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241.幸運神様の階層

「ほら、この先が階段よ」

「ありがとう、ロロ。助かったよ」


 第二階層はロロの案内で、時間をかけずに踏破できた。個人的には、もう少し探索して薬草採取をしたいところだったけど、第三階層以降の様子も気になるからね。そちらを優先することにしたんだ。


「このくらいは別にいいけどね。でも、たまには妖精界にも顔を出しなさいよ? みんな待ってるからね!」


 ロロはそう言って去っていった。妖精たちが待ってるのは僕らをじゃなくて、甘いお菓子をなんじゃないかなと思うけどね。でも、お菓子をあげると対価として貴重な薬草類をくれるので、僕にとっても悪いことでは無い。そう考えると、あえて第二階層を探索する必要はないかもしれないね。


 それはともかく第三階層だ。様子を確認しようと、階段を降りていく。途中から、賑やかな音楽が聞こえてきた。


「何の音楽だろう?」

「よくわからないけど、楽しそうだよね!」


 スピラが首を傾げ、ハルファはにんまりと笑っている。


「ダンジョンで音楽……? そんな話は聞いたことがないが」


 ローウェルは怪訝な表情だ。


「あー、うん。でも、何となく予想はつくかも。次の階層はカジノみたいなところなんじゃないかな」

『うむ。その通りじゃ。ルーライナの影響が強い階層じゃな……。まあ、詳しくは実際に見るのが早い』


 僕が想像したのは、かつて見たことがある幸運神様の神域だ。そのイメージは正しかったみたいで、ガルナが顔をしかめながら頷いた。説明を放棄している感じが、ちょっとだけ不安だ。


 そして、辿り着いた第三階層。そこには想像とは少し違った光景が広がっていた。


 板張りの床に赤いカーペットが敷かれている。周囲の壁も一見すると木製のようだ。だけど、幸運神様の神域のようなカジノがあるかといえば、そうではないみたい。何て言うか、室内風の迷宮という感じ。小部屋と廊下で構成されたダンジョンだ。


「思ったよりも普通かも……」


 ハルファが少し残念そうにしている。いったい、どんな想像をしてたんだろう。


『ん? 何か近づいてくるぞ! 魔物か?』


 部屋の様子をゆっくりと確認する暇もなく、シロルから警告が発せられる。ちょっと歯切れが悪いのは、魔物の正体がはっきりしないせいだろうね。正面の廊下から向かってきている魔物はとても奇抜な姿をしていた。


「これはまた奇妙な魔物だな」


 ローウェルが僕を見ながら言った。“またお前の影響か”と言いたげだけど、言葉にはされてないからセーフだ。


 いや、間違いなく僕の影響だと思うけどね。だって――……


『奴はスロットミミックじゃな。それなりに手強いはずじゃぞ』


 と、ガルナが言っているように、現れた魔物はスロットマシーンそっくりの外見をしてるんだ。スロットマシーンは幸運神様の神域で見たことがあるだけ。それも僕の記憶を読み取って再現したとかいう話だったから……まあ、うん。


 ともかく、敵はスロットマシーンみたいな魔物。数は一体だ。奴はピョンピョンと飛び跳ねて向かってくる。意外と素早い。


「変な魔物だね」

「噛みついてくるのかな?」


 スロットミミックの頭部は本物そっくりの回転リールとなっていて、それがくるくると回っている。その下には切れ目があり、ときおりパカパカと開く。ぎざぎざの歯が生えているのが見えるので、噛みつかれると痛そうだ。


「よし、私がやるね! わぁっ!!!」


 ハルファが宣言のあとに、大声で叫んだ。ショックボイスだ。すでにスロットミミックとの距離はかなり近づいている。低級の魔物なら一撃で倒せても不思議ではない。だけど、スロットミミックは平気な様子で、近づいてきた。変化といえば、回転リールがひとつ止まったくらいかな。


「わ、強いかも」

「私が止めるよ!」


 ハルファに続いて、スピラの攻撃。氷蔦がスロットミミックを絡め取った。ミミックは激しく暴れて蔦を破壊していく。だけど、蔦は次々と生成され、ミミックを決して自由にはしない。


「うーん、動きは止められるけど、ダメージは入ってないかな?」


 スピラの氷蔦は、拘束と同時に氷属性のダメージを持続的に与えるんだけど、おまけ程度のダメージしか出ない。スロットミミックには威力不足みたいだ。


『よーし! それなら僕が攻撃するぞ!』

『あ、よすのじゃ!』


 次に名乗りを上げたのは、シロルだ。何故かガルナから制止が入ったけれど、一足遅かった。シロルの角から放たれた強烈な雷撃は、スロットミミックに命中してバチリと大きな音を響かせる。


 その瞬間、ミミックはビィビィと不快な音を発し始めた。ブルブルと筐体を振るわせて、明らかに尋常な様子ではない。


『まずい! 退避するのじゃ! 自爆するぞ!』

「え!?」


 退避と言われても、部屋は狭い。仕方なく僕らは、階段を数段上って距離を取った。数秒後にドカンと大きな音が聞こえてくる。少しだけ待ってから、再び部屋に戻ると、ミミックは跡形もなく消滅していた。残念ながら、ドロップアイテムは何もない。自爆されちゃうと何も手に入らないみたいだ。


『ふぅ……ビックリしたぞ! 何でアイツは自爆したんだ?』

『スロットミミックは正規の方法以外で倒すと自爆するのじゃ。そして、奴は雷属性に滅法弱い』


 なるほど。それで自爆しちゃったのか。


「それじゃ、正規の倒し方って?」

『奴の体のどこかに存在する核を攻撃すれば良い。核を五回攻撃すれば倒せる』


 尋ねると、ガルナがあっさりと教えてくれた。本当なら、手探りで攻略法を見付けなきゃいけないんだろうけど、ガルナが教えてくれるから助かるよね。


 それにしても、どこかにある核を探り当てて攻撃する、か。銀の異形との戦いに通じるものがあるね。銀の異形の場合は、核が常時移動しているので、もっと難度が高いけど。それでも訓練としては悪くなさそうだ。


 あれ……?

 幸運神様の階層が思ったよりもまともだ!?


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― 新着の感想 ―
大根と人参と比較すると大分普通ですね
 (*´・д・)ねつでもだしたのこううんしんさま…(棒)
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