呑み込みし傀儡人形
巨大な黒い物体、それは大きな口を開け雄叫びを上げた。
「な、こんなの…」
「ファデル君、落ちないようにね!」
シピネがファデルの肩を掴む、
「うわっ!!」
シピネの背中から赤い翼が生え、二人は空に飛び上がる。
「し、シピネさん、彼が、あの人は…」
「バーンは、あれはもうダメだ、あいつはもう人の形をした【黒服】の傀儡人形だったんだ」
シピネは振り返り、
「炎魔【ファイヤーボール】」
炎の球を放った、しかし黒き怪物には効かない。
「さすがにダメか、ん?あそこにいるのは」
「視目さんだ!!」
視目が空中を走っていた。
「シピネさん!この先に車がある!」
「分かった!」
黒い怪物は集落を飲み込むかのように暴れている。三人は集落の前に止まっていた車に乗る。
「ファデル君のほど優秀ほどではないが」
視目は車を発車させ、集落から離れる。
チリン
「え?視目さん!何か来ます!!」
「何か!?…確かに来てるな」
バックミラーにはシャドウパンサーの姿が映っている。
「少し賭けになるがやるか…」
視目は車のスピードを少し落とす、シャドウパンサーが車に追い付き車に飛びかかる。車は蛇行しながら崖の先に飛び出してしまった。車は崖下の森に落ち、爆破する。シャドウパンサーは車が飛び出したのと同時に車から離れ無傷だ。シャドウパンサーはそのまま崖道を戻り集落に走っていった。
雨が降っている、ファデル達がラダクトにやって来てから一週間がたとうとしていた。ファデル達は車が崖から飛び出した時に視目の能力で助かった。それからファデル達は次の目標を見いだせないでいた。
「ボトルは回収してるけど【黒服】が何もしていないとは思えない、どうすれば…」
ファデルは考え事をするため街の中を歩いていた。
「はあ、せめて【黒服】の居場所が分かれば…、この前の集落も無くなっているし」
ファデルは喫茶店の前で立ち止まった。
「待てよ、あいつ確か次はここに行くって言わなかったか?」
ファデルは通信機を取り出しある人物に発信する。
「まだ出てないとしたら、出られないとしたら」
通信は果たして繋がった。
『よお、どうかしたか?』
「なあ、お前今どこにいるんだ?」
『俺か?』
微かに笑ったように聞こえた。
『俺は今最高に愉快な場所にいるぜ』
声の主は後ろにいた。
ファデルは喫茶店にいた。中は閑散としていて営業しているのが不思議なくらいである。
「それにしても久しぶりだな、前に会ったのは確かお前が入会する前か」
「そうだな。それで頼みがあるんだが…」
「分かってるよ、【黒服】のことだろ?」
「まさか調べていたのか?」
「まあな、ちょうどビジネス中だったんだが閉じ込められちまってな、原因を調べていたんだ」
「それで?」
男は小型の端末を取り出す、そこには【黒服】の情報が詰まっていた。
「【黒服】、あいつは厄介な野郎だ。影使いにして補助眼を持っている」
「補助眼?まさかダークアイか?」
「そう、それ」
「なるほどね」
「お前達が回収してたあの黒い物質、光は通さず熱エネルギーは通す、上手いこと作られた物質だよ。この星がこんな状態になってかれこれ1ヶ月ほどたつが気温が下がっていないのがその証拠さ」
「ふむ、やつの居場所はわかるか?」
「それがどうにも掴みにくくてな」
「探すしかないか…風切り、お前にも少し協力してもらうぞ」
「構わないがちゃんと払うもんは払えよ?」
ラダクト裏世界にて
巨大な黒い怪物は闇を呑んでいた。
「まだだ、もっと、もっと溜めるんだ」
【黒服】は笑いながら怪物を見ていた。




