表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/81

9.魔法の力は偉大なり

 魔法スクロールの使うには手に持って対応する呪文を唱える必要がある。ちなみに呪文については暗記済みだ。


 だって、呪文とかワクワクしないほうがおかしいでしょ。意味もなく覚えたくなった僕を責めることなど、誰にもできないはずだ。いや、意味はあるんだけど。


 スクロールを使うときの呪文は、習得した魔法を使うときに唱えるものと同じなんだ。つまり、魔法を習得するつもりなら、どのみち呪文を暗記する必要があるってわけ。毎回、呪文帳を確認するわけにはいかないからね。


 ともかく、早速使ってみよう。


 〈クリーン〉のスクロールを手に持ち、詠唱を始める。効果対象は自分自身。とくに服に付着した返り血を綺麗にしたいと意識しながら、魔法を発動した。


 次の瞬間、スクロールは灰と化し、代わりにほのかな光が僕の体を包む。


 光ったのはほんの一瞬。その一瞬で血だらけだった僕の服が綺麗な状態に戻った。心なしか僕の体もお風呂上がりのようにサッパリしている。なんて、素晴らしい!


 凄い! 凄いぞ、〈クリーン〉の魔法!

 この魔法があれば洗濯いらずだ!


 いや、洗濯は大変なんだよ。洗濯機なんて便利な道具はないから手洗いだし。おまけに服が高くて買えないから、こまめに洗わないと駄目だし。こまめに洗うと、それはそれで服が痛むし。


 だけど、この魔法さえあれば、そんな悩みから解放されるんだ。これは是が非でも習得しなければならないね!


 いや、待てよ。

 そういえば、スクロールを使った瞬間に不思議な感覚があった。なんと言えばいいのか……例えるなら、頭の中に回路ができたって感じかな。もしかして、あれが魔法を習得した感覚だったりして……。


 よし、確認してみよう!


―――――

名 前:トルト

種 族:普人

年 齢:12

レベル:2 [1up]

生命力:18/20 [5up]

マナ量:15/17 [4up]

筋 力:8 [2up]

体 力:9 [2up]

敏 捷:15 [3up]

器 用:18 [4up]

魔 力:16 [4up]

精 神:13 [3up]

幸 運:100


加護:

【職業神の加護・迷宮探索士】


スキル:

【運命神の微笑み】【短剣Lv3】[1up]

【解錠Lv5】【罠解除Lv5】【方向感覚Lv1】

【光魔法Lv1】[new]


特 性:

【調理の才能 Lv1】【強運】【器用な指先 Lv1】

【魔法の素養 Lv2】


魔法:

〈クリーン〉[new]

―――――


 覚えてるよ!

 幸運値が高いおかげか、それとも【魔法の素養】の効果なのか。どちらのおかげかわからないけど、一発ゲットだ!


 ああ、良かった。魔法のスクロールに銀貨5枚はやっぱりお財布に負担が大きいからね。特にダンジョン探索だと、それほどお金が稼げない可能性がある。正直、またしばらく薬草採取をがんばらないと駄目かもしれないと思ってたけど、嬉しい誤算だね。


 〈クリーン〉を習得したせいか、【光魔法】のスキルが増えてるね。やっぱり属性みたいなものがあるのか。何でもかんでも習得してたら、上達が遅れそうだ。習得する魔法の属性は絞ったほうがいいのかな?


 あと、レベルも上がってる。ゴブリンって雑魚のイメージだけど、それでも三体同時だとギリギリって感じだった。その分、いい経験になったのかもしれないね。


 能力の上昇率はいいのか悪いのかよくわからない。他の人のステータスを見たことがないからね。とはいえ、鑑定ルーペでジロジロ見るわけにもいかないんだ。勝手に人のステータスを見るのはマナー違反なんだって。鑑定スキルが高いとこっそり見れたりもするみたいだけどね。ルーペだとそうはいかないから。


 唯一、幸運値が上がってないのはどういうことだろう。さすがにカンストしているわけじゃないと思うんだけど。もしかしてレベルアップでは上がらないのかな? だとすると、僕は人類でもトップクラスの幸運の持ち主かもしれないね。




 能力の確認を終えた僕は、機嫌よく探索を続ける。似たような通路ばかりだけど、不思議と入口の方向がわかるのは【方向感覚】のおかげかな? なかなかダンジョン探索向けのスキルみたいだ。もちろん、あくまで感覚的なものだから、過信しては駄目だと思うけど。


 本当は、きちんとマッピングするべきなんだろうな。このダンジョンでは必要ないかもしれないけど、訓練のためにやってみたほうがいいかもね。


 この階層は罠がないらしいから、割と気軽に歩ける。これが罠のある階層だとすれば、カンテラの灯りで罠を見つけないといけないんだよね。なかなか難しくないかな。【罠解除】はあるけど、発見できなかったら意味がないよね。


 罠発見スキルってないんだろうか。あるなら迷宮探索士の加護で取得できそうなのに。ダンジョンから出たら、もう少しギルド講習をしっかり調べたほうがいいかもしれない。


 探索は順調だけど、宝箱はまだ見つからない。魔物は追加でゴブリン四匹と、おおねずみを三匹倒した。


 おおねずみはただの動物に思えるけど、倒したときにはダンジョンルールが適用されてドロップアイテムを落として消える。ドロップアイテムはねずみ肉だ。鑑定結果では食用肉だけど、おいしいのかな……?


 ひとまず、ゴブリン七匹分の魔石を売れば宿屋代は確保できる。〈クリーン〉のスクロールの費用を考えると赤字だけど。


 初探索としては悪くないかな。宝箱が見つからなかったのは残念だったけど。まあ、これからも探索を続けていれば、いつかは見つかるよね。


 よし、無理は禁物。今日はこの辺りにして引き上げよう。


 と、考えていたんだけど……。


 入口に戻っている最中に、誰かが言い争っているような声が聞こえてきた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ