待合室
とうとう検査結果が出る当日。
その日は、全く仕事が手につかなかった。
どうか癌ではありません様に。神様でも仏様でもいい、助けて下さいとずっと頭の中で願っていた。
Nは今回の検査に加えて、更に血液検査等を受ける必要があるらしく、休みを取って早くから病院へ行っていた。
少しでも早く側へ行ってあげたくて仕事が終わると、駆け足で病院へ向かった。
待合室ではNが検査を終わらせて座っていた。
「待たせてゴメンよ。」
「大丈夫。検査も時間かかったし。」
「お義父さんとお義母さんは?」
「居るよ。トイレ行ってる。」
すぐにNの両親は戻って来た。
簡単に雑談をして時間を過ごす。
ふと周りを見渡すと、一人で待合室にいる女性がいた。
無表情でピクリとも動かない。どうしようも無い悲愴感が漂っている。
この人も癌なのだろうか。だとしたら、一人でいる事はどんなに心細く辛いだろう。
側に自分を思ってくれる人がいるというのは、何と贅沢な事だろうと思う。
Nさん。
診察室から呼ばれる。
「御家族ですか?」
「はい。」
「ではどうぞ。」
どうか、癌ではありませんように。帰り道に皆んなで良かったねと言えますように。




