基地の秘密
「まいったな、全然減らない」
視目は苦戦していた、彼が相手にしているブラックスライムは増殖し続けていた、増殖している主な原因は暗闇でこの世界はブラックスライムにとっては最高の場所である。
「いまのところ核が形成される前に潰してるけどきりがない」
増殖したばかりのスライムには核がなく核の無いスライムは少し衝撃を受けただけで死ぬ、しかし核が作られるとスライムは多少自身の体が欠けても再生することができる。
「爆破にも結構耐性あるから本当にやだな」
ブラックスライムを視目の得物で倒すのは困難である、しかし拳銃2丁だけではきりがないのだ。
「今度はこっちか」
増殖しかけていたスライムを撃つが核まで届かなかったようだ。
「とりあえずある程度やっとかないと追ってこられた時に困るからな」
視目はひたすらスライムを撃つ他なかった。
ファデルが階段を下りきると、明かりがついた。
「研究ゾーンという感じだな」
持っていたライトをしまう。通路は一直線に伸び壁は透明だ。
「さすがに強化ガラスだな」
ガラス壁の向こうは資料が詰め込まれた棚があり机にはいくつものコンピューターが並んでいる。
「扉は指紋認証式か」
枠がなければ壁に同化して見えないパネルを見ながら吐く、通路を進んでいくと分かれ道に着いた。
「右が飼育ゾーン、左がエレベーター」
壁に書かれた案内を見てファデルは右に行くことにした。
「ここも指紋認証あるか」
右の通路の先にあった鉄製の扉を眺める。
「んー、システムいじくっても大丈夫かな?」
ファデルは小型のメモリを取り出しパネルにかざす、そしてパネルをタッチすると機会音とともに扉が開いた。
飼育ゾーンもガラスばりで中はこの島にあった林を再現した感じである。
「中に何もいないとなるとあの猿どもはここで飼われてたのか」
もう1枚の扉を開ける、すると先ほどと同じような研究室が続いていた。
「次はエレベーター」
ファデルは戻ってエレベーターに乗った、何故か階数が書かれたボタンはなく作動と書かれたボタンがあるだけだ。
エレベーターは下に降りた。扉があくとまたガラスばりの研究室の光景が続く、ファデルは1つの部屋に入り、棚にあった資料を読んでみた。
「最新兵器の開発、運搬方法…ふむ、なかなか進んでるな」
ふと、ファデルはあるページで少し固まった。
「生体兵器の開発…」
なるほどとファデルは納得した、それなら猿を飼育しているのにも説明がつく。
「この先は格納庫か」
恐らく大量の兵器が隠されているのだろう。
格納庫の中には確かに兵器が大量にあった、しかしファデルは少し予想外の光景を見た。
「どうみてもこれロボットだよな…」
格納庫はさすがにガラスばりではなく、シャッターでありこれを開けると横3列にロボットが並んでいたのだ、もちろん奥にもロボットが並んでいる。
「さすがに報告レベルかな、これは」
シャッター内の壁にマシンガンらしきものが見える、恐らくあれを持たせるのだろう。
「まだ奥があるな」
奥にあった扉はとりわけ厳重そうだったがファデルは難なく扉を開けて中に入った。
「うへえ」
中にはロボットが一体いた、しかしそのロボットは明らかに他のロボットとは違う姿をしていた。
「これがいわゆる最終兵器ってやつか、ん?」
ロボットの後ろに何かあることに気付き近づく、ロボットの後ろ足元に両手で抱き抱えられる程の大きさのボトルがあった。
「燃料じゃなさそうだし」
燃料をこんな床に置く人間はいないだろう、ファデルはとりあえずボトルの写真を撮ってそれを回収した。
「後で調べるか」
そうしてファデルは特に何かに邪魔されることなく戻って行った。