第2話
「徹君、君のお母さんを愛してしまった。だから結婚をしたいのだが君の許可が欲しい」
「はい、いいですよ」
「「え……」」
僕の返答に新庄さんも母も困惑しているみたいだ。
新庄さんから母との再婚をしたいと言われ少しは抵抗はあるがこれは本人同士なので僕は了承した。
母も新庄さんも僕があっさり認めてくれるとを思っていなかったみたいだ。
「新庄さん……お父さんと言うことはまだ出来ませんが、でも母をよろしくお願いします」
「ありがとう、徹」
そう言って母は笑い泣きながら僕を優しく抱きしめる。
僕も15歳なんだからやめてほしいのだが……今はいいか。
僕と母のやりとりを見ていた新庄さんも少し瞳をうるうるしながら
「ありがとう徹君……でも僕は咲さんだけでなく君も一緒に幸せにするつもりだよ」
そう言った新庄さんは僕に笑顔で答えてくれた。
「1つだけお願いがあるんですがいいですか?」
「うん、なんだい?」
「できれば大宮の姓でいたいのですが……いいですか?」
「……理由を聞いてもいいかな?」
「えーとですね、僕が大宮の姓を変えたくないから……ただそれだけです」
理由はいろいろあるけど、僕自身が名前を変えたくない。
ただそれだけなんだ。
新庄さんがダメだと言ったらそれに従うつもりではいるが……
「うん、わかった。徹君は大宮の姓のままでいこう」
「貴教さん……」
母は新庄さんを不安そうに見る。
「咲さん……徹君もイロイロあると思うんだよ。だからここは徹君の言うようにしよう」
「徹……」
「母さん、おめでとう。幸せになってくださいね」
「ありがとう……」
母は泣きながら僕を強く抱きしめた。
新庄さんと母から再婚報告から2日後僕たち親子と新庄さんと娘さんとの食事会をすることになった。
僕は新庄さんの娘さんと会うのは初めてだ。
名前を梓ちゃんと言い年は僕と同じ15歳と聞いている。
母からどんな子か聞いてみるとかなりの美少女で性格もやさしく成績優秀、スポーツ万能でかなりモテるらしい。
1ヶ月だけ僕の方が早く生まれたから梓ちゃんは義妹になる。
大丈夫かな。
母は娘さんとは何度か会ったことがあるらしいがとても可愛く優しい子で僕は気にいると言っている。
気に入るどころか会ったとき驚くわよと言う。
「美少女だから驚くの?」 と聞くと
「美少女だから驚くのも確かだけどね……ふふふっ、まあ会ってからのお楽しみね」
そんな話をしながら僕と母は新庄さんが予約しているレストランに着いた。
僕は今から食事をするレストランを見てビックリした。
なぜならこのレストランは全国でも有名で予約をしても3ヶ月は待たないといけない人気のレストランだ。
お店に入ると受付の人が母を見て
「これは、大宮様、お待ちしておりました。新庄様は既に来られていますのでご案内します」
「ありがとう」
どうやら個室での食事のようだ。
受付の方を先頭に部屋に案内される。
部屋の前に到着しノックをする受付の人。
「新庄様。大宮さまをお連れしました」
そう言って扉を開けると新庄さんと女の子が席に座っていた。
あれ? うん確かに美少女だ。
腰まである綺麗な黒い髪に整った顔でいかにも大和撫子といった感じだ。
だけど……なんだろう、初めて会った気がしない。
そして僕は思い出す。
目の前にいる美少女は2年前高視聴率で僕も見ていた歴史ドラマ「織田信長の野望」で若干13歳でヒロイン濃姫役をした宇都宮梓だった。
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