夏海の恋
白衣を着た亀岡万里子医師は夏海の病室にやって来た
開口一番、死ななくて良かった。と言い、夏海を抱きしめた
万里子は夏海の気持ちも家庭環境もすべて知っている
お母さんから逃げたかったか。
先生に怒られると思いました
夏海さんの人生は夏海さんのもの。そりゃそうよね
支配するお母さんから逃げたいわよね
先生、私、好きな人がいるんです
青春してるのね。で、相手は?
同級生なんですけど
高校生らしいなと思った
夏海の恋人は手足が長く、後々、夏海の同期の精神科医で弁護士資格も持つエリートとなる
高校卒業後、夏海は入院した帝都医科大を受験し、合格した
受験前に鹿野医師の診察も受けた
鹿野先生、私、帝都医科大を受験しようかと
頑張るね。夏海さん
白衣に髭を生やした鹿野医師は目を丸くする
私は昔から精神科医に憧れていて。
担当医の亀岡先生への恩返しか。
頷く夏海
心臓外科の定期的な受診は約束して下さい。
分かりました
病院前にメガネの男性が夏海を迎えに来た
片平典紀、夏海の理解者で弁護士と精神科医を志望している
上下黒のカジュアルな服装の典紀は夏海を愛している
夏海、退院おめでとう。
二人きりになり、典紀は夏海に抱きついた
心臓の持病があるのに。と思う夏海
夏海は渡したくない。
典紀のこの一言に夏海は弱い
夏海はたぶん彼から離れられないと思う