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慟哭
ファミレスでは、入院準備についての話しがほとんどで、癌の話しはほぼ無かった。
全員、無意識に避けたのだと思う。
癌の話しをしたら、それこそ全員で泣きくずれただろう。
皆、ショックを受けた様子を見せずに淡々としていた。
やがて義両親と分かれ、家路に着いた。
高さがあべこべな椅子に2人で腰掛ける。
「N、大丈夫だから。」
「…」
「大丈夫…だ…よ!」
「うぁぁぁん!」
「N!N!Nぅぅぅ!」
2人で泣いた。ひたすら泣いた。
ガマンせずに思いのまま泣いた。
助からないかもしれない、助かっても人口肛門になるかもしれない。助かっても再発するかもしれない。
子供はもう完全にダメ。
いつまで一緒にいられるのだろう。
何故こんな理不尽な目にあうのだろう。
泣き叫ばなければ、グルグルと頭の中で渦を巻く怒り、悲しみ、不安、恐怖が頭を内側から破裂させそうだった。
その日は2人で泣き続けて、その内に泣き疲れて眠った。




