表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
47/96

駄目な子臭がプンプンする


 ラグラント王国には、いくつかの貴重な魔道具が存在する。


 剣聖ナタリーが戦いの女神アレイナ様より加護を授かったときに頂いた、どのような使い方をしても絶対に折れないし切れ味も落ちない『紅き魔剣レラゼル』。


 大賢者ユフツが魔法の神メイヤード様から加護を授かった時に頂いた知の魔宝玉を使用して自ら作った世界最強とも言われる『ユフツの杖』。


 聖人サリナスが治癒の女神メルナ様から加護を授かった時により多くの人々を助けられるようにと頂いた、メルナ様への敬虔な信仰心を力に圧倒的な範囲での治癒の祈りを発現できる『治癒の聖典』。


 大義賊リオルが古代王朝から盗み出して自分の武器とした、背中につければ空を飛び、体に巻き付ければ周囲の景色と一体化し、腰に巻けば誰よりも早く疲れ知らずに走れるようになる『ロビンのマント』。


 そして建国王ラグラントが大地の女神パンゲア様の加護を授かった時に頂いた、高位竜と契約出来る『真竜のあぶみ』と亜竜を呼び寄せる事が出来る『ドラゴンベル』。


 そのどれもが世に二つとない貴重な魔道具で、我が国でも厳重に保管されているが、この魔道具の中でも二つだけ他とは毛色の違うものがある。


 一つはロビンのマント。もう一つはドラゴンベル。


 この二つだけは、他の魔道具とは違い誰でも使える事が出来る。他の魔道具はそれぞれの神様の使徒でないと使う事ができない。


 特に厄介なのがドラゴンベルだ。


 一口に亜竜といっても種類が豊富で数も多い。


 ワイバーン、バジリスク、シーサーペント、etc。


 陸海空全てそろった充実のラインナップだが、真竜でなく亜竜であっても普通の人なら死を覚悟する相手だし、冒険者や騎士でも中堅以上が複数で相手をするのが普通だ。 


 そんな相手をただベルを鳴らすだけで何匹も呼び寄せる事が出来るとかどれだけ極悪な性能の魔道具なんだよ。


 魔物が少ないラグラントでもドラゴンライダーを百騎揃えられたくらいだから、ユールディンや北の大陸で使用したらどれだけ集まるか想像できない。


 ユールディンの第三皇子は駄目な子臭がプンプンするから手に入れたら絶対使うし絶対自爆する。


 その場合一番被害を受けるのは一般帝国民なわけだから、彼らのためにもキーランとキグスリーには何としても阻止してもらわなければならない。


 こっちの一番の問題は、何故第三皇子にドラゴンベルを渡そうなどと考え実行するに至ったかだ。


 正直、リヴェラのババア一人で考え付くには思考が飛び過ぎている。


 ドラゴンベルは我が国かの貴族なら子供の頃に嫌と言うほどその危険性を教育されるはずだ。


 建国王ラグラントは自身の持つ魔道具の危険性を誰よりも理解していたのだろう。建国から今にいたるまでその辺りの教育はかなり徹底して行われている。


 どれだけ欲深い奴だろうと自身を滅ぼしかねない魔道具を使用するリスクは理解していなければおかしいし、他国の手に渡って万が一自国内で自爆テロを起こされたら止める術がない。 

 

 使うにしろ手渡すにしろ、ろくなことにならない。


 なのにリヴェラはわざわざシャハルザハルの目を使って何の伝もないはずの第三皇子にドラゴンベルを渡そうとした。


 第三皇子に恩を売るつもりか、と最初は考えたが、リヴェラはそもそも和睦を反古にして戦争を継続するのが目的だった。


 なら逆に戦争を継続するために贈ったとしたらどうか。  

 使い方や性能に関して嘘を教えて帝国を混乱に陥れ、その隙に…その隙に、何だ?


 侵略して国土を広める?


 ないなー。法衣貴族の筆頭みたいなパルダス侯爵家に領土うんぬんは関係ない。


 一番考えられるのが今までみたいに戦争の陰に隠れてこそこそ稼ぐ事だが、それならリグリエッタを利用したようにわざわざドラゴンベルなんて危険な道具を使う必要性がない。


 そもそもドラゴンベルは建国王ラグラントが危険視したほどの魔道具で、保管も厳重だ。保管場所は宝物庫の奥にある何重もの鍵で施錠された小部屋の中。


 入れる者はかなり限られる。


 そもそも入るにしても宝物庫に入るのに二重のチェックが、さらに小部屋の鍵を持ち出すのに二重のチェックがいるはず。

 

 犯人探しをすればすぐに誰が入ったかわかるはず。

  

 今回はパルダス侯爵家の寄り子であるリヒター子爵だとシャハルザハルの目が吐いたが、資財管理をしているとはいえそんな簡単に持ち出せる物ではない。


「シャハルザハルの目は持ち出したのはリヒター子爵で、第三皇子に渡す予定だとは言っていたが、あんな危険極まりない魔道具をなんでユールディンに渡そうとした?」


 リヴェラはこちらの視線から逃げるかのように俯いてソワソワするばかりで答えようとはしない。


「ドラゴンベルは保管場所に入るのに何重ものチェックがいる。盗まれたと分かればすぐさま犯人探しが始まるし、特定するのも難しい事ではないはず。わざわざリスクを侵してまでなんでドラゴンベルを何の伝もないはずの第三皇子に渡そうとした?」


 リヴェラはビクリと体を震わせて、冷や汗を流しながら口をつぐんでいるが、今の反応は気になった。


「まさかお前、第三皇子と最初からグルだったのか?」


 

「ッ!」


 マジか?こいつ第三皇子となんらかの関係があったのか?


 この分かりやすい反応が演技でないなら根が思った以上に深いんじゃないか。


 一度、キーランかキグスリーと話をしないといけないかもしれないな。


「まあいい、吐かすのは後だ。牢屋に連れていってくれ。所持品も全て没収して、貫頭衣に着替えさせて、誰とも面会させんなよ」


 俯いたまま連行されていくリヴェラと息子達を見送りながら、まだ終わりじゃないのかよとため息をつきながら、ベストポジションにいたシャロの頭をモフナデするのだった。


 

 

評価ポイント、ブックマーク、新たにしてくださった方、ありがとうございました。


ついに4万PV突破しました。読んでくださった皆様、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ