でっぷり蓄えられた贅肉は枕元にある蜂蜜で作り上げられたのは想像に難くない
抜けがあったので修正しました
暗殺者に 『依頼するため』 悪いお友達から
ホリビス伯爵は案の定抜け道の途中でつっかえそうな縦と横の幅が広い熊系獣人だった。
特に横の幅は驚異的で、でっぷり蓄えられた贅肉は枕元にある蜂蜜で作り上げられたのは想像に難くない。
そんなデブ野郎の口をふさぎながら、ナイフを首筋にあてる。
ちなみにナイフは自分の投げナイフではなくシャハルザハルの目から接収した毒つきだ。
「声を出したら殺す手足を動かしても殺すこちらを欺くような行動をしたら殺す。俺が誰かは理解してるか?理解したならゆっくり頷け」
気を失わない程度に抑えながら殺気を出す。
ホリビス伯爵はダラダラ汗をかきつつゆっくりと頷いた。
俺はそれを確認して口から手を離した。
「よし、ではホリビス伯爵、あんた色々やってくれたなぁ。おかげで俺はこんな入りたくもない悪趣味な館の悪趣味な寝室で、狙われる覚えのない暗殺者を全滅させた時に奪った猛毒のぬられたナイフを、連中じゃなく俺があんたに突きつけなきゃならなくなったわけだ。お分かり?」
ホリビス伯爵は目をカッと見開いて、ふるふると首を横に振った。
俺はナイフの切っ先で首筋をチョンチョンと押し付けた。
「おいおいただでさえイラついてんのにこれ以上舐めた真似すんなよなぁ。ほら、これ見ろよ」
血が染みたワイバーンライダーとの契約書を目の前に突きつける。
「あんたが雇ったワイバーンライダー君は雇い主が馬鹿だったばっかりにご自慢のワイバーンをミンチにされた挙げ句自分は手足を使い物にならなくされて、涙目であれこれ話してくれたよ。あんたも手足をもいでやったら素直に話してくれるのか?」
契約書を見て真っ青になったホリビス伯爵は、やめてくれとばかりに涙を流しながら首を振った。
「じゃあ最初からわかりやすく説明するぞ熊豚野郎。なぁ、リグリエッタの脳筋馬鹿姫んとこにご自慢の馬鹿息子を送り込んで俺達が壊滅させた麻薬組織の捜査の手が自分達に及ばないように脳筋馬鹿姫を操作した所からなぁ、麻薬の元締めさんよ」
わかりやすく体をビクつかせたホリビス伯爵に、今までやらかした悪事を矢継ぎ早に叩きこむ。
「ああ間違えた最初はお姉ちゃんと組んで親父を殺したところからか。親父を殺しただけじゃ飽きたらずあれこれ悪事を働いちゃ金を溜め込み、息子使って悪事の露見を防ぎさらには戦争まで起こしてこっちの目を反らしてますます悪事を拡大し挙げ句にはせっかく苦労して成した和睦を反古にするために、不倫がばれないように旦那を殺したがってたお姉ちゃんに悪事に手を貸す事を条件に紹介した暗殺者に依頼するため悪いお友達からお金を集めて皆で俺を殺せば戦争が続いて自分達の懐はお金が一杯になるよと吹き込んだんだよなぁ?」
今度はフスカ男爵から押収したリストを目の前に突きつける。
ホリビス伯爵の顔色は真っ青から真っ白に変わる。汗も引っ込んで体全体から力が抜けた。
「お姉ちゃんの不倫相手、馬鹿だよなぁ。わざわざ証拠を持ち歩いていたんだから呆れるよな。しかもお前と同じくらいクズだしな」
さらにフスカ男爵の書きかけの手紙を広げて見せてやる。
目を通したら今度は顔が真っ白から真っ赤になり体に力が入った。
「クズはクズ同士お似合いの二人なんだろうなぁ。お姉ちゃんもお金欲しさに同意したみたいだし。最初に言ったろ?連中じゃなく俺がこの猛毒ナイフをつきつけなきゃならなくなったって。シャハルザハルの目を俺が全滅させなけりゃ次はあんたと長男だったのさ。ああ安心しな次男は助けてやったからちゃんと檻の中で生きてるよ。自分達がしでかした事をちゃんと審議官の前で告白してもらわなきゃならないからな」
顔を赤くさせながら拳を握りしめているホリビス伯爵に、さらに畳み掛けていく。
「あんただって疑っていたはずだろ?だからお姉ちゃんが雇ったフスカ男爵の監視役を拐うためにワイバーンライダーを雇って、これだけの数の傭兵に護衛させて、地下の麻薬の隠し倉庫の奥に逃走用の抜け道まで掘らせたんだ」
何故それを!とばかりに目を見開くホリビス伯爵。
「今晩は俺達はそこからお邪魔したからな。しかしあんたの体型じゃああの細い抜け道は通れないかもなぁ」
俺はケラケラ笑いながらナイフをあらためて首筋に押し付けた。
首にまでついた贅肉に刃が埋まりそうだ。
「さて今まで説明した内容に間違いがないか答えてくれないかなホリビス伯爵。俺は正直お前を殺さないように己を抑えるので精一杯なんだ、だから下らない言い訳をしたら即ナイフを突き立てるぞ。何、騎士団長が暗殺なんかしていいのかって顔だなぁ大丈夫、犯人はシャハルザハルの目で俺ではないから問題ないさ。さあ答えろよ」
ホリビス伯爵は信じられないものを見るような目つきで俺を見てから、小さな声で震えながら答えた。
「ひ、一つだけ、間違いが、ある」
「ほう、どこなんだ?」
「しゃ、シャハルザハルの目に、あなたの暗殺を依頼するために、金を集めたのは、確かに私だが、暗殺を主導したのは、姉だ」
「ほう、その理由は?」
「姉は、金も好きだが権力も好きだ、シャハルザハルの目に暗殺を依頼したのは、甥と息子から私達の情報が漏れないよう彼らを救出するために、現場を混乱させる目的もあったが、リグリエッタ姫を救出し、連れて帰れば、王家の覚えめでたく、リグリエッタ姫と甥の婚約が成されるに違いないと、画策していたからだ」
「なるほどねぇ」
フスカ男爵の自供に嘘はなかったらしい。
しかし第一夫人もあんな脳筋に息子をあてがうなんてマジ鬼ババアだな。まあ次男だから使い勝手のいい駒扱いなんのかもしれないが。
「私は、騙されたんだ。息子を、殺されそうに」
「お前らの身内の争いなんか知ったことか。一先ず寝てろ」
俺は強い口調でホリビス伯爵の言い訳を遮ると、ナイフの柄で頭を強く叩いて気絶させた。
「さて、まずはこいつを地下まで引っ張って行くか」
見つからないように動くには多少骨が折れるかもしれないが、最悪こいつを盾にしてやろう。
「重そうだなぁ」
「二人で肩をかかえていきましょう」
「引きずった方が早いだろう」
「なら団長は右腕、俺が左腕で」
二人のがかりでベッドから下ろして引きずるが、それでも重い。
「外に転がしてある傭兵を代わりにベッドに寝かせておきます」
シャロが傭兵に念のため猿轡と両手両足を縄で縛って動けなくしてからベッドに転がして布団を深く被せた。
「これで少しは時間が稼げるかな。しかしおっも!」
「こりゃ大人三人分はありそうですね」
引きずる手に力を込めて、シャロを先頭に部屋を出た俺達は意外にも地下の倉庫に移動するまで誰一人にも気づかれることなくたどり着いた。
「長男もついでに拐いたいとこだが、まずはこの熊豚野郎がこの道を通れるかだな」
「とりあえず横向きにして引きずって行きましょう」
シュライザーの言う通り、体を横向きにして引っ張って行ったら途中腹が引っ掛かったが無理矢理押し込んで、何とか下水道まで無事?運び出すことに成功した。
シャロが念のため睡眠薬を飲ませて起きないようにしてから俺達は再び館内に戻って、長男も同じように眠らせ引きずり下水道まで運び出した。
長男は親父を見た後だからあまり驚かなかったが、それでも大人二人以上の体つきだった。
二人はこのまま拘束して、騎士団の詰所にある牢屋で夜を明かしてもらおう。
俺とシュライザーは熱いじゃんけんでどちらを引っ張っていくのか決めるのだった。
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