第11話「寝られない夜」
タンス入り宣言を受けてしまった俺はちょっぴりおちこんでいた。来たばっかりの異世界で無一文な以上、幽霊の俺にはお金を入れるポケットもなければ、現金を渡す手もない。文句言える立場でもない。リアナさんが払っているからここは大人しく我慢するべきところ。彼女は、先ほど渡された鍵を使って、部屋への扉を開いた。中は家具だけが置かれた、小さな部屋だった。木製のベッド、タンス、テーブル、椅子が丁寧に置かれているだけで、きちんと掃除は行き届いていた。部屋には窓もあったが、サイズは小さくて、いざという時にはなんとか抜け出せそうだった。これは外の寒い空気や熱い空気が入れないようにできているか、盗賊が入りにくいようにできているか――そんなことを色々と想像していた。やっぱりそれのせいか空気がちょっと重い感じがした。リアナさんは荷物をテーブルの上に置いたら、すぐにでもベッドに腰を掛けた。
「あぁ~、眠いな~ すぐにでも眠たいけど、やっぱりそれだと失礼ね。」
彼女はそう言って、また立ち上がって、テーブルの方に歩いていった。そこで荷物からマントを出した。
「魂がある幽霊なんて見たことないから、眠るかどうか分からないし…このマントも感じないでしょうけど、形だけでも、この上に寝てみて~」
タンスを開けて、マントをベッドの形みたいに畳んでくれたので、その心意気に従ってタンスに入った。やっぱりなんの感触もなかったが、鼻もないはずなのに、どこか優しい匂いがするような気がした。リアナさんは俺を見て、また微笑んでタンスを閉めた。
タンスの中から彼女が着替える音と早くも「グーグー」という幸せそうな寝息が聞こえてきた。
タンスのすぐ外では、リアナさんが可愛く寝ているはずだ。やっぱりこれは幽霊じゃなくっても寝られる状況じゃない!静かな部屋で息の音が耳の隣に囁いてる感覚がした。
「よく考えると、タンスに入れって言われたけど、同じ部屋に泊まれる時点で、俺はかなり信頼されているってことだろうか?...いや待って。信頼されているというより、『物置扱い』では? 俺は今、完全に収納家具枠だった。」
と考えたりしてた。
でもそんな前向きに考えられるのが最初だけ。やっぱり一人で暗いタンスの中にいるのが辛い。棺桶にでも入った気分。いや、元の世界の俺の身体も棺桶中かな?ぞっとする。視界に入るのは、ひたすら木製の内側だけ。リアナさんと楽しく会話をした時と逆に時間の流れが遅く感じていた。この恐怖の空間で眠くなることはないだろうが、頑張って寝ようと思った。でも、やっぱりどんなに時間が立っていても幽霊は眠くなることはないらしい。何時間も自分の考えと向き合わされて、すっかりテンションが落ちた。木製の向こうに、頼りにしているリアナさんがいる。それだけで耐えた。
ちょっと明るくなったと感じた時、リアナさんが起きる音がした。
「おはようございます!悠真さん! よく眠れました?」
「いや、やっぱり幽霊は寝ない。」
――少なくとも、この夜は。
第11話、いかがでしたか?
悠真は信頼されているか、物扱いを受けているだけなの?次回から町の探検!
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