表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東海道中珍栗毛  作者: なごやかたろう
東海道中珍栗毛
1/22

~鴨嘴に乗って~

江戸は深川の問屋「海月屋くらげや」の若旦那、名を藤兵衛とうべえと申す。 このたび堺の商いを終え、帰路につくこととなったが、廻船に揺られるのも芸がない。 「せっかくじゃ、噂の“鴨嘴”とやらに乗ってみるか」 と、時代の風に乗ることを決めたのでござる。

鴨嘴かもしとは、近頃評判の鋼鉄の箱。 十六両編成、堺から江戸までを一日で駆け抜けるという、まことに奇天烈な乗り物である。 その姿たるや、まるで鴨のくちばしを鉄でこしらえたような先頭車両が、 風を裂いて走る様は、まさに“飛脚も裸足で逃げ出す”速さ。

藤兵衛は、堺の駅にて「イの一」の切符を手に入れた。 「イの一とは、いかにも縁起がよい」 と、鼻を鳴らしながら十六両目、すなわち先頭車両に乗り込む。 座席は五列、革張りの椅子がずらりと並び、窓の外には見慣れぬ景色が流れてゆく。

「ふむ、なかなか快適じゃのう。これなら江戸まで一眠り……」

と、まぶたを閉じかけたそのとき、 京都を過ぎたあたりで、車両の扉が開き、二人の男がどやどやと乗り込んできた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ