新居到着
新居に到着したのは、昼頃だった。Nが来るのは2時頃だという。殆どの家具類はNが使っていた物をそのまま使う予定だ。
親父と荷物を降ろし整理を始めたが、所詮はセダンタイプの車に乗る程度の量なので、さほど時間はかからずに終了し、親父もスグに引き返した。
ライフラインに関する手続きも済ませてしまい、Nが来る予定の時間迄にはまだ時間がある。とりあえず、実家から持って来た昼食のパンを食べて待つことにした。
少量の荷物とはいえ、やはりバタバタと忙しかったせいで、その間は不安は忘れていたが、やはり落ち着くと不安が募り始める。
するとNから、買物や手続きをするから、先に引っ越し業者が着くと連絡があった。
電話だと正直様子がよくわからない。
とりあえず待つしかない。
しばらく待っていると、引っ越し業者が着いた。とりあえず作業を進める。
1時間程たった頃だろうか、Nが到着した。
「ゴメンー!すぐ手伝うからね!」
Nの様子は全く変わり無い様に見えた。声も特に落ち込んだ様子も無い。
「うん…。取り敢えずおおまかな作業は完了してるから、細かい指示お願い。」
「分かった!」
その後の作業でも、特に変わった様子は無かった。正直、拍子抜けした程だ。
…なんだ。何でも無いんじゃないか?
やはり、昨日はNが思い詰めただけで、一晩経って落ち着いたら、そこまで深刻に考える必要が無い事だったんじゃないか?
直接Nから話を聞いて無いので、完全に不安が払拭されたわけでは無いが、それでも大分気持ちは楽になった。
大丈夫、問題無い。これから幸せな時間が当たり前に来る。そう思った。
でも、現実はそうじゃ無かったんだ…。