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271.キラキラしてる

「うーん。どうしよう」


 変異魔石から作ったステータス向上薬の前で悩む。


 前回は僕が使ったから、今回は他のメンバーに譲ろうと思ったんだよ。だけど、みんな口を揃えて僕が使えって言うんだ。せっかくのパワーアップチャンスなのに、あまり興味がないみたい。


 うんうん唸ってると、そばで丸くなっていたシロルがのそりと頭を上げた。くわぁと大きな欠伸をすると、呆れた目で僕を見る。


『まだ悩んでるのか? さっさと使えばいいと思うぞ?』

「でも、貴重なアイテムだからね。僕が独り占めするわけにもいかないよ」

『そういう不思議アイテムは、トルトの担当って、みんな言ってたぞ!』

「ああ、うん」


 そうなんだよね。ハルファなんか「私たちが使っても面白い結果にはならないから、トルトが使うべきだよ!」って言ってた。別に面白さは求めてないんだけどなぁ。


『貴重って言っても、二個目だぞ。それなら、きっと三個目もあるんじゃないのか?』

「そう言われれば、そうかも」


 二度あることは三度あるって言うしね。変異魔石さえあれば、もう一度作ることはできる。そう考えると、また手に入れる機会もある気がするね。


 まあ、みんなが使わないっていうなら僕が使うしかないんだけど。収納リングで眠らせておくのはもったいないから。僕が新たな能力を獲得したら、今以上にみんなを助けることができるかもしれない。そう思って、僕が使うことにしよう。


 そうと決まれば、善は急げ。向上薬の蓋をきゅぽんと開けて、勢いよく(あお)る。なんとも言えない味で顔が歪むけど……その他にはこれといった変化はない。


『どうなんだ? 新しい料理は作れそうか?』


 わくわくとした表情でシロルが僕を見上げる。やけに勧めてくるなぁと思ったら、そんなことを考えていたの?


「ちょっと待ってね」


 鑑定リングでステータスを確認してみるけど、ぱっと見た限り特性に変化はない。


「……あれ? 何も変わってない?」

『そうなのか? ん……んんん? のわぁ!? トルト、いったいどうしたんだ!?』

「え、何が?」


 首を傾げる僕。一緒になって首を傾げていたシロルが急に素っ頓狂な声を上げた。


『絶対、何か変わってるぞ。なんか、こう……キラキラしてるぞ!』

「キラキラ……?」

『もう一回鑑定して見るんだ! もう一回だ!』


 シロルに言われて、もう一度鑑定リングで自分を覗いてみる。表示されたステータスに特におかしなところは……あっ。


「創造力が創世力に変わってるね」

『おお! それは……なんだ?』

「さぁ?」


 正直、よくわからない。特性の説明を見ても、創造力とあまり違いがないように思える。



『むぅ。たぶん、トルトがキラキラしてるのと関係あると思うんだけどなぁ』

「そのキラキラって何なの?」

『キラキラはキラキラだぞ。あれだな、ラムヤーダス様みたいな感じだ!』


 廉君みたいな感じ? なんだろう、全然意味がわからないけど。


 とりあえず、みんなにも報告しておこうと思って、部屋を出る。ちょうど、全員マジックハウスにいるみたい。リビングで経緯を話すと、ハルファとスピラは首を傾げた。


「特性が変化したんだ。でも、キラキラって何かな。スピラちゃん、わかる?」

「うーん、特に見た目は変わってない気がするけど……」


 ローウェルやプチゴーレムズも同じ反応だ。


『ぬぅ? こんなにキラキラしてるのに、みんなわからないのか? ガルナはどうだ?』


 同意が得られずシロルは不満顔だ。賛同者を得ようとガルナに話を振るけど、その彼女は何故か僕を見て固まっていた。


『その存在感は父様の? いや、そんなはずは……』


 何事か呟くガルナ。微かに聞こえたのは“父様”という言葉だ。ガルナが父様というのは、この世界を生み出した神様だよね。だけど、その神様はあの銀の教団――ユーダスが言うには、異界に乗り込んで力尽きたって話だ。


「ガルナ? どうしたの?」

『あっ、いや……何でもないのじゃ』


 呼びかけると、ガルナは何かを振り払うように首を振る。


『創世力じゃったか。聞いたことのない特性じゃな。まあ、正体不明の特性が増えたところで今更驚かんが……』


 ガルナの言葉に、みんながうんうんと頷いた。僕自身もあんまり驚きはない。確かに、今更って感じだね。


『違いがわからないと言っておるが、おそらく、強い力が宿ったはずじゃ。……私やそこの白いのからすると、トルトという存在が大きく変わったと感じられるからのぅ』

『ほらな! キラキラしてるんだ!』

『言うならば、存在の格が上がったという感じじゃ』


 あまり自覚はないけど、そういうことみたい。それがシロルにはキラキラとして感じられるんだって。


 それってつまり……?


「トルトは神様になっちゃったの?」


 僕に代わって、ハルファが知りたいことを聞いてくれた。みんなの視線がガルナに突き刺さる。それを受けて、彼女は眉を下げた。


『そんなはずはないんじゃが……』


 ガルナが言うには、いくら力をつけたところで、神になれるわけではないみたい。他の神々から認められ、この世界の運営に関する何らかの役割を与えられてはじめて、神格を得るに至るとかなんとか。つまり、創世力というスキルを得ただけで、神様になったりはしないってことだね。


「結局、この力って、何なのかな?」

『私にもわからん。ラフレスに向かうのならば、そこで他の神々にも見極めてもらう必要があるのぅ』


 中立国ラフレス。もともと、冒険者ギルドの本部を訪ねるつもりではあったけど……またひとつ訪問する理由ができたね。


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