急襲
「それでどこに行くんですか?」
「学校さ」
「学校?どうして」
「現状この地域が安全なんて誰にもわからない、仮に表面上は安全だと判断してももしものことがあってからでは遅いんだよ、だから政府は全国的に子ども達の出校を禁止している」
「それはわかりますが何故学校に行くんです?」
「ファデル君はさ」
視目はファデルの質問を無視した。
「今回の件をどうみているんだい?」
「どう、とは?」
「今ラダクトに起きているこれについてだよ、自然に起きているのか、あるいは誰かの意思が起こしているものなのか」
「僕は…」
ファデルは一瞬考えて、
「僕は少なくとも人為的に起きたものだと思っていますよ。視目さんはどっちだと思ってるんですか?」
「僕も人為的に起きたものだと思っているよ、なにせ派遣された調査隊と連絡が取れないんだからね」
「でも事故にあったという可能性もありますよ」
「そうかもね、だけどどっちだっていいんだよ」
「え?」
ファデルは一瞬聞き間違ったのかと思った。
「今学校に向かっているのはそれを確認するためさ」
「どっちでもいいって…」
「言葉の通りさ、どっちにしろ調査隊は派遣されただろう。自然現象にしたってこれは少し異常過ぎるからね」
歩きながら視目は話す。
ふと、短めのトンネルの前で思わずファデルは立ち止まってしまった。
「どうしたんだいファデル君」
視目も止まりファデルの方をうかがう。
なんだ、なんだこれは?
「いえ、なんだかこのトンネルから不気味な感じがして」
「ふむ、…んー、特に僕は何も感じないね」
「そうですか」
『特能』が言うのだから間違いない。
「まあ僕はただよく見えるだけだからね、勘は意外に鈍いから少し気を引き閉めていた方がいいよ」
ファデルは視目の言葉に頷いた。
トンネルを抜け少し歩くとファデル達は学校に着いた。当然敷地内に入るための門は閉まっているがファデル達はなに食わぬ顔で乗り越えた。
敷地内を探索していると少し離れた建物の裏手でファデル達はそれを発見した。黒い直方体にいくつかの換気口のようなものがある。
「ビンゴだ、ファデル君これを壊してくれ」
「はい」
ファデルは一通りそれの写真を取ってからショットガンを取り出す。銃声が響いた後それは黒い煙を上げていた。
「さて、これはどうかんがえても人為的なものだね」
視目は煙の上がっているそれを見つめながら言う。
チリン
「ん?」
ファデルはゆっくりと上を見上げる。
「視目さん敵襲です」
「おや、随分と早いな」
視目も上を見上げた。そこには遠くから竜のような生き物がこちらに向かって飛んでくる様子が見える。
「シャドウワイバーンか、また面倒な」