第7話
高等部校舎前に掲示板が設置されておりそこにクラス表が表示されていた。
そこには僕と同じ新入生が自分の名前を探しているようだ。
成績特待生の僕はSクラスに決まっているので見に行く必要がないのでそのまま校舎に行こうとすると掲示板の前に2人の女の子が目に入った。
1人は髪型はポニーテールをしており可愛いく元気な子と言った感じの女の子だ。
そしてもう1人の女の子に僕は見覚えがあった。
あの漫画やアニメでしかお目にかかれない縦髪ロールの髪型の女の子はもしかして中学時代の友達だった九条さんじゃないかな?
僕の父がまだ生きていた頃資産家の子達が通うミッション系の私立中学に通っていた時の友達だ。
父の会社が倒産し父が亡くなったことで中学2年の2学期がの途中で僕は公立の中学校に転校したのでそれ以来彼女には会っていなかったけど。
九条麗羅さん。
世界でも有名な九条財閥のお嬢様で眉目秀麗、頭脳明晰で男女問わず人気があった。
そんな彼女と友達になったのは僕が中学2年の時だ。
クラス委員長を決めるときに誰も立候補する者がいなかったので1年の時にクラス委員長をしていた僕に白羽の矢が放たれた。
頼まれると断れない僕はクラス委員長になった。
そして副委員長を誰にするかで立候補者がいなかったため委員長である僕の推薦で決めろと言われクラス全体を見回した時にふと目が合った九条さんを推薦した。
推薦された九条さんは断るかなと思ったのですが
「私でよければ」
と了承してくれた。
九条さんは僕以上にクラス委員の仕事をしてくれた。
2週間ほど僕と九条さんは挨拶程度の会話しかしていなかったのですがある事件で僕が九条さんに助けてもらいそれに対してお礼を言うと
「あ、えーと、その……と、とも……副委員長として当たり前のことをしただけですから」
そう言って彼女は自分の仕事に戻りました
僕はその時彼女は口下手だから僕から積極的に喋れば仲良くなれるかなと考え翌日から積極的に話しかけることにしました。
最初は九条さんも戸惑っていたみたいでしたが歴史の授業の話をしたとき彼女は目を輝かせて
「私は幕末が大好きですわ。 特に新選組の土方歳三様が大好きで……」
彼女の土方歳三話で軽く1時間は過ぎました。
ああ、九条さんは歴女なんですね。
僕も歴史は好きですが九条さんほどではないです。
まあ、それがきっかけで彼女とはよく話すようになりました。
しかし父がなくなり会社が倒産したことで今の中学に通えなくなった僕は夜逃げするように転校したため九条さんとはそれ以来会っていませんでした。
別れの挨拶もしないで転校した僕を恨んでいないかな?
今は友達と一緒みたいだから後日挨拶に行こうかと考えながら校舎に入ると1人の女の子が僕に近寄ってきた。
身長は僕と同じぐらいで170Cmぐらいで女子にしては背が高い方だと思う。
分厚メガネをかけて髪型は三つ編みで地味な女の子だ。
その子は僕の前で立ち止まり
「ようやく来たわね! 待ちくたびれたわよ」
僕は周りを見ると誰もいない……どうやら彼女は僕に言ったようだ。
しかし僕はこの学院に知り合いはいないんだけどこの子誰だ?
うーん、うーん誰かわからないので直接聞くことにした。
「ごめん、君は誰なの?」
僕の言葉に呆れる女の子。
「ちょっと、私がわからないの?」
「うん」
彼女は分厚いメガネを外し
「これでもわからない?」
僕はその顔を見て驚き持っていたカバンを落としてしまった。
メガネを外した女の子はつい最近僕の義妹になった宇都宮梓だった。
やっとメインヒロインが登場しました。
ちなみに九条さんはヒロインではありません。
読んでいただきありがとうございます。