影を倒すのに
「全く、君は意外に無謀なんだね」
【黒服】と賭けの約束をしてホテルに戻ってきた視目は開口一番呆れたように言った。
「すみません、僕の勝手な判断で」
「いや、調査団の1人を持ち出してくれたのは大きい、全員生きているようだしね」
視目はグラスのコップに水を入れる、左手には何故かビー玉が握られていた。
「問題は、」
視目はビー玉をファデルに投げた、ビー玉はファデルの額に当たる。
「いっ!!何をするんですか!?」
ファデルは額をさすりながらビー玉を拾う。
「ちょっとね、ビー玉なんともないの?そうか…」
視目は自身の額にビー玉を当てると、ビー玉がひび割れた。
「あー、僕だったのか」
視目は割れたビー玉を水の入ったコップに入れる、すると水はあの液体のように黒く染まった。
「どういう事ですか?」
その様子を見ていたファデルは首をかしげる。
「ほら、やけに【黒服】がこちらの動きを把握していたじゃないか」
「しかし盗聴器はなかったはずです」
「そうなるとあいつが僕達の動きを把握できたのはあいつの能力だ、だからそれを調べたんだよ」
「調べたって、どうやって?」
「まあ占いに似たようなもんだよ」
視目はしばらくコップを見つめていた。
コップの水を処分して視目が戻ってきた所でファデルはあることを尋ねる事にした。
「視目さんの目は補助眼なんですか?」
「まさか、言ったろ?僕は他人よりちょっとよく見えるだけさ、ファデル君こそかなり強いようだけど」
「僕がですか?そんなことないですよ」
「だけど君はクリエイティブシステムをよく使いこなしている、そういえば君は前は剣を使っていたはずだよね?」
「ええ、シャドウワイバーンと戦ってる時に折っちゃいましたけどね」
「それで君は今猿の死体から棍を作った、君はウェポンバトラーなのかい」
「いや、まだファイター止まりですよ」
「なるほどね、さて作戦会議を始めるか」
視目は地図を広げて、ある地域を円で囲んだ。
「調べたところこの地域は繁華街のようです、まだ人もいるから避難させた方が良いんですがどう思います?」
ファデルは避難させることを聞いているのではない、
「やつがなにもしていないとは思えない、まあ避難の件は一応政府の方に言ってあるし今は考えない事にしよう」
「それでこの地域のボトル10本となるとさすがに徒歩じゃあきついと思うんです」
「そうだね、車を借りるか」
「いえ車ならありますよ」
「え?あるってどこに?」
「宇宙船の中に」