表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東海道中珍栗毛  作者: なごやかたろう
東海上中賑やかし
6/30

「じぇっとふぉいる、空を駆ける」

江戸は深川、問屋「海月屋」の若旦那・藤兵衛とうべえは、商いのために伊豆大島へと渡っておった。潮の香りに包まれながら、普通客船に揺られること数時間、無事に商談をまとめた帰り道――。

「ふむ、せっかくの帰り道じゃ。あの“じぇっとふぉいる”なる空飛ぶ鋼鉄船とやら、試してみるのも一興よのう」

藤兵衛、時代の風に敏感な男。前回の“鴨嘴かものはし”なる陸を滑る鉄の馬車に味をしめ、今度は海を飛ぶという奇妙な乗り物に心を躍らせておった。

港の乗船所に着くやいなや、券売所にて乗船券を求める。

「おお、これはまた……イの一番の座席とは、こりゃあ縁起がよいわい」

手にした乗船券には、見覚えのある文字――「イ-1」。前回の旅でも同じ番号であったことを思い出し、思わずにんまり。

「これはまた、何やら良きことが起こりそうな予感がするのう」

乗船までにはまだ間がある。藤兵衛、港の屋台をひやかしつつ、焼きとうもろこしを片手にぶらりと歩く。潮風に炙られた醤油の香りが、なんとも食欲をそそる。

「うむ、これぞ旅の醍醐味よ」

と、そこへ――

「……だからよぉ、喜多さん、あれは“じぇっと”って言うんだってば!」

「へぇ? じゃあ“ふぉいる”は何だい、箔でも貼ってあるのかい?」

どこかで聞いたことのある、いや、聞き間違えようのない声。藤兵衛、とうもろこしを口に運ぶ手を止め、そっと声の方へ目をやる。

そこには、あの二人――

弥次郎兵衛と喜多八。

「……また、おぬしらかい」

心の中でそっと突っ込みを入れつつ、藤兵衛の胸に、再び波乱の予感がざわりと立ち上がるのであった――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ