1-3-2 ビブリオバトルのルール
「さて、今日は初めてのお友達もいるみたいだし、まずはビブリオバトルについてのおさらいから! 知ってる人も、忘れてる部分がないか一緒に確認していこうね」
観上が『本のおすすめバトル』……とか言ってたけど、そういえば詳しい説明はあんまりされてなかったかも。よし、しっかりちゃんと聞いとこう!
「ビブリオバトルは、ひとことでいうと――『本の紹介コミュニケーションゲーム』! みんなで本を紹介しあって、『面白そうな本を見つけること』を目的としたゲームです。元は大学の研究室で始まったものなんだけど、今では学校の授業で行われたり、こうして地域で開かれることもあるくらい広まってるゲームなんだよ」
ゲームって言ってるけど……授業でやるってくらいだし、やっぱり少し真面目なやつなのかな?
……いや、これだけ人が集まってるんだし、……だいたい、まだちゃんとしたルールも聞いてないし! うん、ヘンケン、良くない良くない!
「……ホントはもう一つ目的があるんだけど――」「まあ――これは、おしまいの挨拶のときに、お話しようかな」
なんだかいたずらっ子みたいな笑い方をするお兄さん。
……意味深な言い方するところ、司瑞とちょっと似てるかも。あとメガネなとこ。
「それじゃあ、次はルールについて確認していこうか。よっと!」
ホワイトボード、ぐるりーん!
イベント名と日付の裏には――。
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【ビブリオバトルのルール】
1.まずは準備!
発表者(バトラー)が、読んで「面白い!」と思った本を
1冊だけ持って集まる
2.発表タイム!
発表者(バトラー)は、順番に本を紹介する
※時間は一人5分間!
3.質問タイム!
一回発表を聞くごとに、参加者全員が
分からなかった部分や詳しく聞きたい部分を
バトラーに質問する
※2分~3分くらい
4.投票タイム!
全部の発表が終わったら、参加者全員で
『一番読みたくなった本』に投票をする
5.結果発表!
一番多く投票された本が、その日のチャンプ本になるよ!
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すごい! 模造紙に、ルールが全部まとめてある!
「ルールは簡単。一人5分で本を紹介して、みんなに一番『読みたいな』って思われた本がその日の『チャンプ本』になれます! 『チャンプ本』――つまり、『本の優勝者』だね」
……分かってるけど、『チャンプ』って聞くとどうしてもキュウレン……じゃ、なくて!!
……えっと、ヒトじゃなくて、本が優勝するの?
「それじゃあ、次は細かいルールのおさらいを。……まず1つめ、準備から!」「発表者――ビブリオバトルでは『バトラー』っていうんだけど……」
『バトラー』……うわ、なんかカッコいいなあ! すっごく主人公が目指してそうな感じ!
「その『バトラー』たちが、今まで読んで『面白い!』と思った本を選んで持ってきます。あんまり多いと紹介できないから、持ってこれるのは一人1冊!」
たしかに、たくさんあったら持ってくるのが大変だし、聞くのも話すのも大変だよね。
「その次、2つめ。発表タイム! バトラーたちが順番に、持ってきた本の紹介を行います。制限時間はきっちり5分! 早く終わっても交代はできないし……逆に話しきれなくても、時間が来たらそこでおしまい。時間を有効に使って、持ってきた本の面白さをアピールしよう!」
結構シビアだ!?
『余っちゃうのがダメ』っていうのはまだ分かるけど、足りないときに伸ばしてくれないのは、ちょっと厳しい気がするなあ……。
「続いて3つめ、質問タイム! 発表が終わるごとに、2~3分間、質問タイムを行います。聞く側の参加者が『発表の中で分からなかった』って部分とか、『もっと詳しく聞きたいな』って部分を、バトラーに質問できる時間だね。例えば、『この本は図書館で借りられますか?』とか『私はおばけが怖いんだけど、この本におばけは出てきますか?』みたいな質問でも大丈夫だよ。最後の投票のとき、一番読みたいなってものを選びやすくなる質問をしようね」
あ、そっか。投票って、普通ひとつしかできないもんね。
「ここで注意。……間違っても、『バトラーを困らせるための質問』はしないように!」
わ、びっくりした!
「聞きたいことを質問して相手が困っちゃうのは仕方ないけど、相手を困らせるために質問することはマナー違反です。バトラーにとってはもちろん、聞いてる他の人の迷惑にもなっちゃうからね」
ちょっとだけ、お兄さんの言い方が厳しくなったように感じる。ふざけた質問、男子は特にしそうだしなあ。
……いや、オレはしないけど!
「そして4つめ、投票タイム! バトラー全員の発表タイムと質問タイムが終わったら、参加者全員で『読みたい』と思った本に投票をします。バトラーにも、自分以外の本をひとつ選んでもらうよ」
バトラーも投票するんだ!
ってことは……自分以外の発表もちゃんと聞いておかなきゃいけないのか。バトラーやる人、ちょっと大変そうだなあ……。
「重要なのは『人』じゃなくて、『本』を選んで投票すること。『一番発表が上手かった人』とか『自分が勝たせたい人』じゃなく、その日発表された中で『一番読みたくなった本』に投票してね。ビブリオバトルは、『チャンピオン』じゃなくて『チャンプ本』を決めるゲームだからね」
そっか、だから『本の優勝者』って言ってたんだ。
……ん? それって……上手な発表じゃなくても、『読みたい』って思われることがある――ってこと……?
「ラスト! 5つめ、結果発表! いよいよ投票の結果が発表されます。果たして、一番多くの人に『読みたい!』と思われた本はどれになるのか! 一番に選ばれた本、紹介された本……そして頑張ってくれたバトラーたちに、たくさん拍手を送ろうね」
あ、最後の説明に入っちゃった。後で聞けるかな? 覚えてたら聞いてみようっと。
「……と、おさらいはこんなところかな。さーて、ちゃんと覚えてた人ー?」
「「「「「「はーい!」」」」」」
なんか、中学生――より上の人も混じってない!? みんなノリ良いね!?
オレも、次は――もし来る時があれば、みんなと手を挙げられるようにしておきたいな。
「初めての子や忘れちゃってた子も、だいたい分かったかな? もし分からないことがあったら、周りのお友達――もしくは、お兄さんと同じエプロンを付けたスタッフに聞いてみてね。それじゃあちょっと休憩に――じゃあ、7分後くらいで! トイレに行きたい子は、今のうちに済ませておこうね。じゃあ、一度かいさーん!」
プレビュー確認してないんで模造紙のところレイアウト崩れてたらゴメン。あと眠気とかで誤字あったりしてもゴメン(下書きをリアルタイムに改稿して投稿しているなう)。教えてくれたらあとで直します!
……ていうかこの説明でちゃんとみんな分かる? 大丈夫?
★ビブリオバトルについて、ルールとか成り立ちに興味持った人がいたらこの本を読むと良いぞ
文春新書『ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム』谷口忠大
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166609017
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2018/06/24:
・模造紙部分のフリガナ位置を修正(フリガナ用括弧と対象文字の間に謎の全角スペースが存在していたのを修正)
・小ネタを追加(一応あとで伏線的な作用もする……はず)
・一部微妙に表現を変更(句読点とかそういうレベルの微妙さ)
他にもなんかあったらゴメン
2019/10/02:
タイトル改題
旧→1-3-2 「『バトラー』……うわ、なんかカッコいいなあ!」