表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東海道中珍栗毛  作者: なごやかたろう
海月の宇宙と無限階段
21/35

「潮風とともに、いざ江の島へ」

初夏の風が、江戸の町にもそろそろ顔を出し始めたころ。 深川の問屋「海月屋」の若旦那、藤兵衛は、朝から帳簿とにらめっこしていた。

「ふむ、ここの仕入れは…いや、こっちの方が安いか。いや待て、あちらの品は質が…」 と、独り言をつぶやきながら筆を走らせる姿は、まるで水面に浮かぶ海月のように、ふわふわとしながらも芯がある。


そんな折、江の島の水族館から一通の文が届いた。 「新たに海月の展示を始めることとなりました。貴殿の屋号にちなみ、ぜひご協賛を…」

「ほほう、これは面白い。海月屋の名にかけて、ぜひとも一肌脱がねばなるまい」 と、藤兵衛はすぐさま返書をしたため、協賛金を包み、さらに問屋仲間や仕入れ先にまで声をかけて宣伝に奔走した。


「江の島の水族館にて、海月の舞が始まるぞ! 見逃す手はないぞい!」 と、商人仲間の集まりでは、まるで口上師のように語り、 「海月屋の名が水族館に刻まれる日も近いかのう…ふふふ」 と、ひとりほくそ笑む姿は、どこか愛嬌があった。


だが、日々の商いに加えての宣伝活動は、さすがの藤兵衛にも堪えた。 「ふぅ…まるで潮の流れに逆らって泳ぐ鯉のようじゃ…」 と、夜な夜な帳場でうたた寝することもしばしば。


そんなある日、水族館の館長から文が届いた。 「開幕前に、特別に展示をご覧いただきたく…」

「おお、これはありがたい! では、次の休みにでも…」 と、藤兵衛は久方ぶりの休日を、江の島で過ごすことに決めた。


「さて、どのような展示になるかのう…」 と、心躍らせながら、旅支度を整える藤兵衛。 だが、彼の旅に“あの二人”が現れぬはずもなく…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ