バイクの国
注意!
自転車が喋るけど気にしないで!
バイクも喋るけど気にしないで!
門番が言った。
「あのーシドさん。」
シドと呼ばれた自転車が返す。
「え?何?」
「この国は機械の国と呼ばれていることはご存知ですよね。」
シドの代わりにメルという運転手が返す。
「はい。技術が進んでいて豊かな国と聞いています。」
「そうなんです、そしてその中でもバイク技術が高いので国内では自転車は走っておらず…」
「おらず?」
「代わりにバイクがやたらと走っていて…気分を壊さないでくださいね…」
「なんだそんなことか。自転車にはバイクにない良さがあるから!」
「それにシドはどう言われてもシドだからね。」
国に入るとまず思ったことは…
「ゲホッゴホッ。」
「ゲホッゲホッ。」
「…自転車に喉ないんじゃない?」
「そうだった。というか空気汚れ過ぎじゃない?」
「まあ、何事にも代償は必要だって言うしね。」
「代償多くない?」
見えているものだけでも何十個もある工場の煙突からはもくもくと黒い煙が出ていた。
工場はすべてすすで汚れた鉄をちぐはぐにつなげた壁でできている。
「うわ!あいつ自転車なんかに乗ってるぜ」
「はは!俺達バイクに乗ったほうが断然早いのにおっくれってるぅー!」
道を走っていたバイク乗りとバイクが言った。
「…」
「…まあ、気にしないでシド。」
「わかってるよ。それより食料でしょ。食料。」
「おーけー。」
道を進むと、ありとあらゆるバイクと運転手が話しかけてくる。
「自転車なんて時代遅れじゃん。」「アナログババー!」「こっちにおいで!追いつけないだろうがなー!」「ママ?あれ何?」「見ちゃだめよ。アナログが感染る。」「…よく見たらなんか運転手可愛くね?」「わかる。」
もちろん悪い方だ。
食料を買って宿についたメルたちは文句をたれた。
「ひどい!あんなに言われる筋合いはない!」
「わかるけど…」
「自転車にしかない良さがあるっていうのに!」
「ちなみにその良さって何?」
「え?」
「え?」
「もしかして…知らないの?」
「うん。知らない。」
「運転手のメルが?」
「運転手の私が。」
「…はぁ。わかった教えてあげよう!」
「おおー。」
「あー。とりあえずそこに座りたまえ。メル君。」
「なぜ教授風?」
「まず。なぜここまでこの大荷物を積んだ自転車をこげたと思う?」
「はい!私が頑張ったかr」
パシッ。
シドが前輪ではたいた。
「ひどい!」
「よく考えたまえ。君の足だけでこげると思うかね?」
「いえ!思いません!」
「もう一度聞く。なぜここまでこの大荷物を積んだ自転車をこげたと思う?」
「シドが自分でも車輪を動かしてたから?」
「正解!そこだ!バイクは自分で動けないからね!他にもある。」
「ほかに?」
「排気ガスを出さないであろう?」
「…確かに!」
「だろう?それに静かだ!」
「やっぱすごいね!ちなみに頭脳の方はどっちの方が良いの?」
「…バイク」
Q.シドさんだけで動ける距離はどのくらい?
A.このくらい!




