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小4男子、ビブリオバトる  作者: らと
【第一章】小4男子とビブリオバトル
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幕間・メイの親友、潜木瞳也

潜木(くぐるぎ)瞳也(とうや)

別名「くぐる」「くぐるん」とも。

メイの中学時代からの親友で、今は市内の同じ大学に通っている。

アルバイト先は親戚の経営している園芸店、ビブリオバトルの手伝いはボランティア。

外観的特徴は目元を鉄壁ガードする目隠れ前髪と太ブチ眼鏡。実はアルビノ体質で、茶色い髪は染めた色。

「たーだいま゛ー……」

「た……お邪魔しまーす」

 メイの代わりに鍵を開けて、来慣れた司瑞家の敷居をまたぐ。……大学生になってから一年、週末に限らずたいていの時間は司瑞家で過ごす習慣ができてしまったのもあって、つい自分も「ただいま」と言ってしまいそうになるけれど……そこは一応、ひとの家だからね。

「兄ちゃん、くぐるん、おかえりー」

 キョウくんが出迎えてくれた瞬間、気が抜けきってしまったのだろう――ぱたりと玄関先に倒れたメイの姿は小さな子供の電池切れ状態そのもので、思わず苦笑してしまう。

「つーかーれーたー」

「メイ、もう少しだから頑張って。ほら、起きて靴脱ごう?」

「くぐる、おんぶ……もしくは抱っこ……」

 ダメだ、完全に赤ちゃん退行しちゃってる。

「もー、干物兄ちゃん……うまるちゃん! くぐるんに甘えないっ、ヘイ! スタンダッ! なーう!」

「わかった、わかったからべしべししないで……っと」

 ――キョウくんに促されて、メイがようやく起き上がったのもつかの間。

「あ゛ー、靴脱ぐのめんどくさ……」

 再びごろんと仰向けになろうとするメイ、その背をキョウくんがしっかりとキャッチして――。

「ぐああああ!!?」

 のしかかるようにして体重をかけ、強制前屈攻撃。……身体の固いメイにはこうかばつぐんだね。

「ふふ……」

 メイとキョウくんのじゃれ合い、本当に見ていて飽きないなあ。僕も同性の兄弟がいたらこんなふうに遊ぶこともあったのかな?

「く、くぐる……助けて……」

「だーめ、ムリ、不可能ー! キョウは強力で最強なので兄ちゃんはここから逃げれませーんっ、ないてゆるしをこうがいー!」



 落ち着いたところでほうじ茶を淹れて、お互いほっと息をつく。

「メイ、改めてお疲れ様。今日は特に大変だったね」

「いやー、まさかあそこから大学向かうハメになるとは……。疲労だけじゃなくこう、しまらない姿をちびっこたちに披露(・・)してしまったのもこう……」

 メイが机に突っ伏して言う。でも、ダジャレを言えるくらいには余裕が出てきた……のかな?

「あはは……本当に災難だったねえ」

「……でも、オレみたいになりたいって言ってくれたのは本当に嬉しかったなー。キョウ曰くカイくん、あんまり本読まないからって参加断ろうとしたらしいじゃん? そんな子が観戦どころか発表(バトラー)側になりたいって意思表明してくれたの、なんていうか『ビブリオバトルのお兄さん』しててよかったなって」

 照れくさそうに笑うメイ。

「……メイは本当にすごいなあ」

「?」

 あれ、口に出てた? なら、そのついでに――。

「だってアルバイト先の図書館で自らビブリオバトルの開催を提案して、企画と準備に司会までやってのけて――」

「いやいや、図書館職員(丹石さん)とくぐるが手伝ってくれてなんとか、って感じだし」

「その上、バトラーに回ればのびのび生き生きした発表でみんなの心を掴むんだから。……司会役の立場で、心から楽しんでデモンストレーションできる人ってなかなかいないと思うな。だからこそカイくんも、メイに惹かれたんじゃないかなあ」

 率直な感想を述べただけ――でもメイを本格的に照れさせるには十分だったらしい。伊達眼鏡(・・・・)をさわさわしながら、視線を宙に彷徨わせている。

「こっ、ここから本も読んでくれるようになったらいいな! それが本題というか本懐というか……いやそれだけじゃないんだけど」

「ふふ……うん、分かってるよ。読書推進活動だけじゃない、もうひとつのテーマは……」


「「本を通じたコミュニケーション!」」


「見てた様子、今日だけでもだいぶしっかりできてたんじゃないかな?」

「だな。ここからもっと人とも本とも関わって、カイくんの世界が広がるといいなあ」

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