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注意!


自転車が喋るけど気にしないで!

残酷な描写があるよ。

とある、国。

どこかの、国。


とある、教室。

どこかの、教室。

沢山の生徒が先生から教わっているところで、一人だけすやすや寝ている。


先生が黒板に文字を書いている。

数式だ。

書かれている内容は、


『10×10=20』


先生が口を開く

「みなさん?覚えてくださいね?さんはいっ。」

「「 10×10は20! 」」

「よろしい!あれ?メルさん?」


メルがすやすやと気持ちよさそうに寝ている。

窓から入る日光が心地よさそうだ。


「おーい?メルさーん?居眠りはいけませんよ?」

「うーん…は!あっはい!何でしょうか!?」

「もう。じゃあこの数式を読んでください。」

「はい、えーっと…なんて読むんだこの記号?…わかりません!」

「わかりました。明日、お母さんと一緒に学校に来て話を受けてもらいましょう。」

「え〜」


 ◉


森の中、メルがシドに言う。

「ねえ、シド。私の故郷。このあたりだよね。」

「…ああ、あの国か。」

「もう、準備もできたし、行ってもいい?」

「後悔しない?」

「うん。」


 ◯


「それでは宿題として大統領のお話をラジオで聞いて下さいね。それでは皆さんさようなら!」

「「 さようなら! 」」





 ◉


「シド!城壁が見えたよ!あれだ!」

「変わってないね〜あれから。」


 ◯


メルが校門前で誰かを待っている。

ある女の子がメルに話しかけた


「ねぇーメルちゃーん。また居眠りしてたの?」

「えへへ。給食食べたらお腹いっぱいになってねむくなっちゃって…」

「もう!まぁメルちゃんらしいね。」

「そういうシリカちゃんはどうなの?」

「わたしはもちろん!寝てないよ!」

「ええ〜?」


帰り道の途中。

視界に一つの、自転車が目に入る。

傷だらけで、ツタが絡んでいて、もう動くのは無理なぐらい、ボロボロだった。

しかし、その自転車は喋った。


「おーい!たすけてー!」

「え?」


 ◉


メルとシドは国に入るために、門番に声をかけようとした。

しかし、門番はいなかった。


「予想通りになっちゃってるかな…」

「引き返すなら、今のうちだよ?メル。」

「いや、いい。」

 

 ◯


「いやー助かった!ありがとう!二人の名前は?」

「私はメル!この子はシリカ!友達だよ!」

「よろしく。ちなみに君は?」

「名前はシド!よろしく!」

「よろしく…あ!やばいメル!ラジオ始まっちゃう!」


シリカがポケットから小さなラジオを取り出す。

そのラジオからは誰かのこえが出ている。


『…ジジ…こんにちは。国民の皆さん。大統領のセントです。』

「あ、この国ではそんな物があるんだね。」

「え?『この国では』?他に国なんてあるの?」

「え?」


『まず1つ目に、国歌斉唱。』


ラジオから、勇ましい声で歌われた、国家が流れる。


すすめ、すすめ我ら


大統領の命守り


我らこそが人類である


その他の国など存在しない


大統領こそが神である


「ほら、国家でも言ってるじゃん。ねぇメル。ってメル?」

「…は!ごめん…この曲聞くといつも眠くなるんだよね〜。」

「あ!そうだ。ねえシドさん。シドさんはなんであんなところに捨てられてたの?」

「っは!え?ごめん寝てて聞いてなかった。」

「あーもう。ふたりとも何してるの!」


『続いて、私からのお話です。』


「次はちゃんと聞いて!ってまた寝るなー!」

「「 …はい…はい。 」」


『今朝、このラジオは、子どもたちも聞いてると聞きました。我が国の新芽たちよ!聞いていますか!君たち子どもたちは我々大人たちにすべてを委ねていいと、もう知っているはずです。とても楽でしょう?何も考えずに、ただ我々についてこればいいのです!」


シリカが一人、いや、一人を除く国の中の子どもたちが一斉に「いえーい!」と言った。

メルはそれを疑問に思いながら黙っていて、シドは何も反応せず黙っていた。


『そして大人たち諸君。君たちは私の言葉に委ねたまえ!さすれば楽に生きることができる!』


今度は、国中の大人が一斉に歓喜の声を上げた。

シリカもなんだか嬉しそうだ。

メルとシドは黙ってそれを見ていた。


『とまあ、常識的なことを言ったまでだ。それで本題に移ろう、まず…ブチッ』


メルがいきなりラジオの電源を切った。


「あ!何すんのよ!これじゃあ宿題できないじゃん!」

「なんかそのラジオ嫌な音がする〜『キーン』って。」

「ん?普通じゃん。あ、もしかしてメル。毎回ラジオ聞いてなかったでしょ!」

「…ばれた。」


シドはそれを黙ってみていた。


 ◉


二人は、国の中に入った。

国は静まり返っていた。


「メル。まず、どこにいく?」

「シリカちゃんの家かな。」

「ああ!懐かしいね!」


 ◯


赤い屋根の、至って普通の家の前にメルと、シドがたっていた。

メルは扉をノックする


「お母さんー。ただいまー。」


ガチャリと扉が開いた。


「おかえりなさーい。遅かったわね…ってなに?そのボロ自転車。」

「帰ってる途中に会ったんだ。」

「どうもシドって言いま〜す。」

「ボロボロだからお父さんに直してもらえないかな〜って思って連れてきた!」


メルの母は少し困ったように考え、そのあとメルの熱弁の末渋々承諾した。


 ◉


「おじゃましまーす。」

シリカの家に来たメルは、部屋の中を見渡した。

よく来て遊んでいたので、大体構図はわかる。

メルは、シドを押してシリカの寝室に入る。


シリカが、壁にあの時のままで、横たわっていた。

「…遅くなっちゃって、ごめん。シリカちゃん。」

メルはしばし、返事がないシリカを、抱きしめて泣いていた。


 ◯


その日から1週間後、メルが自転車に乗って学校に向かっていた。


「メルちゃんおはよー…って自転車乗ってる!」

「ふふーんすごいでしょ!」

「全部おしえたのその下の自転車だけどね。」

「ちょっとシド!言わない約束でしょ!」

「フフッ。なんか二人お似合いだね〜。」

「そ…そうかな?」

「そうだよ!相棒って感じ?」

シドが言った。

「そりゃどーも。」


 ◉


しばらくして、シドが気づいた。

「あれ?手になにか持ってる。」

「…ホントだ。日記…かな?」

「読んでみたら?なにかわかるかも。」

「うん。読む。」


メルは、ゆっくりと、ページを開いた。


 ◯


学校。

授業の始まりを告げるチャイムがなった。

「えーでは、予習です。この数式を解いてください。授業を聞いていたらわかるはずですよ〜」

黒板にはこの前と同じ数式が書かれている。


「では、この前居眠りしてたメルさん。答えてください。」

「え?あ、はい!えー100です!」

「はぁ。不正解です。この前言ったじゃないですか。」

「え?でも掛け算ってことは10が10個あるってことじゃないですか、だから100…」

「メルさん!黙りなさい!…ある人たちを呼んできます。少し待っててください」


教室に冷たい空気が流れた。


 ◉


2月6日 晴れ


色々、おかしな日だった。

普通にいつも通り授業を受けてたら、メルちゃんとシド君がクラスに来て、一緒に逃げた。

シド君は国が私達を██████って言ってたけど。本当なのかな?

メルちゃんとシド君だけ、国の外に出たみたい…

国の外ってなにもないのに、どうやって出たんだろう?


 ◯


教室に先生が戻ってきた。

後ろに何人かの大きな人たちが並んで教室に入ってきた。腰に銃をしまって。


「この人たちはこの学校の卒業生です。つまりあなた達より賢いのです。それでは三人。この問題の答えは?」

「「「 20です! 」」」

「よくできました。そもそも、この問題の答えは大統領によって20だと決められてるのです。あなたが不正解であることがわかりましたか?メルさん。一体誰に教わったのですか。」

「…シド。」

「もう一度解くチャンスを与えます。前にきて黒板に書いてみなさい。」


そういって、先生はメルにチョークを渡した。

メルは少し考えてから、チョークを動かした。


黒板に刻まれた文字は 

──40


卒業生たちが一斉に銃を腰から抜き、メルの方に向ける。


「「「反乱因子を確認。除去の許可を求める。」」」

「え?」

先生はゆっくりと答えた。

「よろしい。」


刹那、教室に一台の自転車の声が鳴り響いた。

「メル!しゃがめ!」


メルは言われた通りにしゃがんだ。


三人の卒業生の銃から乾いた音がした。


「メル!こっちに全力で走れ!そして乗って!」

「わかった!」


メルがシドに走り、乗る。

先生はその時に、教壇の中から銃を取り出した。


「こちらδ-2123。反乱因子の除去の応援を求む。」


メルは学校の中だというのにも構わず、シドに乗って外を目指した。


「メル!急いでこの国から出て!じゃないと死んじゃう!」

「えぇ!でもシリカちゃんにお別れ言ってない!」

「…なら連れて行け!二人ぐらいならギリギリ乗れる!」

「わかった!」


校門に向かう途中、シリカがいる教室に向かう。


「シリカちゃん!こっち来て!」

「え?メルちゃん?それにシド君?今は授業中だよ?!」


先生がメルを見るなり、いった。

「反乱因子を発見。」

そして銃を取り出した。


「いいから!早く!」

「…わかった!何なのかわかんないけど!」


二人を乗せて、シドは校門に向かって走る。


「ねえメルちゃん!どういうことなの?!」

「わかんない!シド!どういうこと?」

「この国は、洗脳をしてるんだ!ラジオで!そのせいで間違ったことを教えられてる。しかもそれだけじゃない。洗脳されれば完全に国のロボットだ!」


校庭に出た時、後ろに何人もの先生や高学年の生徒が機械のように追ってきていた。


乾いた音が鳴り響く。

まるで戦場のように。


 ◉


3月10日 曇り


一部の大人たちが、国で暴動を起こした。

たくさんの人が遠くに行っちゃった。

でも、それに対抗する人もいた。

私の家族もそうだった。


 ◯


「…!あシド!城門だよ!」

「わかってる。さぁ後ちょっとだ!」


その時、ラジオで聞いた人の声が聞こえた。

「π-2933。飛び降りろ。」


シリカが自転車から、飛び降りた。


「え?シリカ…ちゃん?」

「…っ!もうだめだ!洗脳されてる!」

「やだよ!シリカちゃんをおいて行きたくない!」

「ここまでの努力を無駄にする気か!一回外に出て準備を整えるだけだ!」

「…わかった。絶対に戻ってくるんだよ!」

「ああ!絶対だ!」


その日、二人は急いで城門を出た。




4月20日 雨


何人もの人がいなくなった。

お父さんもいなくなった。

大統領も追い詰められそうになってるらしい。

私は暴動を起こした人になんでそんなことをするのか聞いた。

「この国は間違っているんだ。このことをする前から。でも、なかなか行動できなかったんだ。そんなとき、一人の女の子が、正しいことをしたんだ。それを合図にみんな行動したんだよ」と言ってた。


女の子がメルちゃんだとすぐに分かった。


そっか。


全部メルちゃんが悪いんだ。


 ◉


4月21日


ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない


 ◉


メルは黙って本を閉じた。

「…」

「メル。どうだった?」

「あの後、反乱軍ができて相打ちになったらしい。」

「そうか…じゃあ、この後どうする?」

「再利用かな。」

「おーけー。」


次の日、二人は国からゆっくりと出た。



それでも人は、前に進み、

繋いでいく。



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