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相変わらずでかいリアクションだな

ブックマーク、評価ポイント、皆様ありがとうございます。


 ミッドをワイバーンライダーに襲われた王都街道の合流地点で拾った俺達は、そのままネットランの港から船に乗り、北の大陸へとやって来た。


「久しぶりだな」


「冒険者辞めて以来だから、八年くらいかな」

 

「それくらいだね。ミッド君は?」


「俺も里を出てすぐに船に乗ったんで似たような感じですぜルルミアの姉御」


 ミッドとルルミアは同じエルフって事ですぐに打ち解けていた。


 ルルミアは初めて北方エルフの村にいった際に氏族連合の代表みたいな立場でミックと北方エルフの氏族連合加入について話していたから話のネタが豊富なようだった。


「とりあえず、まずはクルンヴァルトに行ってアーバンさんとグリナに会いに行くか。後にしようかとも思ったけど、北方エルフの村に行くとなればアーバンさんから何か依頼があるかもしれないしな」


「そうだね」


「その前にミッド君の装備を整えようか」


「俺の装備?俺は荒事はからっきしですぜ?」

 

「大丈夫だ。鍛える」


「私達には実績がある」 


「商人見習いの箱入り娘をB級上位にまで育てたよ」


「その、遠慮しますって選択肢は……」


「「「ない」」」




 クルンヴァルトは北の大陸の中心にあるブレストニア帝国のやや北にある帝国第二の都市で、周囲に複数存在するダンジョンや魔物の森の存在が冒険者の聖地と呼ばれる所以だ。


 また、交易都市としては大陸一、二を争うほどの規模で、大陸中の様々な物が集まるので商人にとっても聖地となっている。


 俺達もこの街を拠点にして冒険者活動を行っていたが、見習いからS級になり引退するまで色々な経験をさせてもらった。


 今の俺があるのもクルンヴァルトでの日々のおかげだ。


 そんな懐かしい都市に、北の大陸に着いてから二週間弱かけてやって来た俺達は、まずはアーバン商会に顔を出す事にした。


 アーバン商会の敷地内にあるアーバン商店のおしゃれな扉を開けると、中は多種多様な品が俺の背丈より高い棚にところ狭しと並べられていた。変わらないなぁ。


「いらっしゃい。アーバン商店へようこそ」


 店の奥から年配の男性が顔を見せると、俺達を見てちょっと目を見開いた。


「久しぶり、アーバンさん」


「久しぶりです」


「お久しぶりー」


「こいつは驚いた。『貴黒の猫毛』のデューク君じゃないか。それにシャロちゃんやルルミア嬢まで。いやぁ、久しぶりだなぁ。元気そうだね」


「ご無沙汰してます。アーバンさんもお元気そうで安心しました」


「はっはっは、デューク君のおかげだよ。あれから毎年ホワイトハニーサックルを手に入れる事が出来るようになったからね。そちらの北方エルフの君は初めてだね」


「ミッドと言います」


「ミッド君だね。初めまして、グリンダム・アーバンと言います。この店のご隠居みたいな立場だよ」


 ミッドがアーバンさんの名前を聞いてめちゃくちゃ驚いていたが、アーバンさんはにこやかに笑うだけだった。


「いやぁ、今日は何だか朝から店番をしたほうがいいような気がしていたんだ。大正解だったね。それで今日はどうしたんだい?」


「実は実家に戻ったあと騎士団に入ってあれこれやってたんですが、先日引退しまして。時間が出来たので引退直前に偶然知り合ったミッドに付き合って北方エルフの村まで行ってホワイトハニーサックルジャムを分けてもらおうと思いまして。で、せっかくクルンヴァルトに来たから久しぶりにアーバンさんとグリナに挨拶しようと伺ったわけです」


「そうなのかい。わざわざありがとう。グリナは商会の方にいるから案内しよう」


 アーバンさんは店の奥に店番を代わるよう声をかけると、そのまま商会の方に案内してくれた。


「デュークの旦那、マジでグリンダム・アーバンと知り合いだったんすね」


「ああ、凄い人だとは大分後で知ったけど」


 アーバンさんはとあるドアの前で立ち止まると、いたずらっぽい笑顔で俺達を手招きすると、そっとドアを小さく開いた。


「覗いてごらん」


 勧められるままにドアの隙間から中を覗いてみると、いかにもやり手って感じの若い女性が大きな机に座りながらまわりにテキパキ指示を出していた。


「おお、グリナ。立派になって」


「できる女って感じ」


「本当だ。凄い大人びた感じになってる」


 冷たさも感じるほどのクールな物言いでほかの商会員をアゴで使っている。


「あの子は去年クルンヴァルト支店の支店長になってね。バリバリやるのはいいんだけど、ちょっと鼻っ柱が高くなってるんだ。デューク君が来たのはちょうどよかったね」


「え?何で?」


「さて、このまま気づかれないように忍び込んでみようか」


 俺の疑問を無視してアーバンさんは実に楽しそうに何やらちょっときつめな口調で指示を出しているグリナの後ろに周りこんだ。


「……って言ったでしょ。何故こちらの指示通りに荷をまわさなかったの。あなた、聞いてる?何?後ろがどうかしたってぎゃーーー!!!」


 気づかれずに後ろに回り込むことに成功したアーバンさんは、俺達に立ち上がって姿を見せるようジェスチャーしたため、それに従って立ち上がると、それに気づいたグリナに怒られていたっぽい商会員がこちらに気付き、グリナも商会員の視線が自分ではなく後ろにいっている事に気づいて振り向き、俺と目が合った瞬間何故か叫び声を上げた。


「出たーーーー!!!何であんたがここにいるのよデュークーーー!!!」


 グリナは腰を抜かした後、這うようにして机の裏側に回り込んで、頭を半分だけ出して隠れてしまった。


「久しぶりだなグリナ。相変わらずでかいリアクションだな」


「グリナ、久しぶりー」


「おひさー」


「シャロとルルミアもいる?!やっぱり夢じゃないんだ、本物なんだ!いやーーー!今度はどこに連れて行く気よーーー!」


 何故か隠れたままエキサイトするグリナを、商会員の人があっけにとられた目で見ていた。




「み、みっともないところを見せたわね」


 しばらくパニくっていたグリナだったが、物陰からニヤニヤ笑って見ていたアーバンさんに気づくと、お前の仕業かジジイ!とキレてグーで殴ったらちょっと落ち着いたのか、やっと話を聞けるまでに落ち着きを取り戻した。


「変わってないなグリナ。さっきまではできる女クール系って感じになってたからちょっと安心した」


「うん。何か凄くクール、というか冷徹な感じで指示を出していたからビックリした」


「凄く大人びた見た目になったね。中身はあんまり変わってないみたいだけど」


「あんたら、誉めてるのか貶してるのかどっちなのよ」


「「「どっちも」」」


「ぐぬぬ」


「そもそも背後を簡単にとられ過ぎだ」


「しかも兄さんと目が合った瞬間に悲鳴を上げてパニックになるとか」


「弛んでるみたいだから久しぶりに一緒に出かける?北方エルフの村に行く予定なんだ」


「い、いえ、遠慮します。お心遣いだけで大丈夫ですほんとに勘弁して下さいマジで」


 青い顔をしながら手と首を振って拒否するグリナに対して、何故かミッドが同情的な目で見ながら首を振っていた。

 





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