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しっぽもモフる?


 パルダス侯爵元第一夫人のリヴェラとユールディン帝国の第三皇子になんらかの繋がりがある、リヴェラの反応から間違いなさそうだが、いったいどんな繋がりなんだと驚いた後で、冷静に考えればラグラント王国の第三騎士団団長()とユールディン帝国の第二皇子(キーラン)が冒険者時代のダチだなんて誰が想像できたんだ?と思い至り、そーゆー事もあるかなぁと納得したら、また無意識にシャロの頭をモフナデしていた事に気づいた。


 高すぎず低すぎず、違和感を覚えることなく思わず手が出るこの頭の位置、まさにベストポジション。


 狙ったな、シャロ!


「あー、シャロさん?」


「うな~?」


「狙いましたね?」


「うん。兄さんがマジかよってげんなりしてたからこの辺りに頭を持っていけばモフナデるかなって」


「モフナデましたとも。無意識に」


「癒された?」


「癒されましたけども」


「しっぽもモフる?」


「魅力的なお誘いですけども」


 周りの目があるから。お兄ちゃん団長だから。まだ。


「二人とも、本当に仲が良いですわね」


 リリザの生暖かい視線にシャロは当然ですって顔をして頷いていた。


「それはそうとコスタル団長。むこうでフリッツ君が『酷いよデューク兄さん』と言いながら探してましたわ」


「「あ」」


 しまった。すっかり存在を忘れていた。


 あちゃーしまったなーあれから何時間経ったんだ?


「半日くらいは放置したか」


「それくらいは経ったと思う」


「キーランから返事がきたのかな」


「だと思うよ」


 リリザに礼を言ってパルダス侯爵邸の外に出ると、ちょうどオーガに破壊された門の辺りに佇むフリッツが見えた。


 何故か、例の黒色冒険者達を引き連れて。


「なんでや」


「何で連れてきちゃったのフリッツ君」


 あ、むこうもこちらに気づいた。


 逃がさないぞって顔をして駆け寄ってくるフリッツ。


「二人とも酷いよ!置いてきぼりなんて!」


 俺の肩を掴んで揺さぶるフリッツ。


 半日も彼女達を励ましていたのだろうかと流石に罪悪感が込み上げてきた。


「いやーごめんごめんフリッツ」


「ごめんねーフリッツ君」


「謝罪が軽い!」


「いやでもほら、ユールディンとの連絡役が必要だったから」


「そうそう。時は一刻を争う事態だったから」


「それでも僕に一声かける暇はあったでしょ?!」


「「はい、すいませんでした」」

  

 シャロと二人で頭を下げると、ちょっと興奮が収まったのかフリッツが別れた後の報告を始めた。


「先ほどイサカ支部より返答がありました。Aランク冒険者のソルドリは無事第二皇子キーラン様に手紙を届ける事に成功し、その場でキーラン様から緊急依頼を受けてシャハルザハルの目の配達員を探すのに協力。近隣の街で頭に負った傷の治癒を受けていた配達員を発見して無事ドラゴンベルを取り戻したそうです。さらにキーラン様はコスタル団長と一度話をしたいと研究都市イサカに滞在中との事です」

 

「ご苦労。キーラン殿も何かに気づいたな」


「配達員がリヴェラからの手紙を預かっていたのかもしれません」


「あり得る話だな。よし、冒険者ギルドに向かう。だがその前にシュライザー達を近衛と警備を交代して合流してからランデル達と合流して、一緒にいるノックス達にパルダス侯爵様を診てもらわないとな」


「先触れに向かいますか?」


「いや、フリッツはフォーゲル団長の元にもどり一度報告をすべきだ。近衛なのに第三騎士団に散々付き合わせて悪かったな」


「いえ、憧れのデューク兄さんと一緒に騎士として働けたのだから僕としては嬉しかったので気に…いや冒険者ギルドの部分だけは気にしてください」


「そこはほんと、すまんかった」


「はい、謝罪はもういいですから彼女達の話を聞いてあげてください」


 フリッツは彼女達に会話を譲るとフリック達を呼びに行ってきますとパルダス侯爵邸に入っていった。


「先ほどは本当に申し訳ありませんでした。デューク・コスタル男爵様、シャロル・コスタル様」


「本当に、申し訳ありませんでした」


 魔術師の子が物凄い緊張しながら俺に謝罪をし、シーフの子も魔術師の子に合わせて深くお辞儀をした。


「気にしなくていい。あの場で煽ったのはこちらだ。非はこちらにある」


「いいえそんな事はありません。私達は大恩人であるあなた方に杖を向けたのですから。お二人は冒険者ギルドクルンヴァルト支部所属だった元Sランクパーティーの冒険者『貴黒の猫毛』のコスタル兄妹様ですよね?」


「そうだ」


「やはりそうでしたか。あらためて自己紹介をしたいと思います。私はミルルと言います」


「私はミョンだ、です」


「私達二人に剣士のバドを含んだ三人は『デリースの木』というAランクパーティーです。冒険者ギルドでコスタル男爵様に指摘されたように、実際はBランク相当ですが、私達は北の大陸にあるデリース村の出身の幼なじみで、クルンヴァルトで冒険者を始めました。お二人は、私達の事を覚えていらっしゃるでしょうか?」


 あー、どうしよ?覚えてないなーってシラを切った方がいいかな?(シャロにアイコンタクト)


 ゴーマットが話したかもだから正直に話した方がいいかも(シャロ、アイコンタクトで返答)


「最初は分からなかったが、君達は俺達が解散する直前に助けたダイオウリクガニとナノワイバーンに囲まれていた4パーティーの一つだったんだよな」


「はい!あの時は命を助けていただいて、ありがとうございました!」


「本当にありがとうございました!」


 大きな声で感謝の言葉を発しながら深く頭を下げる二人に俺はちょっと慌てながら周りを見回した。


 ちょうど通りがかったリリザが良い笑顔でこちらを見ている。


 俺はリリザにちょっと遠慮してもらえます?と手を振って遠ざけた。


「あー、二人とも顔をあげてくれ」


 中々頭を上げない二人にお願いすると、やっと戻してくれたので俺はあの日の経緯を説明した。


「二人とも、俺達があの時君達を助けたのは偶然だったんだ」


「私達は灰色の牙との合同お別れ会用に食材を集めてて、キグスリーの好物のダイオウリクガニを探してたらたまたまあなた達がそのダイオウリクガニに襲われていたからダイオウリクガニ欲しさに助けただけなの」


「シャロの言う通り、俺達が君達を助けたのは相手がダイオウリクガニだったからだ。傷薬も使用期限が迫ってたからちょうどいいなとあげただけだしナノワイバーンは食材リストになかったから君達にあげただけなんだ」


「それでも、私達は命を助けて頂いたどころか、依頼を失敗し、装備も買い換えなきゃいけないほどボロボロで大赤字で借金も覚悟していたのにナノワイバーンを譲って頂いたおかげで赤字どころかプラスになったんです。あの日の皆様がいなければ、今の私達はありませんでした。あの日のご恩をいつか返そう、その思いで冒険者を続けてきました。どうか私達にご恩を返させてください」


「私達に出来ることならなんでもする、です」


 目をウルウルさせながらこちらに懇願する二人に、どうしたものかと頭を悩ませる。


 未だに興味深そうにこちらを覗いているエルフ、耳が隠れきれてないぞ。


「じゃあ、今から冒険者ギルドに行ってゴーマット支部長にまたマドスの鏡を使わせてもらうよう伝えてもらえないかな?イサカ支部にユールディン帝国の第二皇子キーラン様との会談をマドスの鏡越しに行うからって」


 シャロ、ナイスフォローやで。


「ああ、我々は一度騎士団に戻ってあれこれ指示しなければならない。冒険者ギルドに向かってすぐに会談が行えるのはありがたい」


「そんな事でしたら喜んで」


「でもまだまだご恩をお返しするには足りない、またなんでも言って」


 二人はとりあえず納得してくれたらしい。この程度ではご恩を返しきれないからと何度も言いながらギルドに向かっていったのはちょっと気になるが。


「剣士の子、まだ気絶してるのかな?」


「次は剣士も連れて恩返しに来る、だろうなぁ」


 俺とシャロはむず痒い気持ちになりながら二人を見送ったのだった。



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