基地へ
「ファデル君、ファデル君!」
「は!」
ファデルは気づくとホテルに戻っていた。
「どうかしたのかい?ずいぶんと顔色が悪い様に見えたけど」
「いえ、なんでもありません。ちょっと考え事してただけですから」
「そうかい?まああまり気を詰めすぎないでね」
「はい…」
ファデルは迷った、今起きたことを視目に話すかどうか、常識に考えれば話すのが正解なのだろうがしかし情報が少なすぎるのだ。
「明日はどうするんですか?」
結局ファデルは言わないことにした。
「明日は一通り例の機械がありそうな場所を潰していくよ」
暗闇に包まれているとはいえこの世界にも時間は生きている、今は深夜でしかもファデル達は疲労していたので次の行動は明日に決まっていた。
「とりあえず学校は前提として暗闇になってからしばらく仕事を止めた会社あたりか」
ファデル達は次の日から2日間視目が予想した場所を周っていった、視目の予想はかなり的確で大半の場所から初日に発見した機械が見つかった。
「ふむこれでここら一帯の地域は終わりか」
「結局初日以外特に襲撃は来なかったですね」
「そうだね、うーむ」
「どうかしたんですか?」
「襲撃がない、つまりこの件の首謀者はあの機械を重要視していないんじゃないかな」
「確かに、でもどうして初日は襲撃があったんですか?」
「牽制だろう、これは少し踏み込まないといけないかな」
「踏み込む?」
翌日ファデル達はラダクトにある国の政府の代表達が集まっている議事堂を訪ねた。
「これはこれはお二方、本日はどのようなご用件で?」
ラダクトに来た時に最初に出迎えた男が言う。
「少し調査が難航しそうなのでね、踏み込もうかと」
「踏み込む、どういうことですか?」
「ここに行きたいんですよ」
そう言って視目は机の上に地図を広げた、代表達が地図を見るために集まる。それを確認して視目は地図上のある島を指した。
「ここの軍事基地に行きたいんですけどね、さすがにこれは許可とった方が良いかと思いましてね、この基地を管理してる国の代表はいますか?」
「私です」
小太りの男が視目の前に出てきた。
「基地に何かあるんですか?」
「少なくとも何かあると僕は見積もってます」
「分かりました、いつ行きますか?」
「できれば今日中」
「今日中ですか、それならなんとかなるか…」
「何か問題でも?」
「いえいえ、ただヘリを出したいと思いまして」
「ヘリですか」
「ええ、申し訳程度ですが」
「なるほど、それならお言葉に甘えてもらいます」
こうしてファデル達はヘリに乗って基地に向かうことにした。