同居前日の夜
泣くほどの事態とはなんだろうか?
Nは以前から膀胱炎の様な症状が続いていると言っていた。疲れも酷くなって、身体のコリも酷い。近くの病院に行って治療を始めたのが2カ月程前だったと思う。
通院し、薬も貰っていたが中々良くならない。
1カ月程すると同居する部屋も決まり、引っ越し先に近い大学病院を紹介して貰った。
もしかしたら、子宮筋腫かもしれない。と、いうことで、レントゲンを含めた検査もする事になった。
その検査は予約が一杯でスグには出来ないと言うことで、引っ越し前日、同居を始める前の日になってしまった。
頭の中で、最悪の事態を考える。
もしかしたら、手術?でも、それはある程度覚悟してたし泣かないだろう…
もしかしたら、卵巣の病気?卵巣を切らないといけないのか?…もしそうなら…。でも片方だけでも残ったら子供は出来る可能性がある…
いや、もしかしたら子宮を取るような病気?
考え過ぎだ!
Nは俺より年上で、子供が出来るかの年齢的な不安もあったから、実際には大したこと無くても、子宮や卵巣の病気になってただ不安になっただけだろう!そうだ、きっと治療を始めたらスグ治る!しっかりと検査した上での治療だし、大学病院だ。地方の町医者と違うんだからあっという間だよ!
そう思うことにした。
でもその時、実はうっすらと本当に最悪の事態が頭によぎっていた。
癌では無いのか…?
違う。それだけは断じて違う。こんな時に、そんな病気になるわけ無い!
否定し、癌の考えを忘れようとした。
でも、どうしても不安はこびりついたままで、完全に落ちることは無かった。