとこちらに向かって走ってくるイケメンとハーレム集団がいた。


「はぁ、やっぱりこうなったわね」


 グリナは肩を落としてイケメンを苦々しく睨むのだった。



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