1-3-1 「それじゃあビブリオバトル、始めていきましょうか!」
「はーい、14時になるよー、そろそろ始めるよー」
やってきたのは、エプロンを付けたメガネのお兄さん。
……一番前の席だから、ばっちり目と目が合っちゃった。
「お! 初めてのお友達かな? はじめまして、司会をしているシミズです! 今日は来てくれてありがとうね」
お兄さんが、ニコッと優しい顔で挨拶してくれた。
「あっ、えっと、はじめまして! 本庄カイです! よろしくお願――」
……ん、シミズ?
「司瑞――」
「ん?」
「……シミズさん」
「ん?」
「……兄弟?」
「あったりー!」
うわ、息ぴったり!
「兄ちゃん! ほら、話したでしょ! 転校生っ」
「――ああ、きみが本庄くんか! そっか。よく来てくれたね。ありがとう!」
お兄さん、すっごく嬉しそうな顔してる。オレもつられてニコニコしちゃう!
「えへへ……」
「……うわ。本庄、だらしない顔」
左隣の観上がシンラツ。
「ええと――本庄、カイ君か。名前はどんな字を書くのかな?」
「あ、えっと、『海』って書いて『カイ』なんですけど……」
なんですけど、ですけど……。
「……よく『ウミ』って間違えられて」
だから担任じゃない先生の授業だと、出席の時ちょっとつらい。
「そっか……お兄さんはもう聞いたから、大丈夫。間違えないよ!」
読み方が先で間違えるのは、さすがにわざとしかないんじゃないかなあ……?
……ん? 司瑞、今つっついた?
「……兄ちゃんもさ、読み方、よく間違えられるらしいぜ」
そうなんだ……。
なんだっけ、こういうの。『親近感』とか……『シンパシー』? お兄さん、なんだか仲良くなれそうな気がする。
「メイ、時間時間」
後ろの方から誰かの声。
ええと、あの人かな? 同じエプロンしてるし。……『メイ』って、もしかしてお兄さんの名前かな。
「おっと、つい話し込んじゃった。ごめんごめん」
『有名』の『名』、『照明』の『明』……。あ、『生命』の『命』もあるか。どの字だろう? もしかしたら、まだ習ってないやつかな。あとで聞いてみよう。
「本庄、始まるよ!」
「あっ、ありがとう!」
よし、ちゃんと前向いてよう!
お兄さん、背筋を伸ばして――前を向いて、「ゴホン」と一回、咳払い。
それから――明るい、はきはきした声で。
「……えー、お待たせしました。それじゃあビブリオバトル、始めていきましょうか!」
やっと本題だーーーーーーーー!!!!!!!
ここまで付き合ってくれた人たちありがとう!!!!
でもあとちょっとだけチュートリアルに付き合ってほしい! ごめん!!!!!
2018/06/28 タイトルちょっと縮めました
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